女性活躍推進法の改正
女性の管理職比率と男女の賃金差異に関する公表義務は、女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)に基づき定められています。この義務は、企業が自社の女性活躍の状況を把握し、課題解決に向けた取り組みを進めること、および、求職者などが企業の情報を比較しやすくすることで、女性の職業選択に資することを目的としています。
義務化の対象企業と項目
公表が義務付けられる対象企業と項目は、常時雇用する労働者数によって異なりますが、特に「男女の賃金の差異」と「女性管理職比率」については、段階的に義務化が拡大しています。
女性管理職比率の公表義務
女性管理職比率については、現行法(2024年10月時点)では、常時雇用する労働者が301人以上の企業は、情報公表項目(「男女の賃金の差異」を含む3項目以上)の中で、選択項目として公表が推奨されていますが、今後の法改正により義務化される見込みです。
- 改正の動き: 2025年(令和7年)の通常国会への法改正案提出が目指されており、成立した場合、2026年4月から従業員101人以上の企業に対して、「男女の賃金の差異」と「女性管理職比率」が必須項目として公表が義務付けられる方針です。
管理職の定義
厚生労働省の定める管理職の定義は以下の通りです。
「管理職」の範囲:
「管理職」とは、以下の合計を指します。
- 課長級の労働者
- 課長級より上位の役職(役員を除く)にある労働者
「課長級」の具体的な定義:
「課長級」は、企業の呼称に関わらず、その職務の内容と責任の程度に基づいて判断されます。具体的には、以下のいずれかに該当する者をいいます。
- 事業所で通常「課長」と呼ばれている者のうち、
- 2係以上の組織からなる、または、その構成員が10人以上(課長含む)の長の者。
- 同一事業所において、呼称や構成員に関わらず、その職務の内容及び責任の程度が「課長級」に相当する者。
- ただし、一番下の職階ではないことが条件となります。
したがって、
- 一般的に「主任」や「係長」は、上記の「課長級」の定義を満たさないため、管理職には含まれません。
- ただし、企業内で「係長」という呼称であっても、その職務内容や責任が上記の「課長級」の定義に当てはまる場合は、「課長級」として含める必要があります。
つまり、重要なのは肩書き(呼称)そのものではなく、その役職が組織内で持つ責任と権限のレベルが「課長級」に相当するかどうかです。
公表の方法と時期
公表方法
公表は、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」、または自社のホームページなど、一般の求職者等が容易にアクセスできる方法で行う必要があります。
公表時期
公表は、原則として年1回、データを更新して行います。
- 「男女の賃金の差異」については、原則として事業年度の終了後、おおむね3ヶ月以内に公表します。

