カテゴリー
継続雇用 雇用保険

高年齢雇用継続基本給付金を人事担当者向けに解説

Last Updated on 2025年7月19日 by

高年齢雇用継続給付金って、どんな制度?

この給付金は、60歳以降も雇用保険に入って働き続ける人を支援するためのものです。 主に、以下の2種類があります。

1.高年齢雇用継続基本給付金: 定年後も会社を辞めずに、そのまま同じ会社で働き続ける人が対象です。

2.高年齢再就職給付金: 一度会社を辞めて失業給付(ハローワークでもらえる手当)をもらった後に、再就職した人が対象です。

今回の記事では、多くの会社で関係する「高年齢雇用継続基本給付金」に絞って解説します。

制度の変更にご注意

実は、この高年齢雇用継続給付金、制度が少しずつ変わってきています。

2025年4月1日以降に60歳を迎える方からは、もらえる金額の割合が少し減ってしまいます。そして、将来的には制度自体がなくなる方向で検討されています。

そのため、対象となる社員の方には、それぞれの状況に応じた正確な情報提供が、人事担当者の大切な役割になります。

受給できる条件

高年齢雇用継続給付金をもらうには、いくつかの条件があります。

年齢60歳以上65歳未満であること。

雇用保険の加入期間:60歳になった時点で、雇用保険に5年以上加入していたこと。 (もし5年未満でも、その後65歳になるまでの間に5年を満たせば、その時点から対象になります。)

賃金の低下:60歳になった時点の給料と比べて、60歳以降の給料が75%未満に下がってしまったこと。 (定年後の再雇用で給料が下がった場合に判断する重要なポイントです!)

毎月の給料が上限額以下であること:支給対象となる月の給料が、国が定める上限額(現在は約37.6万円)を超えていないこと。

他の手当をもらっていないこと:育児休業給付や介護休業給付、失業給付など、他の給付金をもらっていないこと。

もらえる金額の目安

給付金の額は、下がった後の給料に一定の率を掛けた額です。

2025年3月31日までに60歳になった方: 変更後の給料の最大15%がもらえます。

2025年4月1日以降に60歳になった方: 変更後の給料の最大10%がもらえます。

<具体例> 60歳時点の給料が30万円で、定年再雇用後に18万円(元の60%)になった社員の場合…

2025年3月までに60歳になった方:18万円の15% = 27,000円を毎月もらえる可能性!

2025年4月以降に60歳になった方:18万円の10% = 18,000円を毎月もらえる可能性!

給付金は社員個人の口座に直接振り込まれます

人事担当者が行う手続き

この給付金の申請は、受給する社員が在職中なので、原則として会社が行うことになっています。

60歳になったら「給料の登録」

まず、社員が60歳になったら、その時点の給料などをハローワークに届け出て、給付金計算の基礎となる情報を登録します。

提出時期:60歳になった月の初日から4ヶ月以内に。
提出先:会社の所在地を管轄するハローワーク。
必要なもの
雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書(会社で作成)
高年齢雇用継続給付受給資格確認票(社員に記入してもらう部分もあります)
賃金台帳や出勤簿、運転免許証のコピーなど

【注意!】 この手続きを忘れてしまうと、後々の給付金申請ができなくなってしまいます。60歳を迎える社員がいたら、必ず早めに手続きを進めましょう!

2か月に1回「給付金の申請」

実際に給付金をもらう手続きは、2か月に1回(2か月分をまとめて)行います。

提出時期:ハローワークが指定する時期(例:奇数月の所定期間内)。最初の申請は、給付金をもらいたい月の初日から4ヶ月以内です。
提出先:会社の所在地を管轄するハローワーク。
必要なもの
高年齢雇用継続給付支給申請書
賃金台帳や出勤簿など

【注意!】 申請には期限があります!遅れてしまうと給付金がもらえなくなるので、計画的に、漏れがないように申請をサポートしてあげましょう。

人事担当者として、これだけは押さえておこう!

制度の変更は常にチェック! 給付金の支給率変更や、将来的な制度廃止の動きは、高齢社員の雇用継続を考える上で避けて通れません。常に最新の情報を確認し、自社の賃金制度や人事制度を見直すきっかけにしましょう。

社員への丁寧な説明を! 社員は「自分はもらえるのか?」「いくらもらえるのか?」と不安に思っています。制度について正確に理解し、分かりやすく説明できるように準備しておきましょう。

申請は会社の義務! 原則として会社が申請手続きを行うことになっているので、速やかに対応できるよう体制を整えておくことが大切です。


会社事務入門雇用保険の手続き>このページ