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競業避止義務について

Last Updated on 2020年11月18日 by

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競業避止義務とは

競業避止義務(きょうぎょうひしぎむ)とは、事業上の不利益を被らないように、労働者に対して同業他社への転職や、競業に当たる事業を開始したりすることなどを制限することをいいます。

退職した社員による内部情報の持ち出しや、従業員の引き抜きが発生すると、時間をかけて培った営業ノウハウを失いかねません。

また、内部情報には顧客情報などの秘匿を要する情報が含まれているので個人情報保護の問題も発生します。

このようなことにならないように、一般的には、就業規則や誓約書で競業避止義務を設定します。

労働契約について

競業避止義務契約が労働契約として、適法に成立していることが必要です。

就業規則の規定例

競業避止義務|就業規則

個別合意の例(誓約書の例)

秘密保持・競業避止に関する誓約書のサンプル

職業選択の自由との関係

ただし、憲法に定められた職業選択の自由があるため同業他社への転職等を完全に制限することはできません。

会社に競業避止義務に関する就業規則があっても、あえて同業者に転職しようとする労働者の行動を差し止めることは困難であることが多いようです。

競業避止義務契約の有効性

経済産業省の「秘密情報の保護ハンドブック 企業価値向上に向けて」「参考資料5 競業避止義務契約の有効性について」では、競業避止義務契約の有効性について争いとなった判例を分析し、ポイントとなる6つの基準を紹介しています。

抜粋すると次のようになります。

守るべき企業の利益があるかどうか

競業避止義務契約等を導入してでも守るべき企業側の利益があるかが問われます。企業側の守るべき利益については、不正競争防止法によって明確に法的保護の対象とされる「営業秘密」はもちろんだが、個別の判断においてこれに準じて取り扱うことが妥当な情報やノウハウについては、競業避止義務契約等を導入してでも守るべき企業側の利益と判断している。

対象とする従業員の地位

合理的な理由なく、従業員すべてを対象にした規定はもとより、特定の職位にある者全てを対象としているだけの規定は合理性が認められにくい。形式的な職位ではなく、具体的な業務内容の重要性、特に使用者が守るべき利益との関わりが判断されている。

地域的な限定があるか

地域的限定については、使用者の事業内容や、職業選択の自由に対する制約の程度、特に禁止行為の範囲との関係を意識した判例が見られる。地理的な制限がないことのみをもって競業避止義務契約の有効性が否定されている訳ではない。

競業避止義務の存続期間

1年以内の期間については肯定的に捉えられている例が多い。近年は、2年の競業避止義務期間について否定的に捉えている判例が見られる。

禁止される競業行為の範囲

業界事情にもよるが、競業企業への転職を一般的・抽象的に禁止するだけでは合理性が認められないことが多い。業務内容や職種等について限定をした規定については、肯定的に捉えられている。

代償措置が講じられているか

代償措置と呼べるものが何も無い場合には、有効性を否定されることが多い。もっとも必ずしも競業避止義務を課すことの対価として明確に定義された代償措置でなくても、代償措置(みなし代償措置も含め)と呼べるものが存在することについて、肯定的に判断されている。

経済産業省資料

参考資料5 競業避止義務契約の有効性について