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採用の事務

中途採用面接マニュアル(面接担当者向け)

Last Updated on 2025年8月13日 by

中途採用も新卒採用も面接に基本的な違いはありませんが、中途採用の方が確認しておきたい事項が多くなる傾向があります。

中途採用 面接マニュアル

1. 面接前の準備

応募書類の確認

履歴書・職務経歴書・資格証明等を事前に熟読し、質問ポイントをメモ

職歴の空白期間や短期離職がある場合は、質問の意図を明確にしておく

会場準備

室温・照明・机の配置を確認し、応募者が落ち着いて話せる環境を整える

役割分担(複数面接官の場合)

主質問者、評価記録者、補足質問者を事前決定

評価シート準備

中途採用用の質問シート&評価表を用意

2. 面接開始時の声がけ

第一印象を良くする挨拶

「本日はお忙しい中お越しいただきありがとうございます。どうぞよろしくお願いします」

場を和ませる一言

「本日は暑い(寒い)中お越しいただき恐縮です」

「緊張なさらず、これまでのご経験についてお聞かせください」

3. 面接の流れと時間配分(例:40分)

  1. 挨拶・アイスブレイク(3分)
  2. 自己紹介・職務経歴の概要(5分)
  3. 職務経験・成果の深掘り(10分)
  4. 転職理由・志望動機(7分)
  5. スキル・即戦力性の確認(7分)
  6. 人柄・職場適応力(5分)
  7. 逆質問(2分)
  8. 終了の挨拶(1分)

4. 質問例と質問の意図(中途用)

質問例質問の意図
これまでの職務経歴を要約してお話しください経歴整理能力・要点把握力
最も成果を上げた仕事は何ですか?成果・貢献度・仕事の進め方
転職を考えた理由は何ですか?キャリア志向・離職リスク
当社でどのように活躍できると思いますか?即戦力性・自己分析力
新しい職場環境にどう適応しますか?柔軟性・協調性
上司や同僚との意見の違いをどう解決してきましたか?対人スキル・調整力

中途面接では、新卒よりも「即戦力性」「成果」「転職理由」の確認が重要です。一方で、短期間の離職や経歴の空白など、応募者にとってセンシティブな質問も増えるため、聞き方と表情に注意してください。

応募書類の確認

履歴書と職務経歴書は事前に目を通して、質問のポイントをメモしておきましょう。

職務経歴書の内容が正確であるか確認するためには、面接担当者にその分野の専門知識が必要です。専門知識が不足していると考える場合には、その分野の専門知識を持ったメンバーを面接に加えることを申し出て下さい。

資格については、免許証等の写しがあるか確認して下さい。裏付けのない資格が記載されているときは、書類の提出を求める必要があるかどうか人事課に確認して下さい。自動車運転免許の保持者については現状の点数や事故歴についても質問して記録して下さい。

「履歴書に記載している資格以外に、特にアピールしておきたいスキルや経験はありますか?」

「賞罰は記載されていませんが、ないということでよろしいですね」

前職に関する質問

退職理由は重要なポイントです。転職自体は一般的であることを理解し、特に穏やかに質問して下さい。問題があると感じる回答であっても反論せずに、傾聴する姿勢を保って下さい。

「具体的なプログラミング言語やツールの経験を教えていただけますか?」

「職務経歴書に記載されているプロジェクトの中で、特に印象深い思い出はありますか?」

「退職については何かしらの理由があると思いますが、差し支えない範囲で理由を教えてもらってもよろしいでしょうか?」

「履歴書には一部の期間についての隙間が見られますが、それに関してなにか補足して説明したいことはありますか?」

「新しい職場で期待する環境や仕事の特徴がありますか?」

「チームワークやプロジェクトへの貢献において重視するべきポイントはどういうものだとお考えですか?」

志望動機の確認

応募者の社会人経験を踏まえ、過去のスキルと将来の成長に関する具体的な考え方を問うことが大切です。

「過去の職務経験を踏まえて、当社に応募する理由を教えてください?」

「当社に入社した場合、将来的にどのようなスキルを身につけたいと考えていますか?」

逆質問について

中途採用者の場合は即戦力を期待するので、会社が期待するスキル、待遇、その他十分に理解をしてきてもらう必要があります。質問が無い、イコール、入社したら不満を言わずに働くということではありません。質問がない場合と言われても、一つ二つ例を示しながら促してください。また、質問というと待遇や福利厚生についての質問が多いと思われます。そうした質問も大事ですが、仕事の内容についても質問してもらうように仕向けて下さい。

「これで私の方からの質問は終わりますが、逆にあなたの方から何か質問したいことはありませんか?」

「その他に、仕事の内容についての質問はないでしょうか?」

5. 自己PRの求め方

依頼例:「これまでの経験を踏まえて、当社で活かせる強みを教えてください」

評価ポイント

・強みが具体的な業務経験に裏打ちされているか
・数値や事例で説明できるか
・当社の職務要件に合致しているか

6. 個人情報・プライバシー配慮の注意点

聞いてはいけない内容(例)

家族構成、結婚・出産計画、宗教、病歴、出身地、国籍

配慮のポイント

離職理由を深掘りしすぎて私生活に踏み込みすぎない

健康状態は業務に支障があるかどうかの範囲でのみ確認

7. ハラスメント防止のための注意点

  • 性別・年齢・外見・服装に関する評価的コメントはしない
  • 威圧的な質問や圧迫面接は避ける
  • 冗談でもセクシャルな発言や容姿への言及はしない
  • 前職の否定や人格否定につながる発言をしない

セクシャルハラスメント等のハラスメントにならないように、言葉づかいだけでなく、自分の表情、目線にも気を配りましょう。

8. 面接終了時の声がけ

例文

「本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました」

「選考結果については◯日以内にご連絡いたします」

注意

その場で採否を告げない

最後まで表情や態度を一定に保つ

9. 採否判断と評価の記録方法

  • 面接終了直後に評価シートを記入
  • 「印象」ではなく、評価項目(スキル・成果・即戦力性・適応力など)に基づく採点
  • 複数面接の場合は意見を持ち寄って総合判断

10. 応募者対応マナー(案内・連絡)

会場案内は丁寧に、待機時間が長くならないよう管理

不採用時も丁寧な通知で企業イメージを保つ

応募者は貴重な時間とお金をかけて面接会場に足を運んでいます。応募者は過去または将来の顧客である可能性があります。応募者が不快な気持ちで会場を去ることは避けなければなりません。応募者が意に沿わない発言をしたり、間違っていることを発言したとしても、そうした発言を記録するだけにとどめて、反論などしてはいけません。

11. 面接記録の管理と社内共有ルール

評価シートや面接メモは採用業務以外で使用しない

個人情報は社内規定に基づき管理・廃棄

社外への持ち出しや無暗な共有は厳禁


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