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育児介護

育児休業等の制度を子が何歳になるまで利用できるか整理

Last Updated on 2025年6月23日 by

以下に、子の年齢別に講じられる措置について整理します。

原則として1歳に満たない子に関する措置

育児休業

労働者が原則として1歳に満たない子を養育するためにする休業です。産後パパ育休(出生時育児休業)もこの育児休業に含まれます。

日々雇用される者を除く全ての労働者が対象です。有期雇用労働者の場合、申出時点で子が1歳6か月に達する日(または2歳までの休業の場合は2歳)までに労働契約が満了し、更新されないことが明らかでないことが必要です。

労使協定を締結することで、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者や、週の所定労働日数が著しく少ない労働者(例として厚生労働大臣が定める2日以下の労働者)を対象外とすることができます。

出生後8週間以内の子に関する措置

産後パパ育休(出生時育児休業)

子の出生後8週間以内に4週間以内の期間を定めて取得する休業です。

産後休業をしていない労働者が対象で、主に男性が想定されます。ただし、養子縁組など法の要件を満たす場合は女性も対象となります。

日々雇用される者は対象外です. 有期雇用労働者の場合、申出時点で子の出生日または出産予定日のいずれか遅い方から8週間経過後の翌日から6か月経過する日までに労働契約が満了し、更新されないことが明らかでないことが必要です。

休業期間中の就業は原則として行わないものですが、労使協定を締結することで、労働者の合意があれば、一定の範囲内(休業期間中の所定労働日数の半分以下、かつ、休業期間中の所定労働時間の半分以下)で就業することができます。ただし、事業主が一方的に就業を求めることや、労働者の意に反する取扱いは認められません。

事業主は、円滑な取得を促すため、雇用環境の整備(研修の実施、相談体制の整備、取得事例の収集・提供、制度・方針の周知など)を行う義務があります。

関連記事:出生時育児休業(産後パパ育休)制度のあらまし

1歳から1歳6か月に達するまでの子に関する措置

育児休業の延長

子が1歳に達する日までに、労働者またはその配偶者が育児休業をしている場合、または保育所に入所できない、配偶者の死亡・負傷・疾病、配偶者との別居、子が2週間以上世話を必要とする状態になった、などの特別な事情がある場合に延長が可能です。

1歳6か月から2歳に達するまでの子に関する措置

育児休業の再延長

子が1歳6か月に達する日までに、保育所に入所できない、配偶者の死亡・負傷・疾病、配偶者との別居、などの特別な事情がある場合に、さらに延長が可能です。

3歳に満たない子に関する措置

育児のための所定労働時間の短縮措置

労働者が就業しつつ子を養育することを容易にするための措置として、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含む必要があります。

育児休業をしていない労働者が対象です。1日の所定労働時間が6時間以下の労働者は除外されます。

労使協定を締結することで、勤続1年未満の労働者、週の所定労働日数が2日以下の労働者、または業務の性質や実施体制に照らして措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者を除外することができます。

育児休業に関する制度に準ずる措置(在宅勤務等の措置、始業時刻変更等の措置など)

労働者の申出に基づき、就業しつつ子を養育しやすくするため、以下の措置が講じられます。

▪在宅勤務等の措置(テレワーク): 住居その他、労働契約等で定める場所での勤務。
▪始業時刻変更等の措置: フレックスタイム制や時差出勤など。
▪保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与。

3歳から小学校就学の始期に達するまでの子に関する措置

柔軟な働き方を実現するための措置

労働者が就業しつつ子を養育することを容易にするため、事業主は以下の措置のうち2つ以上を講じる義務があります。

始業時刻変更等の措置: フレックスタイム制、時差出勤など。
在宅勤務等の措置: テレワークなど。
育児のための所定労働時間の短縮措置: 短時間勤務。
育児を目的とした休暇: 子の看護等休暇、介護休暇、年次有給休暇を除く休暇(例: 配偶者出産休暇、入園式・卒園式等の行事参加も含む多目的休暇)。
その他厚生労働省令で定める措置: 例: 保育施設の設置運営など便宜の供与。

措置を講じようとする際には、労働組合または労働者の過半数を代表する者の意見を聴く必要があります。

小学校就学の始期に達するまでの子に関する措置

所定外労働の制限(残業免除)

労働者の請求に基づき、事業主は所定労働時間を超えて労働させてはなりません。

事業の正常な運営を妨げる場合、勤続1年未満の労働者、または合理的な理由があると認められる労働者は、労使協定により対象外とすることができます。

時間外労働の制限

労働者の請求に基づき、事業主は月24時間、年150時間を超えて時間外労働をさせてはなりません。

事業の正常な運営を妨げる場合、勤続1年未満の労働者、または合理的な理由があると認められる労働者は、労使協定により対象外とすることができます。

深夜業の制限

労働者の請求に基づき、事業主は深夜(午後10時から午前5時まで)に労働させてはなりません。

事業の正常な運営を妨げる場合、勤続1年未満の労働者、深夜に保育可能な同居家族がいる労働者(一部例外あり)、または合理的な理由があると認められる労働者は、労使協定により対象外とすることができます。

小学校第3学年修了までの子に関する措置

子の看護等休暇

これまでの「小学校就学の始期に達するまでの子」から「小学校第三学年修了前の子」(9歳に達する日以後の最初の3月31日まで)に延長されました。

負傷・疾病の子の世話、疾病の予防を図るために必要な世話(予防接種や健康診断など)、学校保健安全法に定める学校の休業(学級閉鎖など)またはそれに準ずる事由に伴う世話、子の教育・保育に係る行事(入園式、卒園式、入学式など)への参加のために取得できます。

1年度において5労働日(養育する子が2人以上の場合は10労働日)を限度とします。

1日未満の単位(時間単位)で取得することが可能です。ただし、労使協定により、業務の性質や実施体制に照らして時間単位での取得が困難と認められる業務(例:国際線客室乗務員、長時間移動を要する遠隔地業務、流れ作業や交替制勤務)に従事する労働者は除外される場合があります。

勤続6か月未満の労働者を労使協定で除外する仕組みは廃止されました。


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