Last Updated on 2025年8月11日 by 勝
「減価償却費の計算」と「償却資産申告書」…言葉を聞くだけで難しそうと感じる方も多いかもしれません。ですが、これらは会社の財産を正しく管理し、税金を納める上で非常に重要な手続きです。
この記事では、固定資産管理の初心者向けに、減価償却の計算方法から、償却資産申告書の作成までをわかりやすく解説します。
減価償却計算の基本
減価償却とは、固定資産の取得費用を、利用できる期間(耐用年数)にわたって少しずつ費用として計上していく会計上の手続きです。
減価償却が必要かどうかについては、資産の取得価額によって変わります。10万円以上であれば原則として減価償却を行いますが、20万円未満の場合は一括償却資産、30万円未満は少額減価償却資産の特例が適用される場合があります。
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償却資産申告書の基本
償却資産申告書とは、会社が所有する事業用の固定資産(土地・家屋を除く)を、毎年1月1日時点の状況で市区町村に申告するための書類です。この申告に基づいて、「固定資産税(償却資産)」が課税されます。
申告の対象となる資産
・構築物(アスファルト舗装、塀、門、フェンス、看板、屋外給排水設備、煙突、鉄塔など)
・機械及び装置(太陽光発電設備、製造工作機械、製造加工機械、旋盤、ポンプなど)
・車両及び運搬具(フォークリフト等の大型特殊自動車貨車、構内運搬具、客車、トロッコなど)
・工具、器具、備品(測定工具、切削工具、机、いす、パソコン、レジスター、エアコンなど)
対象となる資産の詳細は、市区町村から送られてくる申告書に資料が同封されています。また市区町村のホームページに掲載されています。
減価償却計算から申告書作成までの流れ
1.固定資産台帳の整備: まず、会社が保有するすべての償却資産をリストアップした固定資産台帳を作成します。取得価額、取得日、耐用年数、償却方法などを正確に記録します。
2.減価償却費の計算: 固定資産台帳の情報に基づき、個々の資産についてその年度の減価償却費を計算します。
3.期末簿価の算出: 取得価額から、これまでの償却費の累計額を差し引いて、期末時点の帳簿上の資産価値(簿価)を算出します。
4.申告書の作成: 計算した期末簿価をもとに、償却資産申告書を作成します。
5.申告期限: 申告書の提出期限は、原則として毎年1月31日です。
これらの作業は、固定資産管理のソフトやクラウドサービスを使うと、より効率的に、正確に行いことができます。
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土地・家屋は申告不要
土地と建物、そして償却資産は、いずれも固定資産税が毎年1月1日時点の所有者に課税されますが、課税対象や管理方法が異なります。
固定資産税(一般的な意味)
対象:土地・家屋・償却資産の3種類
土地や家屋は所有者からの申告は不要です。
土地や建物は「不動産登記情報・建築確認申請・現地調査(航空写真等)」という複数ルートで網羅的に把握されるため、納税者が申告しなくても課税できる仕組みがあるのです。
償却資産税(固定資産税の一部)
対象:土地・家屋以外の事業用資産(機械、器具備品、構築物など)
事業者が毎年1月1日時点の保有状況を自ら申告する必要があります。
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