Last Updated on 2023年12月11日 by 勝
消費者契約法とは
消費者契約法は、消費者と事業者が契約を結ぶときに立場の弱い消費者に不利益が生じないように、消費者保護を定めた法律です。
消費者契約法の骨子は次の2つです。
1.不当な勧誘により締結してしまった契約は、後から「取消し」できます。
2.消費者の利益を不当に害する契約条項は、「無効」となります。
消費者の取消権
消費者契約法では、以下のような不当な勧誘による契約について、あとから消費者が取り消しする権利(取消権)を定めています。
1 消費者は退去をお願いしているのに強引に居座った(不退去)
2 消費者は帰りたいと伝えているのに強引に引き留めた(退去妨害)
3 勧誘すると告げずに退去困難な場所へ同行して勧誘
例)山や海など交通の便が悪いところなどへ出かけた先で商品を売り込む
4 威迫する言動を交えて消費者の第三者への相談の連絡を妨害
例)学生に対して「大人だから自分で決めないと」と親への相談を妨害して勧誘する
5 社会経験の乏しさを利用して就職セミナーなどで消費者の不安をあおった(不安をあおる告知)
6 社会経験の乏しさを利用してデート商法などで消費者の好意を利用した(好意の感情の不当な利用)
7 高齢による判断力低下を利用して消費者の不安をあおった(判断力の低下の不当な利用)
8 消費者が成年後見制度を利用すると契約を解除する条項
霊感などの知見を用いた告知
例)消費者に対し「病気になったのは悪霊のせい」など不安をあおる
特別な能力によって消費者の不安をあおった(霊感等による知見を用いた告知)
9 契約前に目的物の原状を変更して回復を著しく困難にする行為
例)指輪の鑑定を依頼されて勝手に宝石部分を取り外し、もとに戻せなくする
10 契約前なのに消費者から強引に損失補償を請求した(契約締結前に債務の内容を実施等)
11 消費者にとって分量や回数などが多すぎる(過量契約)
取消権の行使期限
消費者契約法では、「取消し」ができる期間を以下のように定めています。
追認できる時点から1年(霊感などによる知見を用いた場合は3年間)
契約の締結時から5年(霊感などによる知見を用いた場合は10年間)
「追認できる時点」とは、消費者が契約内容の誤認や勧誘による困惑を脱して、取り消しの原因だった状態が消滅したときを意味します。
無効になる契約内容
「事業者は損害賠償の責任を負わない」「消費者はどんな場合でもキャンセルできない」など、以下のような消費者の利益を不当に害する契約条項は無効となります。
1 事業者が責任の有無を自ら決める、責任があっても損害賠償責任はないとする条項
2 消費者に一切のキャンセルや返品・交換を認めないとする条項
3 消費者が成年後見制度を利用すると契約を解除する条項
4 消費者が負う損害金やキャンセル料が高すぎる条項
5 消費者の権利を制限するなどして一方的に不利にする条項
相談窓口
全国の消費生活センター等
消費者ホットライン
全国どこからでも、3桁の電話番号「188」に電話すると消費生活相談窓口を案内してくれます。
以上は、令和5年6月1日改正施行を含む概要です。詳細は次のサイトをご参照下さい。