Last Updated on 2025年7月9日 by 勝
田中(新任担当者):
課長、お時間よろしいでしょうか?安全衛生関係の書類を見ていて「統括安全衛生責任者」と「元方安全衛生管理者」っていう言葉が出てきたんですが…この2つって、似ているように思うのですが、どう違うんでしょうか?
佐藤課長(労務課長):
いいところに気づいたな。似たような言葉だけど、役割も法的根拠も別物なんだ。混同しやすいから、ちゃんと整理して覚えておこう。
田中:
お願いします。どちらも元請が選ぶみたいですが、何が違うんですか?
佐藤課長:
まず、「統括安全衛生責任者」っていうのは、建設業や造船業などで、複数の事業者が同じ現場で作業する場合に、元請が現場全体の安全衛生を“統括する責任”を持って選任する人のことだ。
労働安全衛生法の第15条に定められていて、現場の指揮命令者——たとえば現場所長クラスが担当することが多い。
田中:
なるほど。現場全体のトップって感じですね。
佐藤課長:
その通り。で、もう一方の「元方安全衛生管理者」は、もっと実務寄りの担当者だ。
統括安全衛生責任者のもとで、日常の安全衛生活動を実際に実行・管理する人だよ。
これは労働安全衛生規則の第15条の2で決められている。常時50人以上の労働者がいる現場では、元請が必ず選ばなきゃいけない。
田中:
ということは、元方安全衛生管理者は統括の“補佐”みたいな立場ですか?
佐藤課長:
そうだね。統括が「司令塔」なら、元方安全衛生管理者は「実働部隊の隊長」って感じだ。
たとえば、安全パトロールの実施、ヒヤリハット報告の収集、下請との打ち合わせの準備なんかは、元方安全衛生管理者が主体となって動く。
田中:
役割分担がはっきりしてるんですね。ちなみにこの2つの役割、同一人物が兼ねることもあるんですか?
佐藤課長:
うん、小規模な現場だと、同じ人が兼任することもある。
でも大規模現場では、現場所長が統括、安全衛生担当の課長クラスが元方安全衛生管理者、っていうふうに分けることが多いな。
田中:
ありがとうございます!統括が「全体の指揮」、元方安全衛生管理者が「実務の実行・管理」ってことですね。よくわかりました。
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