Last Updated on 2025年10月1日 by 勝
退職手続きの遅れは、退職者の方の失業給付の受給開始時期に直結するため、人事担当者にとって迅速化は大きな課題です。
できるだけ速く手続きを進めるために注意すべき点と、手続きをスピードアップするための工夫について説明します。
手続きを速く進めるための工夫
社内手続きの迅速化
離職証明書の作成に必要な情報の早期収集
離職票の発行に必要な「雇用保険被保険者離職証明書(離職証明書)」の作成には、退職者の賃金情報や退職理由などの情報が必要です。
- 賃金情報:
- 離職日以前2年間の、賃金支払状況や出勤日数などを確認します。特に直近6ヶ月の正確な賃金情報は必須です。
- 退職理由(離職理由)の明確化:
- 自己都合か会社都合かによって、離職証明書の記載内容が変わります。退職者本人との認識のすり合わせを速やかに行い、署名または記名・押印をもらいましょう。
返却・提出物の迅速な処理
退職手続きには、会社へ返却してもらうもの、会社から提出を求めるものがあります。これらが揃わないと、手続きが滞る原因になります。退職者に、「退職までに準備・提出してほしいものリスト」を渡し、早期に協力を求めましょう。
- 返却物: 社員証、社章、会社貸与のPC・携帯、制服など。
- 提出書類: 退職届(任意書式で会社に提出を求めている場合)、業務引き継ぎ書類など。
チェックリスト活用による事務作業の迅速化
退職手続きのプロセスを標準化し、チェックリストを作成して活用します。
- 誰が(担当部署・担当者)、いつまでに(期限)、何を(必要書類・作業)行うかを明確にします。
- 特に離職証明書の作成、ハローワークへの提出、退職者への離職票の送付など、人事課内の複数の工程に関わる部分を詳細にします。
退職日前の「概算賃金」による離職証明書の早期作成
退職日が決まったら、最後の賃金が確定する前に、確定している期間までの賃金と最後の月の概算賃金を使って、離職証明書を退職日よりも前に作成準備を始めておくことができます。
- これにより、最後の賃金が確定した直後に、速やかに離職証明書の最終チェックと提出が可能になり、手続きを大幅に早められます。
電子申請の積極的な活用
e-Gov
紙の書類ではなく、e-Gov(電子申請)を利用してハローワークへの届出を行うことで、手続きのスピードアップが図れます。
- 書類の印刷、押印、郵送または持参の手間と時間が削減できます。
- ハローワーク側でのデータ入力作業が不要となるため、処理時間も短縮される傾向にあります。
退職者は離職票をマイナポータルで受け取れる
会社が電子申請で手続きを行い、退職者がマイナポータルでの受け取りを希望している場合、ハローワークでの処理後、離職票が直接、退職者のマイナポータルにデータとして交付されます。
これにより、会社とハローワークと退職者間でのやり取りの多くが省略され、速やかにハローワークで求職の申込みと失業給付の申請手続きを開始できるようになります。