カテゴリー
会社の運営

営業秘密の侵害

Last Updated on 2023年9月26日 by

営業秘密は不正競争防止法で保護されている

営業秘密は、不正競争防止法により保護されています。

不正競争防止法第2条第6項
この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。

非常に広い範囲の情報が対象です

営業秘密という表現から、商品やサービスの販売活動に関する情報のみを保護するかのような印象がありますが、不正競争防止法は「生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報」と規定しています。このため、広い範囲の情報が営業秘密の対象になります。

顧客情報、販売マニュアル、製造マニュアル、技術情報、設計図、実験データ、研究報告書、製造方法、コンピュータプログラムなどが対象になります。

営業秘密と著作権は秘匿できます

特許権などの一般的な知的財産権は、保護を受けることができる代わりに、公開することが前提となっています。

これに対し、不正競争防止法にもとづく営業秘密と著作権法にもとづく著作権は、秘匿することが前提となっています。

営業秘密にする条件

営業秘密は、特許などとは違って官公署への手続きをする必要がありません。

ただし、保護の対象になるためには条件があります。

営業秘密として認められるためには、次の3つの要件を充たす必要があります

1.秘密として管理されていること=「秘密管理性」

経済産業省「秘密情報の保護ハンドブック」には、「営業秘密保有企業の秘密管理意思が、秘密管理措置によって従業員に対して明確に示され、当該秘密管理意思に対する従業員等の認識可能性が確保される必要がある」と記載されています。

会社等は、どのような情報等が営業秘密であるか明確にして、情報に接することができる従業員などが、当該情報が営業秘密だと認識する必要があります。

2.生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること=「有用性」

公序良俗に反する内容の情報反社会的な情報などを除き、広い意味で商業的価値が認められる情報が有用性があるとされています。

現に使用されている情報だけでなく、研究開発が失敗して使用されていない研究データなども有用性が認められるとされています。通常は、1の秘密管理性と2の非公知性を満たす情報は、有用性も認められると考えられています。

3.公然と知られていない」こと=「非公知性」

公然と知られていないとは、入手可能な刊行物やホームページ等に記載されていない等、情報の保有者の管理下以外では一般的に入手できない状態のことをいいます。

具体的な管理方法

このため、不正競争防止法による保護を受けるためには、次のような管理が必要になると考えられています。

① 営業秘密に関する社内規程を制定する
② 営業秘密をリスト化する
③ 営業秘密の機密ランク別に取扱いできる従業員等を定める
④ 営業秘密を取り扱う従業員等と秘密保持契約を取り交わす

また具体的な管理としては次のようなことが考えられます。

① 営業秘密に「社外秘」等と明確に記載する
② 営業秘密は鍵のかかる保管庫に保管する
③ 営業秘密が保管されているエリアに「関係者以外立入禁止」「撮影禁止」などと表示する
④ 電子データになっている営業秘密には、暗号化、アクセス記録取得など上記に準じた管理をする。

関連規程:営業情報管理|就業規則

関連規程:営業秘密取扱規程のサンプル

関連書式:秘密保持・競業避止に関する誓約書のサンプル


会社事務入門不正競争防止法のあらまし>このページ