Last Updated on 2024年8月20日 by 勝
時間単位取得とは
年次有給休暇は、労働者の心身の疲労を回復させることを目的とするので、従来は時間単位で付与しては、十分な回復が見込めないという考えから、1日単位で取得するべきとされ、時間単位は違法と解釈されてきました。
今は、労働基準法で、労使協定を締結することで時間単位の有給休暇取得を取り入れることが認められています。
実施手続き
労使協定を締結して就業規則を改定すれば時間単位で年次有給休暇を消化する制度を作ることができます。会社に制度導入の義務があるわけではなく、また、労働者側が同意しなければ制度をつくることができません。
労使協定の締結
労使協定では次の4項目を定めます。
1.時間単位年休の対象者の範囲を決めます。必ずしも全ての労働者にする必要はありません。
2.時間単位年休の日数を5日以内で決めます。
3.時間単位年休一日の時間数を決めます。一日の所定労働時間が8時間であれば、時間で取得した時間数の累計が8時間分になったときに、一日の有給休暇を取得したと数えます。7時間であれば7時間分になったときです。もし、所定労働時間が7時間30分のように端数があれば、(有給休暇に分単位の概念がないため)繰り上げて8時間付与することになります。端数処理を労働者に有利にということです。
4.一時間以外の時間を単位とする場合はその時間数を決めます。普通は1時間単位で決めると思いますが、選択肢としては2時間、3時間という単位も認められています。
対象者を限定しない労使協定のサンプル
→時間単位年休に関する労使協定のサンプル1
対象者を限定する労使協定のサンプル
→時間単位年休に関する労使協定のサンプル2
就業規則の改定
時間単位の年次有給休暇についての労使協定は労働基準監督署へ届出する必要はありませんが、就業規則を改定して届出する必要があります。
就業規則の規定:時間単位付与|就業規則
注意点
時間単位年休の繰り越し
通達では「当該年度に取得されなかった年次有給休暇の残日数・時間数は、次年度に繰り越されることになるが、 当該次年度の時間単位年休の日数は、 前年度からの繰越分も含めて5日の範囲内となるものであること」と示しています。
時間単位年休は繰り越しされません。例えば、5日分40時間の時間単位年休のうち20時間を使って20時間を残した場合、翌年の時間単位年休は40時間プラス20時間にはならず、あくまでも5日分40時間となります。
年次有給休暇全体としては繰り越されるので、消えるわけではありません。
取得義務化5日の対象外
時間単位年休は、平成31年施行の年5日の取得義務化による5日の対象外です。
対象労働者の範囲
労使協定で時間単位年休の対象労働者の範囲を決めることができます。ただし、正常な事業運営の必要性などで対象外の労働者を設定することができますが、例えば、育児を行なう労働者に限るなど取得目的による制限は認められません。