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労働時間

休憩時間でも電話に出てもらう必要があります、小規模事業の特例はないでしょうか?

Last Updated on 2025年8月26日 by

労働基準法の休憩についての質問です。従業員5名の零細企業です。通常、事務所に事務員1名しかいないので、昼休み中でも電話に出たりしてもらっています。電話番をさせると休憩を与えたことにならないそうですが、仕事の性格上、電話に出ないわけにはいきません。違う時間に休憩を与えるにしても、どの時間でも電話は鳴ります。このような小規模事業への特例はないのでしょうか?

大変悩ましい問題ですが、特例はありません。労働基準法の休憩時間の規定は雇用している人が一人でも守らなければなりません。対策について検討してみましょう。

法律上の原則

労働基準法34条は「労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を与えること」と定めています。

この休憩は「自由利用できること」が要件なので、電話番をしながらの休憩は「休憩」とは認められません。

事業の規模が小さい、電話応対が必須、などの事情があっても労働基準法の休憩規定に特例はありません。

従業員本人が「電話番していても構わない」と言っていても、会社が違反していることに変わりありません。休憩は「自由利用」が必須なので、電話に出てもらうと違反になってしまいます。

実務的な対応策

以下のような工夫が考えられます。

  1. 休憩時間を交代制にする
    事務員の休憩時間には、他の誰かが事務所に戻って電話を取るようにする。
  2. 留守番電話や転送機能を活用
    休憩時間中は携帯や外部のコールセンターに電話を転送する。

一つの例

労働基準法の休憩は、次の要件があります。

  • 労働時間が6時間を超えるとき45分以上、8時間を超えるとき1時間以上
  • 自由利用が条件
  • 途中に与えること(勤務の始めや終わりにまとめるのはNG)
  • 一斉付与の原則あり(ただし労使協定で適用除外可)

以上の条件を踏まえると、例えば3時ころには他の社員が戻ってくるという職場であれば、次のようなやり方が可能です。

  • 休憩を例えば3時からとする(労働時間の途中であれば問題ありません)
  • お昼には30分の食事休憩を与える。この時間は法定外の休憩なので、有給にする必要がありますが、代わりに電話応対等の軽い労働はしてもらうことができます。

法定休憩の要件は午後3時の1時間で満たしているので、昼の電話番をしている状態が問題になることはありません。

この場合の規定例

第○条 事務員の休憩時間は正午から1時間とする。ただし、事務員が複数配置されるようになるまでの期間は、午後3時から午後4時までの1時間とする。
2 前項の但し書きが適用されている期間には、前項の休憩時間とは別に、正午に30分間の法定外休憩時間を与える。この時間は有給とし、業務上の必要に応じて電話応対その他の軽度の業務に従事してもらうことがある。

これは、やり方の一つです。できない、無理だという発想では「違反状態」から抜け出すことができません。いろいろ工夫してみましょう。


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