支店ガバナンス確立のためのアクションプラン

会社の運営

Last Updated on 2025年9月20日 by

支店の運営に関して、本社がコントロールを強化し、支店との関係を明確にすることを提案します。慣習に頼っていた運用から脱却し、より組織的なガバナンスを確立するための取り組みは非常に重要です。

ここでは、その目的を達成するための具体的なアドバイスを、会議体の新設規定・ルールの整備、そしてコミュニケーションの仕組みづくりの3つの側面から解説します。

本社と支店を繋ぐ会議体の新設

新たな会議体を設けることで、本社と支店の間に定期的な情報共有と意思決定の場を確立できます。これにより、支店運営の透明性を高め、本社が方針を浸透させやすくなります。

支店長会議(定例・月次)

全支店長が一同に会する定期的な会議を設けます。

目的: 全社方針の伝達、各支店の業績報告、成功事例や課題の共有、本社からの方針や指示の徹底。

ポイント: 本社の経営層が参加し、直接支店長の意見を聞く機会とすることで、一方的な通達に終わらないようにします。

個別支店ミーティング(定例・隔週〜月次)

本社側の担当部署(営業企画、経営企画など)と個別の支店長や主要メンバーがオンラインなどで開催するミーティングです。

目的: 個別の支店が抱える課題の深掘り、目標達成に向けた具体的なアクションプランの策定と進捗確認、きめ細かなサポートの提供。

ポイント: 本社の担当者がサポート役として機能することで、支店の自律性を尊重しつつ、本社の意図を反映させやすくなります。

支店運営に関する規程・ルールの整備

あいまいだった慣習を明文化し、全支店に適用される共通のルールを確立します。これにより、支店ごとのブレをなくし、公平で一貫した運営が可能になります。

支店長職務権限規程

支店長がどこまでの権限を持つのか、具体的に明文化します。

: 経費の承認上限額、新規取引先の決裁権、採用活動の範囲など。これにより、「どこからどこまで本社に確認すれば良いか」が明確になります。

支店運営マニュアル

支店の日常業務に関する標準的な手順やルールを定めます。

: 経費精算の方法、日報の提出フォーマット、目標設定の方法、顧客情報の管理ルールなど。全支店が同じ基準で業務を行えるようになります。

業績評価制度の見直し

支店長の評価基準を、単なる売上だけでなく、本社が重視する指標(例: 顧客満足度、新規事業への貢献度、コンプライアンス遵守状況など)を加えて再設計します。これにより、評価を通じて本社の戦略を支店に浸透させます。

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支店長職務権限規程のサンプル

支店小口現金取扱マニュアル

コミュニケーションを円滑にする仕組みづくり

ルールや会議体だけでは、現場の反発を招く可能性があります。支店が「本社に管理される」と感じるのではなく、「本社と連携して事業を推進する」と感じられるような仕組みを構築することが重要です。

情報共有ポータルサイトの設置

全支店がアクセスできるポータルサイトを設け、本社からのお知らせ、会議資料、各種マニュアル、成功事例などを一元管理します。

ポイント: 支店からのフィードバックや質問を投稿できる機能を設けることで、双方向のコミュニケーションを促します。

本社担当者の明確化

支店が「誰に聞けばいいか分からない」とならないよう、本社の担当者(メンターや窓口担当)を明確に定めます。これにより、困ったときにすぐに相談できる相手ができます。

支店長との定期的な個別面談

支店長と本社の経営層や人事担当者が、形式ばらない定期的な面談を実施します。

目的: 支店長のキャリアプランや悩み、支店の現場での課題などを共有し、信頼関係を築くことで、ルールだけでは解決できない問題を解決します。


これらの取り組みは、本社からの「管理」だけでなく、支店を「支援」し、両者が協調してより大きな成果を出していくための第一歩となります。まずは、支店長会議から始めるなど、できるところから段階的に導入していくことをお勧めします。


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