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「育児時短就業給付」で子育て社員の働き方をサポート!

Last Updated on 2025年7月25日 by

育児時短就業給付とは?

育児時短就業給付は、2025年4月に新しく創設された給付金制度です。

これは、育児休業給付金を受給していた従業員が、育児休業から職場に復帰した後、育児のために労働時間を短縮して働き続ける場合に支給されます。

この制度の目的は、育児休業から復帰したものの、フルタイム勤務が難しい従業員の生活を経済的に支援し、育児と仕事の両立を後押しすることで、優秀な人材の離職を防ぐことにあります。従業員にとっては心強いサポートとなり、会社にとっては人材の定着に繋がる、大変重要な制度です。

受給できる条件は?

従業員が育児時短就業給付を受給するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

① 育児休業をしていたこと

この給付は、育児休業給付金を受給できる育児休業をしていたことが前提となります。

② 育児休業を終了し、実際に会社に復帰したこと

育児休業を終え、事業主に雇用されて働く状態にあることが必要です。

③ 育児のため所定労働時間を短縮していること

育児休業開始前の所定労働時間よりも短縮された労働時間で勤務していることが条件です。

各支給対象期間中に、1週間あたりの所定労働時間を短縮して就業した期間がある月であることが必要です。

④ 各支給対象期間中に、育児休業終了前の事業主に雇用されていること

引き続き、元の会社で雇用保険の被保険者として働いていることが必要です。

⑤ 子が2歳未満であること

給付は、対象となる子が2歳に達するまで(2歳の誕生日の前々日まで)の期間が対象です。

⑥ 支給対象月に支払われた賃金額が、育児時短就業開始時賃金月額の100%未満であるこ

育児時短就業開始前の賃金水準と比較して、賃金が低下している場合に支給対象となります。

受給金額はいくら?

育児時短就業給付の支給額は、以下の計算式で算出されます。

1.支給対象月に支払われた賃金額が、育児時短就業開始時賃金月額の90%以下の場合

支給額 = 支給対象月に支払われた賃金額 × 10%

2.支給対象月に支払われた賃金額が、育児時短就業開始時賃金月額の90%超~100%未満の場合

支給額 = 支給対象月に支払われた賃金額 × 調整後の支給率

調整後の支給率は、賃金の低下割合に応じて計算されます。

いつからいつまで受給できるの?

育児時短就業給付の支給期間は、原則として以下の通りです。

支給開始日: 育児時短就業を開始した日の属する月

支給終了日:

対象となる子が2歳に達するまで(2歳の誕生日の前々日まで)

または、短縮された労働時間での就業を終了した日の属する月

つまり、育児休業が終了し、育児のために短縮した労働時間で働き始めた日から、原則として子が2歳になるまでが支給期間となります。

手続きはどうすればいいの?

育児時短就業給付の手続きは、原則として会社がハローワークに対して行います。従業員が直接ハローワークに行く必要はありません。

人事担当者様が行う手続きの主な流れは以下の通りです。

① 従業員からの申請

従業員が育児時短就業給付の受給を希望する場合、会社にその旨を申し出ます。

② 必要書類の準備

会社がハローワークに提出するための書類を準備します。主な提出書類は以下の通りです。

育児時短就業給付金支給申請書

ハローワークから様式をダウンロードできます。

従業員本人に記入・押印してもらう箇所もあります。

賃金台帳や出勤簿(タイムカード等)

短縮後の労働時間や賃金が確認できる書類です。

育児休業開始前の賃金も確認できるものが必要です。

母子手帳の写しなど、子の生年月日が確認できる書類

従業員から預かり、写しを提出します。

その他、ハローワークから指示された書類

個別の状況に応じて追加で提出を求められる場合があります。

③ ハローワークへの提出

必要書類を揃え、会社の所在地を管轄するハローワークに提出します。

申請は原則として2ヶ月ごとに、2ヶ月分をまとめて行います。

④ 支給決定・入金:

ハローワークで審査が行われ、支給が決定すると、従業員の指定口座に給付金が振り込まれます。会社には、支給決定通知書が送付されます。

まだ始まったばかりの制度なので、不明な点はハローワークに積極的に確認するようにしましょう。


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