Last Updated on 2023年10月15日 by 勝
特定商取引法とは
特定商取引法は、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律です。正式名称は「特定商取引に関する法律」といいます。
特定商取引法は「訪問販売」「通信販売」「電話勧誘販売」など消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象に、取引類型ごとに、トラブル防止のルールを定めています。
対象類型
特定商取引法の対象となる取引類型は以下の7つです。
訪問販売
事業者が自宅や職場への訪問販売(SF商法、キャッチセールス、アポイントメントセールスも含む)により、商品や権利の販売又は役務の提供を行う取引の事です。
通信販売
事業者が新聞、雑誌、折り込み広告、インターネット等で広告し、郵便、電話、ファクス、インターネット等を利用して購入申し込みを受ける取引のことです。
次項目の類型である 「電話勧誘販売」に該当するものを除きます。
電話勧誘販売
事業者が電話で勧誘を行い、申込みを受ける取引のことです。 電話をいったん切った後、消費者が郵便や電話等によって申込みを行う場合にも該当します。
連鎖販売取引(マルチ商法など)
個人を販売員として勧誘し、さらに次の販売員を勧誘する形で、販売組織を拡大して行う商品、役務の販売のことです。
特定継続的役務提供(英会話教室など)
長期・継続的な役務の提供と、これに対する高額の対価を約する取引のことです。 現在、エステ、語学教室、学習塾、家庭教師派遣、パソコン教室、結婚相手紹介サービス、美容医療が対象です。
業務提供誘引販売取引(内職商法など)
「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引のことのことです。
訪問購入
消費者の自宅等を訪問し、物品を買い取るいわゆる「押し買い」のことです。
行政規制
特定商取引法は、上記の取引類型に応じて以下のような規制を定めています。
氏名等の明示の義務付け
勧誘開始前に、事業者名、勧誘目的である旨などを消費者に告げることを義務付けています。ECサイトの場合は、EC サイトにこれらの内容を表記することを義務付けています。
不当な勧誘行為の禁止
不実告知(虚偽説明)、重要事項(価格・支払条件・契約解除等)の故意の不告知や威迫困惑を伴う勧誘行為等を禁止しています。
広告規制
通信販売や連鎖販売取引で広告をする際には、重要事項を表示することを義務付けています。
虚偽・誇大な広告の禁止
広告の表示事項等について、「著しく事実に相違する表示」や「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」を禁止しています。
オプトイン規制
消費者があらかじめ承諾しない限り、事業者が電子メール広告を送信することを原則禁止しています。また、消費者があらかじめ承諾しない限り、事業者がファクシミリ広告を送信することを原則禁止しています。
書面交付義務
契約締結時に、重要事項を記載した書面を交付することを義務付けています。重要事項とは、商品やサービスなどの質や用途に関する内容や、対価などの取引条件などが該当します。
特定商取引法の民事ルール
クーリングオフ
通信販売以外の取引では、消費者が意に反する契約により、不当な損害を受けないよう、契約書面を受け取ってから、一定期間はクーリング・オフにより契約の解除が出来ます。(法第15条の3)
クーリングオフの期間は、訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供・訪問購入は8日間、連鎖販売取引と業務提供誘引販売取引の場合は20日間です。
意思表示の取り消し
勧誘時に、事業者が嘘の説明や間違った情報を提示したり、伝えるべきことを故意に伝えなかったりしたために消費者の判断を誤らせた場合には、消費者は「意思表示の取り消し」が認められています。(法第15条の4)取り消しができる期間は、追認することができる時から1年です。
過量販売
訪問販売、電話勧誘販売について、日常生活において通常必要とされる分量を超える商品・サービスを契約した場合、契約締結の時から1年以内であれば解除することができます。
中途解約
連鎖販売取引や業務提供誘引販売取引は、複雑な取引で、取引に不慣れな個人が契約内容を理解しないまま契約しがちであること、特定継続的役務提供取引については長期間にわたる契約で、サービスの質や効果が分かりにくい取引であることから、中途解約して適正な額の返金を受けることができることが定められています。
消費者が支払う損害賠償等の制限
消費者が中途解約する際等に、事業者が請求できる損害賠償額に上限が設定されています。