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労働時間

夜勤のみの勤務を希望する従業員がいますが、希望通りにしてよいでしょうか?

Last Updated on 2025年9月3日 by

介護施設ですが、変形労働時間制を採用し、なるべく平等に夜勤を負担するようにシフト管理していますが、夜勤専門で働きたいという希望するものがいます。夜勤のみの従業員がいることについて、法令で何か制約ははありますか。法以外では何か問題が考えられるでしょうか。

介護施設で「夜勤専門」で働きたいという従業員をどう扱うかについて、法令上の制約と、実務上の注意点を整理します。

法的な観点

変形労働時間制との関係

変形労働時間制は「繁閑に応じて勤務時間を調整する制度」ですが、労使協定や就業規則で定めた運用範囲の中で、特定の従業員に夜勤を集中させても、法令上は特に違反にはなりません。

深夜労働との関係

22時〜5時に労働させる場合は、通常の賃金の25%以上の割増賃金(深夜割増)が必要です。

女性・男性ともに深夜業に制限はありません(かつて女性保護規定がありましたが廃止済み)。18歳未満の労働者は深夜労働禁止です。

健康確保の観点

夜勤は労働時間が長くなりがちなので、労働時間上限や休息期間との関係に注意しなければなりません。

法以外の実務上の懸念

健康確保の観点

夜勤専門は生活リズムが崩れやすく、健康障害(睡眠障害・循環器系リスクなど)のリスクが高まることが知られています。健康診断でのチェック、本人への健康指導が重要です。

夜勤者(夜間勤務を週に1回以上、または月に4回以上している従業員)には労働安全衛生法に基づく「特定業務従事者健康診断」が年2回義務付けられています。これは、配置換えの際とその後6ヶ月ごとごとに1回の受診が必要です。

公平感・チームワーク

夜勤のみの人と、シフトに応じて日勤・夜勤を交代している人の間で「夜勤手当を夜勤専門者が独占して高収入になる」「日勤の雑務や家族対応を避けている」などの不公平感や不満が生じることがあります。

人員配置・教育

夜勤のみの従業員は、昼間のカンファレンスや研修に参加しにくいため、情報共有や教育に遅れが出やすいです。

利用者や家族との日中のやり取りに関わらないことで、利用者支援の一貫性が損なわれるおそれもあります。

労務管理

夜勤専門者が欠勤・退職した場合に、他の職員にしわ寄せが出やすいです。

夜勤専門になった経緯の記録が残っていないと、後トラブルになる可能性があります。

まとめ

法的には夜勤専門を禁止する規定はありません。ただし労働時間管理・深夜割増・健康確保義務には注意が必要です。

実務面では、健康リスク、不公平感、教育・情報共有の遅れなどが大きな課題になります。


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