フレックスタイム制を定める
労使協定で詳細を定めた場合でも、就業規則にはフレックスタイム制を導入する旨、対象とする労働者の範囲、および清算期間と総労働時間に関する基本的な事項を必ず規定する必要があります。
労使協定は、労働基準法で定められた特定の事項について、労使間の合意内容を明確にするためのものです。一方、就業規則は、労働条件に関する包括的なルールであり、労働基準法上、労働者に周知徹底させる義務があります。
就業規則には、以下の3点を中心にシンプルに規定します。詳細なコアタイムやフレキシブルタイム、賃金の精算方法は「労使協定に定める」として委任するのが一般的です。
規定例
フレックスタイム制を導入する旨
この制度を会社で採用することを明記します。
規定すべき内容 | 就業規則のサンプル |
制度の採用 | (フレックスタイム制) 社員の生活と業務の調和を図り、効率的な働き方を実現するため、第〇条に定める部署の社員について、フレックスタイム制を適用する。 |
対象となる労働者の範囲
どの部署・社員に適用するのかを明確にします。
規定すべき内容 | 就業規則のサンプル |
対象者の範囲 | (対象社員) フレックスタイム制の対象者は、○○部、××部に所属する社員、および会社が特に指定した社員とする。 |
清算期間と総労働時間に関する基本的な事項
労使協定で定めた清算期間の期間と、その期間内で働くべき総労働時間の決定方法の原則を記載します。
規定すべき内容 | 就業規則のサンプル |
労働時間の決定 | (労働時間) 1. 清算期間は、〇ヶ月(起算日は毎月1日)とする。 2. 始業および終業の時刻は、社員の決定に委ねる。 3. 清算期間における総労働時間、コアタイム、フレキシブルタイム等、制度の詳細については、労働基準法第32条の3の規定に基づく労使協定に定めるところによる。 |
ポイント
労使協定と就業規則の関係の整理すると次のようになります。
規定 | 役割 | 記載内容 |
就業規則 | 制度の原則的な導入と適用範囲の宣言 | 「フレックスタイム制を導入する」「対象者は誰か」「清算期間は〇ヶ月とする」など、制度の基本的な骨格。 |
労使協定 | 具体的な労働条件の細則の合意 | コアタイム、フレキシブルタイムの時間帯、総労働時間の具体的な計算、賃金精算(給与控除・割増賃金)の方法など、詳細な運用ルール。 |
労使協定で詳細を定めていれば、就業規則では「詳細は労使協定による」として委任することで、就業規則の変更手続きを頻繁に行う手間を省くことができます。