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賃金

主な賃金制度の解説

Last Updated on 2023年11月15日 by

主な賃金制度

賃金制度は従業員に支払う賃金を決めるルールのことです。

主な賃金制度としては、勤続年数・年齢・学歴など個人の属性で賃金が決まる「年功給」や、個人の職務遂行能力を評価して賃金が決まる「職能給」があります。

年功給、職能給、能力給、役割給、職務給、成果給

年功給

年功給は、勤続年数を一番の要素として給料を決める賃金制度です。年齢給や勤続給ということもあります。

新卒の初任給、学歴、性別などにより決定し、中途入社は従来からいる同じ年齢の従業員の給料とあわせて決定します。年齢給や勤続給ということもあります。

純粋な年功給では能力や成果による調整がないので、勤続年数によって皆同じ金額で昇給します。

これまでの賃金制度は年功給が主流だったといわれることがありますが、実際には純粋な年功給は少なく、能力や成果を加味して若干の差を生じさせるのが一般的でした。

年功給のメリット

年功給のメリットは、第一に会社への帰属意識を高めることです。長く在籍するほど有利になるこの制度は、会社を発展させることで社員の生活も改善されることが前提なので、会社の存続を優先する価値観が醸成されました。

年功給のデメリット

努力してもしなくても給与の上昇は同じなので、平穏無事、大過なく過ごそうという人が増えることになります。また、成果を上げても見返りが少ないので、成果を上げた人ほど不満が溜まるようになります。

職能給

職能給は、現在多くの会社で用いられている賃金制度です。

社員をレベルをいくつかの等級に位置付けし、その等級に応じた賃金を支給し、成果・能力等が向上することで位置づけを上昇させていく賃金制度です。

職能給のメリット

特定の仕事ができるかどうかより、会社員としての総合力を評価する制度なので、人事異動があって別の部署に移っても従来の等級を維持することができます。

どのような点を向上させれば等級があがるかを明示できるので、賃金への納得感が高まります。

職能給のデメリット

等級の前提となる評価が正しく実施されないことがあると、結果として年功給と変わりない結果になります。

低成長時代には、役職のポストが少ないので、等級が上昇しても希望通りの役職昇任ができない人が増えます。

役職昇任する人が少なくても、基本給の大部分は等級によって決まるので、人件費は引き続き膨張します。

その他の賃金制度

成果主義賃金制度

成果主義賃金制度とは、仕事の成果に応じて賃金やボーナスなどに大きく格差をつける賃金制度です。

上司との話し合いで目標を設定して、目標の達成度を賃金に反映させるものです。

しかし、実際の運用にあたっては、会社から求められる目標設定は高くなっていく一方なので、低成長時代には、達成不可能な目標を追いかけることになります。その結果、いつも未達ということになってしまうので、不満がたまりがちになります。

また、個人個人が自分の成果を優先するので、チームで働く仕事では矛盾が生じます。また、同僚をサポートすることもなくなります。

そして、競争の要素がありますから、全員にとって良いわけでなく、成果主義の制度ではいつまでも賃金が上がらない従業員も出てきます。成果をあげる従業員とあげれない従業員が固定化すると、全体としてモチベーションが下がります。

常に成果をあげることができる従業員にとっては良い制度です。

職務給

職務給は成果主義制度の一種です。

海外で主流となっている制度のようです。

賃金額は担当する職務によって決まります。この職務をやるのであればこの金額という決め方です。一定の職務能力を持っている人には公平な制度であり、職能給のように人件費が必ず上がるということもないので会社にとっても有利な制度です。

職務給においては、業務内容が変わらない限り昇給しないのが原則です。異動により業務内容を変えると賃金が下がる場合があるので、異動させにくくなります。業務範囲が明確なので、従業員は範囲を超える仕事をしなくなります。

役割給

役割給は一般的に管理職に適用される賃金制度です。

一定の裁量を認めて成果で評価する制度なので、成果主義制度の一種です。年で更新することが多いので年俸制と似ています。

成果が上がれば翌年の賃金が上がります。成果がよくないときは、理論的には賃金を下げることになりますが、労働契約法などの制限があるので、その点は難しいところです。

年俸制

年俸制とは、従業員の給料を1年単位で決める制度です。

年俸制とはどういう賃金制度か


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