メンタヘルスケア規程のサンプル

その他の規程

Last Updated on 2025年9月15日 by

メンタルヘルスケア規程を制定する意義

重要性を強調

メンタルヘルスケアに関する事項を一つの規程に集約することで、会社が従業員の心の健康を経営課題として重視しているという強いメッセージを示すことができます。これにより、従業員の安心感が増し、メンタルヘルスに関する取り組みがより円滑に進む効果が期待できます。

全体像と連携体制の明確化

メンタルヘルスケアは、予防から復職支援まで多岐にわたります。ストレスチェック規程や衛生委員会規程、休職規程などもメンタルヘルスケアに関係する規程ですが、全般を網羅するメンタルヘルスケア規程を制定することで、以下の全体像を明確にすることができます。

  • 目的と基本方針: 従業員の心の健康を守るという会社の基本姿勢を明文化します。
  • 役割分担: セルフケア、ラインケア、事業場内スタッフ、事業場外資源という「4つのケア」の役割を明確に規定します。
  • 各規程との連携: ストレスチェック、衛生委員会、休職制度などの既存規程との関係性や、各規程がどのように連動してメンタルヘルスケア全体を構成するかを示します。

これにより、関係部署(人事、総務、現場の管理職など)の連携がスムーズになり、個々の取り組みがバラバラになることを防げます。

メンタルヘルスケア規程の構成

メンタルヘルスケア規程を「全体を束ねる基本方針」として位置づけることをおすすめします。

  • 規程の名称: 「メンタルヘルスケア規程」
  • 記載内容:
    • 目的(基本理念)
    • 会社の基本方針
    • 4つのケア(セルフケア、ラインケアなど)それぞれの役割と責任
    • 休職・復職手続きの流れと、産業医などとの連携
    • 相談窓口の周知方法
    • 守秘義務とプライバシー保護

これらの内容を定めた上で、「ストレスチェックの実施に関する詳細は別途定める規程による」「衛生委員会での審議は別途定める規程による」といった形で、個別規程との連携を明記すれば、重複を避けつつ全体像を明確にすることができます。

このアプローチを取ることで、個別の規程の存在価値を損なうことなく、より包括的で体系的なメンタルヘルスケア体制を構築できるでしょう。

メンタルヘルスケア規程のサンプル

承知いたしました。ご要望の変更を反映したメンタルヘルスケア規程のサンプルを以下に示します。

メンタルヘルスケア規程

第1条(目的)

本規程は、当社における従業員の心身の健康を保持増進し、活気に満ちた快適な職場環境を形成することを目的とする。

第2条(基本方針)

会社は、従業員の心の健康を重要な経営課題と認識し、以下の基本方針に基づき、総合的なメンタルヘルスケア対策を計画的かつ継続的に実施するものとする。

  1. 心の健康問題の予防
  2. 不調の早期発見と適切な対応
  3. 円滑な職場復帰支援と再発防止

第3条(本規程の適用範囲)

本規程は、当社の全従業員に適用する。ただし、雇用形態や勤務形態により適用範囲を別途定めることがある。

第4条(会社の役割)

会社は、第2条に定める基本方針に基づき、メンタルヘルスケア対策を統括する部署を設け、以下の役割を担う。

  1. メンタルヘルスケアに関する方針の策定、推進、および教育啓発
  2. 従業員が安心して利用できる相談窓口の設置と運営
  3. 産業医、保健師、および外部機関との連携体制の構築
  4. 管理監督者への教育と支援

第5条(メンタルヘルスケア担当スタッフの役割)

メンタルヘルスケアを担当するスタッフ(人事担当者、産業医、保健師等)は、従業員の心の健康に関する専門家として、以下の役割を担う。

  1. 従業員からの相談対応、および適切な助言
  2. 心身の健康情報の管理と保護
  3. 関係部署および外部機関との連携調整
  4. メンタルヘルスに関する情報提供と教育活動

第6条(従業員の役割)

従業員は、自身の心の健康に関心を持ち、必要な知識を習得し、自らストレスの軽減に努める(セルフケア)ものとする。また、心身の不調を感じた場合は、速やかに会社が定める窓口に相談するものとする。

第7条(管理監督者の役割)

管理監督者は、日常業務を通じて、部下の心身の状態を把握するよう努める(ラインケア)。また、部下の不調の兆候に気づいた場合は、速やかに声かけを行い、必要に応じて産業保健スタッフ等への相談を促すものとする。

第8条(ストレスチェックの実施)

ストレスチェックの実施については、別途「ストレスチェック規程」に定める。会社は、ストレスチェックの結果をメンタルヘルスケア対策の有効性評価および職場環境改善に活用するものとする。

第9条(相談窓口の設置)

会社は、従業員が心身の健康問題について気軽に相談できる窓口を設置する。相談窓口の種類、連絡先、利用方法、および対応時間は、社内掲示または電子媒体等により従業員に周知する。

第10条(休職および職場復帰)

従業員が精神疾患により休業する場合の手続きおよび職場復帰支援については、別途「休職規程」に定める。会社は、休職者がスムーズに職場復帰できるよう、産業医等の専門家の意見を尊重し、必要な配慮を行うものとする。

第11条(守秘義務と健康情報の管理)

  1. メンタルヘルスケアに関する業務に従事する者は、職務上知り得た従業員の健康情報および相談内容について、厳重な守秘義務を負うものとする。
  2. 従業員の健康情報は、本人の同意なく、当該従業員の健康保持増進および適正な就業のために必要な範囲を超えて、利用または開示してはならない。
  3. 個人情報の管理については、別途「個人情報保護規程」に定める。

第12条(規程の改廃)

本規程の改廃は、衛生委員会での審議を経て、取締役会の承認を得て行う。

附 則 この規程は、平成〇年〇月〇日から施行する。


関連記事:メンタルヘルスケアとは?会社はどのように取り組むか?

会社事務入門社内規程を整備するためのノウハウを徹底解説>このページ