遅刻した時間分無給の残業をさせることができるか

Last Updated on 2023年2月26日 by

遅刻分を終業後に勤務させることについて

遅刻した時間を、終業時刻後の残業時間で埋め合わせさせることはできるのでしょうか?

遅刻をすると、その日の仕事が滞るので、いつもより帰りが遅くなる可能性が高いと思います。

その場合、一般的には遅刻分は賃金カット、残業時間には割増賃金を払う、と別々の扱いをすることが多いと思いますが、1時間遅刻して1時間残業すると、割増分を得をすることになり、他の従業員に対して不公平になります。

このような場合について、厚労省の通達がでています。

厚労省通達昭29.12.1基収第6143号
例えば労働者が遅刻をした場合、その時間だけ通常の終業時刻を繰下げて労働させる場合には、1日の実労働時間を通算して法第32条又は第40条の労働時間を超えないときは、法第36条第1項に基づく協定及び法第37条に基づく割増賃金支払の必要はない。

つまり、遅刻した時間を終業後の時間で埋め合わせて、その部分について割増扱いをしないことは問題ありません。

注意点

トータルの労働時間が法定労働時間を超える場合は別で、超えた部分について割増賃金が必要です。

就業規則の規定が「所定の終業時刻を超える時間外勤務に対し割増賃金を支給する」という表現であれば、文言通りに解釈して遅刻分は賃金カット、残業時間には割増賃金と分ける必要があるでしょう。

また、遅刻はしたものの定時で帰りたいと希望する場合は、遅刻を理由に終業時間後の労働を強制することはできません。遅刻部分の賃金カットのみで対応します。

会社事務入門労働時間の適正な管理時間外労働に対する割増賃金>このページ


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