Last Updated on 2025年9月19日 by 勝
著作権の注意点
法令や官公庁記事の利用
法令・通達を所管する官公庁のホームページからコピーすることがあると思いますが、法律・政省令・告示・判決などは「著作物ではない」ので自由に利用できます。
官公庁のサイトにある「制度の説明記事」「図解」「Q&A」などは、職員が文章化した「表現」であり、原則として著作権が生じます。
ただし、多くの省庁サイトでは「出典を明示すれば自由に引用・転載可能」などの利用条件が示されています。なかには、利用を禁じている官公庁サイトもあるので注意が必要です。
書籍・民間記事からの利用
表現をそのまま引用する場合
文章をそのまま紹介する場合には、著作権法上の「引用」として扱う必要があります。引用の要件としては、
- 公表された著作物であること
- 必要性があること
- 主が自分の文章で従が引用した部分という主従関係が明確であること
- 自分の話と引用部分が明確に区別できること
- 出典を明示すること
が求められます。
引用と認められる要件を少し詳しく説明します。
著作権法第32条には、「引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」と定められています。この条文と過去の裁判例などから、一般的に以下の要件を満たす必要があるとされています。この要件が、一つでも欠けると著作権侵害となる可能性があります。
- 公表された著作物であること
- 引用できるのは、すでに公表されている著作物に限られます。
- 非公開の論文や未発表の作品、個人のSNSアカウントの鍵付き投稿などは引用できません。
- 引用の必要性があること
- なぜその著作物を引用しなければならないのか、明確な理由が必要です。
- 単に装飾や面白さのため、あるいは自分の文章のボリュームを増やすためといった目的では、正当な引用とは認められません。
- 主従関係が明確であること
- 「主」は自分の著作物、「従」は引用した部分という関係性が不可欠です。
- 自分の文章がほとんどなく、他者の著作物をコピペした部分が大部分を占めるような場合は、「引用」ではなく「転載」とみなされ、著作権侵害となる可能性が高いです。
- 引用部分が明確に区別されていること
- 引用した部分が、自分のオリジナルな部分と見てすぐに区別できるようにする必要があります。
- 具体的には、文章の場合は「カギ括弧(「」)」や「引用符(””)」で囲む、インデント(字下げ)や背景色を変えるといった方法が一般的です。
- 画像や図版の場合は、キャプション(説明文)を付けるなどして、引用であることを明確にします。
- 出所(引用元)が明示されていること
- 誰のどの著作物から引用したのかを、明確に表示しなければなりません。
- ウェブサイトからの引用であれば、「サイト名」と「URL」を明記します。
- 書籍からの引用であれば、「書籍のタイトル」「著者名」「出版社名」「発行年」を記載するのが一般的です。
内容(知識・情報)だけを参考にして自分の言葉でまとめる場合
書籍等を参考にしたとしても、自分の言葉で書いた文章は、基本的には、著作権侵害にならないことになっています。模倣しすぎると「翻案」とみなされる可能性があります。
配布範囲と私的利用の誤解
いわゆる私的利用であれば認められることもありますが、事業活動として配布することは、私的利用の範囲には入りません。必ず権利処理や引用ルールを守る必要あります。
引用と転載の違い
「引用」は、あくまで自分の意見や主張を補強するために、必要最小限の範囲で他者の著作物を利用する行為です。正しい「引用」であれば、著作権者の許諾がなくても利用できます。
「転載」は著作物の全部または大部分を掲載することです。転載は、引用と違って著作権者の許諾が必要です。たとえば、他者の記事をそのまま自分のブログに貼り付ける行為は「転載」にあたり、無断で行えば著作権侵害となります。
会社事務入門>このページ