Last Updated on 2025年8月8日 by 勝
オフィス移転に伴うITインフラ(パソコン、Wi-Fi設備、ネットワークなど)の移転は、業務に直結するため非常に重要なポイントです。スムーズな移転とすぐに正常稼働させるための注意点と効率の良いやり方を以下にまとめました。
移転前の入念な準備と計画
ITインフラの移転は、移転日のかなり前から計画的に進める必要があります。
現状の把握と課題の洗い出し
現在のネットワーク構成図(物理配線、論理構成)を把握していますか?
使用している機器(PC、サーバー、ルーター、ハブ、Wi-Fiアクセスポイント、複合機、電話など)のリストアップと型番、設定情報を確認していますか?
各システムの稼働状況や依存関係、バックアップ状況を確認していますか?
現在のオフィスで「Wi-Fiが遅い」「一部のフロアで電波が弱い」などの課題はありませんか?移転を機に改善できないか検討しましょう。
新オフィスのITインフラ要件定義
移転先のオフィスの広さ、レイアウト、電源容量、OAフロアの有無、天井の高さなどを確認し、必要な機器の台数や設置場所を検討します。
将来的な社員数の増加や、新しい働き方(フリーアドレス、Web会議の増加など)に対応できるよう、余裕を持った設計をしましょう。
特にWi-Fiは、壁の材質や柱の位置、電波干渉源(電子レンジなど)を考慮し、十分なアクセスポイント数と適切な配置を検討します。
スケジュール策定
インターネット回線の開通工事は時間がかかる場合があります。移転が決まったらすぐにプロバイダや回線事業者に連絡し、工事日を確定しましょう。
ネットワーク工事、PC設定、サーバー移設、Wi-Fi設置など、各工程の期間を見積もり、余裕を持ったスケジュールを組みます。
業務停止期間を最小限にするために、休日や夜間での作業を検討しましょう。
予算の確保
機器購入費用、工事費用、業者への依頼費用など、ITインフラにかかる費用を正確に見積もり、予算を確保します。
想定外の出費に備え、予備費も設けておくと安心です。
担当者の選定と業者との連携
社内でITインフラ移転の責任者を明確にし、各業者との窓口を一本化します。
IT関連の専門業者(ネットワーク工事、サーバー移設、PC設定など)を選定し、早めに打ち合わせを開始します。相見積もりを取り、実績やサポート体制を確認しましょう。
引越し業者にも、PCやサーバーなどの精密機器の運搬に関する専門知識と実績があるか確認しましょう。
移転作業中の注意点
データのバックアップ
PC、サーバー、NASなど、全ての重要なデータは必ず複数箇所にバックアップを取っておきましょう。物理的な移送中に破損するリスクはゼロではありません。クラウドストレージの利用も検討しましょう。
機器の梱包とリスト化
PCやモニターは丁寧に梱包し、どのPCが誰のものか、どの場所に設置するかなどを明確に分かるようにラベリングしておきましょう。
サーバーやネットワーク機器は、電源ケーブルやLANケーブルの接続箇所を写真に撮っておくと、移転先での再接続がスムーズになります。
配線の整理と明記
移転前のオフィスで配線が複雑な場合は、移転を機に整理しましょう。
移転先での配線時には、どこに何のケーブルを接続するか、明確に分かるようにラベリングしながら作業を進めると、トラブル発生時の特定が容易になります。LANケーブルと電気配線は電磁波干渉を避けるため、離して設置することが推奨されます。
セキュリティ対策
移転中はセキュリティリスクが高まります。不要なデータは削除し、PCやサーバーにロックをかけるなど、情報漏洩対策を徹底しましょう。
新しいWi-Fiの設定は、強固なパスワードを設定し、ゲスト用ネットワークと社内ネットワークを分けるなどのセキュリティ対策を施しましょう。
移転後の最終確認とトラブル対応
稼働テスト
移転後、すぐに全ての機器とネットワークが正常に動作するか、社員が業務を開始できるかを確認します。
インターネット接続、社内ネットワーク、プリンター、共有ファイルへのアクセス、各種システムの起動などを社員に協力してもらい、確認しましょう。
Wi-Fiは実際に使用する場所で電波強度を測定し、死角がないか確認します。
トラブルシューティング
万が一、不具合やトラブルが発生した場合は、すぐに原因を特定し、業者と連携して対応します。
あらかじめ、トラブル時の連絡先や対応フローを決めておくと安心です。
情報共有と社員への周知
新しいWi-FiのSSIDやパスワード、プリンターの設定方法など、社員が業務を開始するために必要な情報を事前に周知しましょう。
IT関連の問い合わせ窓口を明確にし、移転直後は手厚いサポート体制を整えましょう。
ITインフラ移転の効率化
ITインフラ専門業者への一括依頼
ネットワーク工事、サーバー移設、PC設置・設定など、ITインフラに関する全てを専門業者に一括で依頼することで、スケジュール調整や業者間の連携がスムーズになります。
社内のIT担当者の負担を軽減し、専門知識と経験に基づいた効率的な移転が期待できます。
クラウドサービスの活用
サーバーを物理的に移設するのではなく、クラウドサービス(AWS, Azure, Google Cloudなど)へ移行することを検討しましょう。物理的な移設作業が不要になり、運用負荷も軽減されます。
ファイルサーバーをクラウドストレージ(OneDrive, Google Drive, Dropboxなど)に移行することで、どこからでもアクセス可能になり、データ管理も効率化されます。
機器の買い替え・刷新
移転を機に、老朽化したPCやネットワーク機器を最新のものに買い替えることで、パフォーマンス向上やトラブルリスクの軽減に繋がります。特にWi-Fi機器は最新規格(Wi-Fi 6など)に対応したものを導入すると、より快適な通信環境が実現できます。
オフィス移転は、単なる場所の移動だけでなく、ITインフラの最適化や業務プロセスの見直しを行う絶好の機会です。これらのポイントを踏まえ、計画的かつ効率的に進めることで、円滑な業務再開を目指しましょう。