カテゴリー
経理の事務

土地や機械はいくらで計上する?固定資産の取得価額をやさしく解説

Last Updated on 2025年8月11日 by

会社を経営していると、事業のために土地や機械を購入することがあります。これらは会社の財産であり、「固定資産」として帳簿に記録する必要があります。

しかし、この固定資産をいくらの金額で帳簿に載せるか、考えたことはありますか?ただ単に購入したときの金額だけを計上すればいいのでしょうか?

実は、固定資産の計上には、その固定資産が使えるようになるまでにかかった様々な費用を含める必要があります。これを「取得価額」と呼びます。今回は、この取得価額について、わかりやすく解説します。

取得価額とは?

取得価額とは、固定資産を購入したときの価格だけでなく、その固定資産を事業で使える状態にするまでにかかったすべての費用を合計した金額のことです。

減価償却をするには取得価額を確定させなければなりません。

たとえば、機械を購入した場合を考えてみましょう。

・機械本体の購入代金
・機械を運ぶための運送料
・機械を設置するための設置費用
・機械が正常に動くか確認するための試運転費用

これらの費用はすべて、機械が使えるようになるために必要な費用ですよね。だから、これらの費用を合計して、取得価額として計上します。

取得価額に含むもの含まないもの:例

固定資産の取得価額に含まれるもの・含まれないものは、資産の種類ごとにルールが少しずつ異なります。以下、土地・建物・償却資産に分けて整理します。

土地の場合

土地の取得価額には、購入代金のほか、所有権移転登記のための登録免許税や司法書士への報酬、仲介手数料、取得時に必要な造成費、不動産取得税などが含まれます。
一方で、取得後に発生する固定資産税や都市計画税、維持目的の造成や整地の費用、取得後の融資利息、境界確認のための測量費などは取得価額には含まれません。
土地は減価償却しないため、取得価額は原則として帳簿上ずっと変わりません。

建物の場合

建物の取得価額には、工事請負代金や設計費・監理費、建築確認申請料、工事中の足場や養生などの仮設設備費、登記費用、さらに一定の条件を満たす建築中の利息も含まれます。
これに対して、引渡し後の修繕費、火災や地震などの保険料、取得後に発生する固定資産税や融資利息、開業告知のための広告宣伝費、家具や備品の購入費などは取得価額に含めません。

償却資産(機械・器具備品など)の場合

償却資産の取得価額には、購入代金だけでなく、運搬費や荷役費、据付・組立費、試運転にかかった費用、関税や輸入時の諸費用などが含まれます。
反対に、運用後の保守契約料、耐用年数1年未満や取得価額10万円未満の消耗品、運用後に作成する操作マニュアル費用、消耗燃料費、設置完了後の融資利息などは取得価額に含めません。

まとめの考え方

固定資産の取得価額は、ただ購入した金額を計上するだけではありません。その固定資産が事業で使える状態になるまでに通常必要とされる費用をすべて合計した金額です。

正しく取得価額を計算することで、会社の財務状況を正確に把握し、健全な経営を行うことができます。もし迷ったときは、「その費用は、固定資産が使えるようになるために必要だったか?」を考えてみてください。


関連記事:初心者でもわかる!固定資産管理の基本

会社事務入門事務処理のいろいろと事務処理の効率化>このページ