Last Updated on 2025年8月12日 by 勝
職能給(職能資格給)は、日本の多くの企業で長年使われてきた給与制度で、社員の能力や成長度合いを評価して支給額を決める方式です。
職能給の基本的な考え方
「人材は育てれば価値が上がる」という発想に基づき、社員の潜在能力や将来の期待値を給与に反映します。
担当している仕事の内容だけでなく、「その人ができると期待されること」まで評価に入ります。
評価基準の例
職能給制度は、統一的な規格があるわけではないので、企業によって細部の制度設計が異なりますが、主に以下が評価対象になります。
・知識(専門知識、業務知識の広さ・深さ)
・技能(作業・技術の精度やスピード)
・判断力(問題解決や意思決定能力)
・コミュニケーション能力(社内外との調整力)
・マネジメント力(部下育成やチーム運営)
・経験年数(経験の蓄積に伴う熟練度)
運用の仕組み
職能資格等級表を作り、「等級ごとの期待能力・役割」を定義します。
たとえば「等級1=基本的業務を指示通りこなせる」「等級3=後輩を指導できる」など。
定期的(年1回など)に評価し、能力が基準に達したら等級を上げ、連動して給与を昇給させます。
関連記事:職能資格等級表とはどういうものか?「等級」と「号俸」の関係も解説
職能給のメリット
特定の仕事ができるかどうかより、会社員としての総合力を評価する制度なので、人事異動があって別の部署に移っても従来の等級を維持することができます。
どのような点を向上させれば等級があがるかを明示できるので、賃金への納得感が高まります。
職能給のデメリット
等級の前提となる評価が正しく実施されないことがあると、結果として年功給と変わりない結果になります。
低成長時代には、役職のポストが少ないので、等級が上昇しても希望通りの役職昇任ができない人が増えます。
役職昇任する人が少なくても、基本給の大部分は等級によって決まるので、人件費は引き続き膨張します。
会社事務入門>賃金・給与・報酬の基礎知識>主な賃金制度の解説>このページ