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取締役と監査役

取締役会議事録の書き方

Last Updated on 2021年7月28日 by

記載しなければならない事項

取締役会議事録は、特に法令でその様式等が定められていません。したがって、ある程度自由に作成することができますが、次の事項を記載しなければなりません。

□ 開催日時及び開催した場所

□ 議長の氏名

□ 議事の経過の要領およびその結果

原則として発言内容を一字一句記載する必要はなく要旨をまとめて記載します。重要な部分は詳細に記載するようにします。

取締役会では、まず、代表取締役社長が報告事項を述べたことを記載します。代表取締役の取締役会への定期報告は義務です。管掌業務をもつ他の取締役からの報告があればそれも記載します。議事録には報告の概要を記載し、報告に用いた資料等を議事録に添付します。

決議が必要な事項については、採決の様子を明確に記載しなければなりません。特に反対があったときは、反対者の氏名も記載します。

報告事項も決議事項も、前もって定めた取締役会付議事項に沿って行います。この定めがしっかりしていないと、報告するべき事項を忘れる、決議するべき事項を忘れる、報告の必要ない事項に時間をとられるなどの事態になります

取締役会付議事項

□ 当該場所に存しない取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査法人または株主が取締役会に出席した場合における当該出席の方法

□ 出席執行役、会計参与、会計監査人または株主の氏名または名称

□ 取締役会において述べられた意見または発言の内容の概要

□ 競業取引および利益相反取引についての重要な事実の報告

□ 株主が招集権者に対して招集の請求をし、その請求を受けて招集権者が招集しもの。または招集請求権者が招集した取締役会に出席して述べられた意見

□ 計算書類などの承認取締役会における会計参与の意見

□ 法令、定款違反事実と認めるときの監査役の報告

□ 必要があると認めるときはの監査役の意見

□ 不正の行為もしくはそのおそれまたは法令、定款違反事実もしくは著しく不当な事実があると認めるときの監査委員の報告

□ 利害関係取締役の氏名

□ 取締役などが招集権者に対して招集の請求をし、その請求を受けて招集権者が招集したものであるときはその旨

□ 招集請求権者が招集したものであるときはその旨

□ 特別取締役による取締役会であるときはその旨

□ 出席した取締役および監査役の署名または記名押印

記載例→取締役会議事録のサンプル

いつまでに作成するか

取締役会議事録の作成の時期についての明文規定はありませんが、取締役会終了後遅滞なく作成するべきものです。

なお、登記事項に係る取締役会決議が行われた場合には、議事録が登記申請書の添付書類となることとの関係で、登記申請の期限である2週間以内に間に合うよう作成する必要があります。

書面または電磁的記録で作成する

取締役会議事録は、書面または電磁的記録により作成します。

電磁的記録とは、法務省令で、「磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したもの」と定めています。

これにクラウドが含まれるかですが、「e文書法」には、クラウドサービスの利用を禁止する規定がないので、文書の保存先は、e文書法の要件を満たしていれば、国内外のクラウドサービスであっても構いません。

ただし、通信障害が発生すれば見れなくなるということでは、謄写閲覧に対応できません。取締役会議事録についてはクラウドだけに置くという方法はとれないでしょう。

押印について

自筆署名または電子署名により署名します。電子署名の場合は、取締役個人個人が電子証明書を準備して対応します。

取締役会議事録について、押印に代えて電子署名にしたときは、登記事項に関わる取締役会の議事録は注意が必要です。

法務省は、商業登記に利用可能な電子署名(電子証明書)を限定列挙でリスト指定しています。この指定を受けていない電子署名で議事録を作成すると、登記添付書類として利用できません。

詳しくは法務省ホームページ「商業・法人登記のオンライン申請について」

ただし、設立登記や取締役選任に伴う登記申請の際などに、株主総会議事録・取締役会議事録・就任承諾書を添付書類として提出する場合は、実印による記名押印が求められています(商業登記規則61条4項)。

備え置き期間

取締役会議事録の書面または電磁的記録は、取締役会の日から本店に10年間備えきます。支店には必要ありません。

閲覧または謄写については、株主総会の場合と異なり、裁判所の許可を得なければなりません。

過料の規定

議事録に記載すべき事項を記載または記録しなかったり、虚偽の記載または記録をしたとき、議事録を備え置かなかったとき、正当な理由なく議事録の閲覧もしくは謄写またはその謄本もしくは抄本の交付等を拒んだとき、必要な登記をしなかったときは、過料の対象になります。

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