Last Updated on 2023年11月27日 by 勝
給与のデジタル払い
労働基準法第24条第1項で、賃金は、原則、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならないと定められています。
そして、労働基準法施行規則第7条の2で、労働者の同意を得た場合には、①銀行その他の金融機関②金融商品取引業者への振込等による賃金支払いが認められていました。
令和5年4月から、資金移動業者が加わりました。
資金移動業者とは
具体的には、PayPay、楽天pay、LINE Payなどが資金移動業に該当します。
資金移動業の口座は、決済だけでなく、送金や出金ができる仕組みをもっています。給与のデジタル払いは、口座から送金や出金ができることが条件になっています。
このため、同じく電子マネーでもSuicaやWAONなどは、給与のデジタル払いの対象になりません。
会社の手続き
賃金のデジタル払いを採用するかどうかは会社の判断によります。あくまで選択肢の一つであり、法令等で強制されているものではありません。
賃金のデジタル払いを導入する場合には、会社と労働組合又は労働者の過半数を代表する者との間で労使協定を締結し、その上で、希望する従業員の同意を得て実施します。
労使協定では、賃金のデジタル払いを適用する労働者の範囲や取扱指定資金移動業者の範囲等を定めます。
労使協定サンプル:賃金デジタル払い労使協定のサンプル
労使協定を締結したら、デジタル払いを希望する従業員から、①デジタル払いで受け取る賃金額、②資金移動業者名と口座番号、③代替口座情報を届け出てもらいます。
同意書サンプル:賃金の口座振込に関する同意書のサンプル
従業員の手続き
希望しない従業員は、これまでどおりの方法で賃金を受け取ることができます。また、会社はデジタル払いを希望しない従業員に強制してはいけません。
賃金の一部をデジタル払いで受け取り、残りを銀行口座等で受け取ることも可能です。
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