出張中に利用した交通系ICカードの精算をどうするか?

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Last Updated on 2025年9月28日 by

出張中の細かな交通費(特に都市部の電車やバス代など、Suica/ICカードでの支払いが多いもの)の精算と、領収書がないという問題は、多くの企業で総務・経理担当者を悩ませる共通の課題です。効率性を保ちつつ、税務上の要件を満たすための具体的な方法をいくつか提案します。

ICカードの利用履歴を活用する

最も一般的かつ効率的な方法です。SuicaなどのICカードの利用履歴を証憑として活用します。

① 利用履歴の印刷・提出

  • 方法: 出張者本人に、出張後に駅の自動券売機専用端末(一部のコンビニなど)でICカードの利用履歴を印字してもらい、それを精算書に添付して提出させます。
  • 利点: 従業員がいちいち切符を買う手間がなく、実際に利用した運賃が証明できます。
  • 総務の対応:
    • 利用履歴のどこからどこまでが出張期間・業務利用分なのかを、精算書に明確に記載させるルールを設けます。
    • プライベート利用分が混ざっていないかを確認します。

② 交通系ICカードと経費精算システムの連携

  • 方法: 経費精算システムや出張管理システムの中には、交通系ICカードのリーダーアプリ連携機能があり、カードを読み取るだけで利用履歴を自動で精算データとして取り込めるものがあります。
  • 利点: 従業員の手入力の手間がなくなり、ミスや不正を防止できます。

少額の特例

消費税法施行令の第49条に3万円未満の取引については領収書が不要という内容が記載されています。これを受け、少額な交通費の場合で、3万円未満であれば、領収書等の提出を不要と精算書で対応している企業もあるようです。 

  • 総務の対応:
    • 可能な限り領収書を提出することを原則とする。
    • 「出張旅費規程」に、「やむを得ない事情により、電車代やバス代など交通機関の運賃の領収書を得ることができなかったときは、出金伝票または利用明細をもってこれに代える」という旨を規定します。
    • 金額の妥当性を確認するため、出張者に「利用した日付」「乗車区間」「運賃」を精算書に必ず記載させます(いつ、どこへ、何のために利用したのかがわかるようにする)。

法人向けサービス・システムの導入

恒常的に出張が多い場合は、抜本的な効率化を検討します。

方法概要利点
法人向け交通系ICカード会社名義のICカードやプリペイドカードを従業員に貸与する。履歴が明確になり、私的利用との区別が容易になります。
BTM(出張管理)システム経費精算機能と連携したシステムを導入する。申請・承認・手配・精算をすべてオンラインで完結させ、領収書の手間や精算の遅れを解消できます。
コーポレートカードの活用交通費の実費精算にコーポレートカード(法人クレジットカード)の利用を推奨する。カードの利用明細が証憑となり、立替払いの手間も削減できます。

まとめ

最も現実的で効率的なのは、ICカードの利用履歴の印刷や、精算書への詳細記載を義務付け、その根拠を出張旅費規程に明確に盛り込むことです。これにより、従業員の負担を増やさずに、経費の妥当性を担保できます。