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株式会社の設立手続きを順を追ってわかりやすく解説

Last Updated on 2025年6月20日 by

株式会社の設立手順

株式会社の設立は、いくつかの重要なステップを踏む必要があります。一つずつ丁寧に確認していきましょう。

事業目的を決める

「何を目的として事業を行うのか」を明確に文章化します。

設立時に作成する会社の憲法ともいえる「定款(ていかん)」に、あなたの会社の事業目的を記載する必要があります。

将来的に事業を拡大する可能性がある場合は、現時点で行う事業だけでなく、将来的に行う可能性のある事業も記載しておくと、その都度、登記を変更する手間を省くことができます。

事業内容によっては国の許認可が必要な場合があります。この場合、定款に記載する事業目的の表現が非常に重要になります。法律で定められた事業の名称と定款の目的が一致していないと、許認可が下りないことがありますので、事前に所管省庁や専門家(行政書士など)に確認することをおすすめします。

どのような事業目的を記載すればよいか迷う場合は、他の会社のホームページの会社概要欄や、上場企業であれば有価証券報告書などで目的事項を参考にすることができます。

会社名を決める(商号の決定)

あなたの会社の「顔」となる名前を決めます。

漢字、ひらがな、カタカナを使うのが普通です。ローマ字、アラビア数字、一部の記号(「&」「’」「,」「-」「.」「・」)も使用できます。

類似商号の調査と注意

他の会社であると誤認されるおそれのある名称や商号の使用は法律で禁止されています。同一住所でなければ登記上は問題なくとも、消費者があなたの会社と既存の会社を間違えてしまうような名前は避けるべきです。

特に重要なのが、決めた会社名がすでに商標登録されていないかの確認です。 商標登録されている名前を無断で使用すると、商標権の侵害となり、使用の差し止めや損害賠償を請求される可能性があります。必ず確認しましょう。

類似商号の調査も必要です。登記的には、同一住所でなければよいようですが、 会社法には「何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。」という条文があります。類似商号は避ける方が無難です。どのくらい類似していればだめかという判断は難しいですが、争いを避けるに越したことはありません。慎重に検討しましょう。

商標登録については下記のサイトで確認できます。

本店の住所などを決める

会社の運営体制と拠点を具体的に定めます。

誰が会社の「株主(出資者)」となるのか、そして会社の経営を担う「取締役」や、場合によっては「監査役」は誰が就任するのかを決めます。株式会社は、株主が1人、取締役が1人(つまり1人で会社を設立する)でも設立可能です。

会社の住所を決定します。自宅、店舗、賃貸事務所など、どこでも設定可能です。ただし、賃貸物件の場合は、賃貸借契約書で法人登記が可能か確認が必要です。

定款の作成と認証

上記で決めた「事業目的」「会社名」「本店所在地」「役員構成」などの重要事項を盛り込んだ「定款」を作成します。定款は会社の設立において最も重要な書類の一つです。

作成した定款は、法律の専門家である公証人がいる「公証役場」で認証を受ける必要があります。これは、定款が適法に作成されたことを公的に証明する手続きです。

関連記事:株式会社の定款に記載すべき事項を解説

関連記事:株式会社の定款認証とは?公証役場での手続きを解説

資本金の払い込み

会社の元手となるお金を準備します。

定款認証後、決定した資本金を、代表取締役となる個人の銀行預金口座に払い込みます。 これは、まだ会社名義の銀行口座がないため、一時的に代表者の口座を利用する形になります。

払い込みが完了したら、その事実を証明する「払込証明書」を作成します。通帳のコピーなどと合わせて、会社設立登記の際に必要となります。

関連記事:株式会社設立の要!出資金の払い込みと払込証明書作成の手順

株式会社の設立登記

いよいよ会社が誕生します。

設立する会社の本店所在地を管轄する「法務局」へ、設立登記申請書と、定款、払込証明書などの必要書類一式を提出します。

登記書類を法務局に提出した日が、原則として会社の設立日となります。 この日をもって、あなたの会社は法律上正式に誕生します。

関連記事:会社設立時に法務局でやる登記申請について解説

銀行口座の開設

登記が完了し、法務局で「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得できるようになると、その書類を提示することで、金融機関であなたの会社名義の銀行口座を開設することができます。

開設した会社名義の口座へ、代表取締役の個人口座に払い込まれていた資本金を移します。この時点から、会社の会計(経理)が本格的にスタートします。

税務署などへの手続き

会社として必要な行政手続きを行います。

税務署

会社の設立後、管轄の税務署へ「法人設立届出書」を提出します。また、青色申告承認申請書など、税制上の優遇を受けるための届出も忘れずに行いましょう。

都道府県税事務所・市町村役場

各都道府県・市町村にも法人設立の届出が必要です。

社会保険(健康保険・厚生年金保険

従業員を雇用する場合はもちろん、代表者一人であっても、原則として社会保険への加入が必要です。管轄の年金事務所で手続きを行います。

関連記事:事業を始めたときの社会保険の手続き

労働保険(労災保険・雇用保険)

従業員を一人でも雇用する場合、労働保険の加入手続きが必要です。労働基準監督署やハローワークで手続きを行います。

関連記事:事業を始めたときの労働保険の手続き


以上の手順を踏むことで、株式会社を設立することができます。一つ一つの手続きを丁寧に行い、不安があれば専門家(司法書士、行政書士、税理士など)に相談することも必要です。


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