Last Updated on 2025年8月13日 by 勝
規定上、産業医は衛生委員会のメンバー(委員)として指定されている場合がほとんどです。欠席が続くことは望ましくありません。
衛生委員会の構成
労働安全衛生法により、衛生委員会のメンバーには以下の者が含まれることが義務付けられています。
- 総括安全衛生管理者または事業の実施を統括管理する者
- 衛生管理者
- 産業医
- 労働者の中から、事業者が指名した者
産業医を衛生委員会の委員として選任することは、労働安全衛生法で義務付けられています(第18条第2項)。
このため、法律上、常時50人以上の労働者がいる事業場では、産業医は衛生委員会の委員として選任しなければなりません。
欠席することの問題点
しかし、その委員である産業医が毎回(月1回以上開催)の委員会に出席することは、法律で義務付けられていません。出席することが前提になっているのですが、直接的に出席を義務付ける規定はありません。
しかし、次の点に注意しなければなりません。
法的要件の不履行: 産業医が委員会のメンバーとして選任されていながら出席しない状態が常態化すると、法律で定められた委員会の構成要件を満たしていないとみなされる可能性があります。
専門的助言の欠如: 委員会の目的は、専門家の意見を聞き、労働者の健康と安全に関する具体的な対策を議論することです。産業医が出席しないと、この目的が果たせません。議事録の確認だけでは、その場の議論の背景やニュアンスを理解することは難しく、的確な助言を得ることは困難です。
「名義貸し」の疑い: 委員会への出席や職務遂行が不十分である場合、産業医としての役割を適切に果たしていない「名義貸し」と判断されるリスクがあります。
したがって、法律上、出席しないことへの強制力はないものの、企業の健康経営やリスク管理の観点から、産業医にはできる限り衛生委員会に出席してもらうことが強く推奨されます。
解決策
産業医の出席が難しい場合には、以下の方法で対応を検討してください。
出席頻度の調整: 法律上、毎月1回以上開催することが義務付けられていますが、毎回必ず産業医が出席しなければならないとまでは定められていません。産業医と相談し、たとえば2か月に1回は出席してもらうなど、出席頻度を柔軟に調整することが現実的な対応策となります。
オンラインでの出席: 遠方や多忙な産業医でも参加しやすいよう、オンライン会議システムを利用して委員会に出席してもらうことを提案してください。これにより、移動時間を削減し、出席率を高めることが可能です。
衛生委員会の議題の事前共有: 委員会で議論する内容を事前に産業医に共有し、書面で意見をもらう体制を整えることも有効です。ただし、これは出席に代わるものではなく、あくまで補助的な手段とすべきです。
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