カテゴリー: 雇用保険

  • 「育児時短就業給付」で子育て社員の働き方をサポート!

    育児時短就業給付とは?

    育児時短就業給付は、2025年4月に新しく創設された給付金制度です。

    これは、育児休業給付金を受給していた従業員が、育児休業から職場に復帰した後、育児のために労働時間を短縮して働き続ける場合に支給されます。

    この制度の目的は、育児休業から復帰したものの、フルタイム勤務が難しい従業員の生活を経済的に支援し、育児と仕事の両立を後押しすることで、優秀な人材の離職を防ぐことにあります。従業員にとっては心強いサポートとなり、会社にとっては人材の定着に繋がる、大変重要な制度です。

    受給できる条件は?

    従業員が育児時短就業給付を受給するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

    ① 育児休業をしていたこと

    この給付は、育児休業給付金を受給できる育児休業をしていたことが前提となります。

    ② 育児休業を終了し、実際に会社に復帰したこと

    育児休業を終え、事業主に雇用されて働く状態にあることが必要です。

    ③ 育児のため所定労働時間を短縮していること

    育児休業開始前の所定労働時間よりも短縮された労働時間で勤務していることが条件です。

    各支給対象期間中に、1週間あたりの所定労働時間を短縮して就業した期間がある月であることが必要です。

    ④ 各支給対象期間中に、育児休業終了前の事業主に雇用されていること

    引き続き、元の会社で雇用保険の被保険者として働いていることが必要です。

    ⑤ 子が2歳未満であること

    給付は、対象となる子が2歳に達するまで(2歳の誕生日の前々日まで)の期間が対象です。

    ⑥ 支給対象月に支払われた賃金額が、育児時短就業開始時賃金月額の100%未満であるこ

    育児時短就業開始前の賃金水準と比較して、賃金が低下している場合に支給対象となります。

    受給金額はいくら?

    育児時短就業給付の支給額は、以下の計算式で算出されます。

    1.支給対象月に支払われた賃金額が、育児時短就業開始時賃金月額の90%以下の場合

    支給額 = 支給対象月に支払われた賃金額 × 10%

    2.支給対象月に支払われた賃金額が、育児時短就業開始時賃金月額の90%超~100%未満の場合

    支給額 = 支給対象月に支払われた賃金額 × 調整後の支給率

    調整後の支給率は、賃金の低下割合に応じて計算されます。

    いつからいつまで受給できるの?

    育児時短就業給付の支給期間は、原則として以下の通りです。

    支給開始日: 育児時短就業を開始した日の属する月

    支給終了日:

    対象となる子が2歳に達するまで(2歳の誕生日の前々日まで)

    または、短縮された労働時間での就業を終了した日の属する月

    つまり、育児休業が終了し、育児のために短縮した労働時間で働き始めた日から、原則として子が2歳になるまでが支給期間となります。

    手続きはどうすればいいの?

    育児時短就業給付の手続きは、原則として会社がハローワークに対して行います。従業員が直接ハローワークに行く必要はありません。

    人事担当者様が行う手続きの主な流れは以下の通りです。

    ① 従業員からの申請

    従業員が育児時短就業給付の受給を希望する場合、会社にその旨を申し出ます。

    ② 必要書類の準備

    会社がハローワークに提出するための書類を準備します。主な提出書類は以下の通りです。

    育児時短就業給付金支給申請書

    ハローワークから様式をダウンロードできます。

    従業員本人に記入・押印してもらう箇所もあります。

    賃金台帳や出勤簿(タイムカード等)

    短縮後の労働時間や賃金が確認できる書類です。

    育児休業開始前の賃金も確認できるものが必要です。

    母子手帳の写しなど、子の生年月日が確認できる書類

    従業員から預かり、写しを提出します。

    その他、ハローワークから指示された書類

    個別の状況に応じて追加で提出を求められる場合があります。

    ③ ハローワークへの提出

    必要書類を揃え、会社の所在地を管轄するハローワークに提出します。

    申請は原則として2ヶ月ごとに、2ヶ月分をまとめて行います。

    ④ 支給決定・入金:

    ハローワークで審査が行われ、支給が決定すると、従業員の指定口座に給付金が振り込まれます。会社には、支給決定通知書が送付されます。

    まだ始まったばかりの制度なので、不明な点はハローワークに積極的に確認するようにしましょう。


    関連記事:育児のための短時間勤務制度

    会社事務入門出産と育児を支援する諸制度>このページ

  • 高年齢雇用継続基本給付金を人事担当者向けに解説

    高年齢雇用継続給付金って、どんな制度?

    この給付金は、60歳以降も雇用保険に入って働き続ける人を支援するためのものです。 主に、以下の2種類があります。

    1.高年齢雇用継続基本給付金: 定年後も会社を辞めずに、そのまま同じ会社で働き続ける人が対象です。

    2.高年齢再就職給付金: 一度会社を辞めて失業給付(ハローワークでもらえる手当)をもらった後に、再就職した人が対象です。

    今回の記事では、多くの会社で関係する「高年齢雇用継続基本給付金」に絞って解説します。

    制度の変更にご注意

    実は、この高年齢雇用継続給付金、制度が少しずつ変わってきています。

    2025年4月1日以降に60歳を迎える方からは、もらえる金額の割合が少し減ってしまいます。そして、将来的には制度自体がなくなる方向で検討されています。

    そのため、対象となる社員の方には、それぞれの状況に応じた正確な情報提供が、人事担当者の大切な役割になります。

    受給できる条件

    高年齢雇用継続給付金をもらうには、いくつかの条件があります。

    年齢60歳以上65歳未満であること。

    雇用保険の加入期間:60歳になった時点で、雇用保険に5年以上加入していたこと。 (もし5年未満でも、その後65歳になるまでの間に5年を満たせば、その時点から対象になります。)

    賃金の低下:60歳になった時点の給料と比べて、60歳以降の給料が75%未満に下がってしまったこと。 (定年後の再雇用で給料が下がった場合に判断する重要なポイントです!)

    毎月の給料が上限額以下であること:支給対象となる月の給料が、国が定める上限額(現在は約37.6万円)を超えていないこと。

    他の手当をもらっていないこと:育児休業給付や介護休業給付、失業給付など、他の給付金をもらっていないこと。

    もらえる金額の目安

    給付金の額は、下がった後の給料に一定の率を掛けた額です。

    2025年3月31日までに60歳になった方: 変更後の給料の最大15%がもらえます。

    2025年4月1日以降に60歳になった方: 変更後の給料の最大10%がもらえます。

    <具体例> 60歳時点の給料が30万円で、定年再雇用後に18万円(元の60%)になった社員の場合…

    2025年3月までに60歳になった方:18万円の15% = 27,000円を毎月もらえる可能性!

    2025年4月以降に60歳になった方:18万円の10% = 18,000円を毎月もらえる可能性!

    給付金は社員個人の口座に直接振り込まれます

    人事担当者が行う手続き

    この給付金の申請は、受給する社員が在職中なので、原則として会社が行うことになっています。

    60歳になったら「給料の登録」

    まず、社員が60歳になったら、その時点の給料などをハローワークに届け出て、給付金計算の基礎となる情報を登録します。

    提出時期:60歳になった月の初日から4ヶ月以内に。
    提出先:会社の所在地を管轄するハローワーク。
    必要なもの
    雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書(会社で作成)
    高年齢雇用継続給付受給資格確認票(社員に記入してもらう部分もあります)
    賃金台帳や出勤簿、運転免許証のコピーなど

    【注意!】 この手続きを忘れてしまうと、後々の給付金申請ができなくなってしまいます。60歳を迎える社員がいたら、必ず早めに手続きを進めましょう!

    2か月に1回「給付金の申請」

    実際に給付金をもらう手続きは、2か月に1回(2か月分をまとめて)行います。

    提出時期:ハローワークが指定する時期(例:奇数月の所定期間内)。最初の申請は、給付金をもらいたい月の初日から4ヶ月以内です。
    提出先:会社の所在地を管轄するハローワーク。
    必要なもの
    高年齢雇用継続給付支給申請書
    賃金台帳や出勤簿など

    【注意!】 申請には期限があります!遅れてしまうと給付金がもらえなくなるので、計画的に、漏れがないように申請をサポートしてあげましょう。

    人事担当者として、これだけは押さえておこう!

    制度の変更は常にチェック! 給付金の支給率変更や、将来的な制度廃止の動きは、高齢社員の雇用継続を考える上で避けて通れません。常に最新の情報を確認し、自社の賃金制度や人事制度を見直すきっかけにしましょう。

    社員への丁寧な説明を! 社員は「自分はもらえるのか?」「いくらもらえるのか?」と不安に思っています。制度について正確に理解し、分かりやすく説明できるように準備しておきましょう。

    申請は会社の義務! 原則として会社が申請手続きを行うことになっているので、速やかに対応できるよう体制を整えておくことが大切です。


    会社事務入門雇用保険の手続き>このページ

  • 従業員のリスキリングを後押し!「教育訓練休暇給付金」を徹底解説(事業主向け)

    変化の激しい現代において、従業員のスキルアップやキャリア形成は企業にとって喫緊の課題です。今回は、従業員が安心して教育訓練に専念できるよう国が支援する「教育訓練休暇給付金」について、事業主・人事担当者の皆様が知っておくべきポイントを詳しく解説します。

    「教育訓練休暇給付金」とは?

    「教育訓練休暇給付金」とは、労働者が離職することなく、教育訓練に専念するために自発的に休暇を取得した場合に、その訓練・休暇期間中の生活費を保障するため、失業給付(基本手当)に相当する給付として、賃金の一定割合が支給される制度です。

    この制度の大きなポイントは、従業員が「仕事から離れて」学び直すことを支援する点にあります。企業としては、この制度を導入・活用することで、従業員の主体的な能力開発を支援し、結果として組織全体の生産性向上や人材定着にもつながります。

    この制度は2025年10月から始まります。

    支給対象となる休暇の主な要件

    教育訓練休暇給付金の支給対象となる休暇は、以下のすべての要件を満たす必要があります。

    就業規則や労働協約等に規定された休暇制度に基づく休暇であること

    労働者本人が教育訓練を受講するため自発的に取得を希望し、事業主の承認を得て取得する休暇であること。業務命令による休暇取得では給付金は支給されません。

    連続した30日以上の無給の教育訓練休暇であること

        ◦ 休暇期間中に収入を伴う就労を行った日や、有給休暇、育児休業などの異なる休暇・休業を取得した日は、教育訓練のための休暇とは認められず、給付は受けられません。

        ◦ ただし、事業主から資格取得のための手当(受講費用や受験料の一部補助など)が支給される場合でも、それが就労の対価でなければ給付金は不支給にはなりません。

    次に定める教育訓練等を受けるための休暇であること

        ◦ 学校教育法に基づく大学、大学院、短大、高専、専修学校、各種学校。

        ◦ 教育訓練給付金の指定講座を有する法人等が提供する教育訓練等。

        ◦ 職業に関する教育訓練として職業安定局長が定めるもの(司法修習、語学留学、海外大学院での修士号の取得等)。

    支給対象者(労働者)の要件

    教育訓練休暇給付金の支給対象となるのは、一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者です。高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者は対象外となります。具体的には、以下の両方を満たす必要があります。

    • 休暇開始前2年間に12か月以上の被保険者期間があること(原則として、11日以上の賃金支払いの基礎となった日数がある月が算定の対象)。

    • 休暇開始前に5年以上、雇用保険に加入していた期間があること。

        ◦ 過去に基本手当(失業給付)や教育訓練休暇給付金、育児休業給付金、出生時育児休業給付金を受けたことがある場合、通算できない期間が生じる場合があります。

        ◦ 離職期間があったとしても、12か月以内であれば離職前後の期間を通算できます(ただし、離職期間が12か月以内であっても失業給付等を受給していた場合は通算できません)。

    支給額と給付日数

    給付日額は、原則として休暇開始日前6か月の賃金日額に応じて算定されます。これは失業給付の算定方法と同じです。

    給付日数は、雇用保険に加入していた期間に応じて異なります。

        ◦ 5年以上10年未満:90日

        ◦ 10年以上20年未満:120日

        ◦ 20年以上:150日

    受給期間は、休暇開始日から起算して1年間です。この期間内に取得した教育訓練休暇について給付が受けられます。所定給付日数が残っていても、受給期間を過ぎると給付は受けられません。ただし、妊娠、出産、育児、疾病、負傷などの事由が生じた場合は、受給期間を延長できる場合がありますので、ハローワークへの相談が必要です。

    事業主(人事担当者)の皆様に求められる対応

    従業員が教育訓練休暇給付金を受給するためには、事業主の皆様のご協力・ご対応が不可欠です。

    1.教育訓練休暇制度の整備と周知

    • まず、教育訓練休暇に関する規定を就業規則または労働協約等に盛り込み、従業員に周知する必要があります。

    • 「教育訓練休暇給付金は無給の休暇が対象」「雇用保険加入期間5年以上の一般被保険者が対象」「業務命令によらず自発的に取得する休暇であること」などを明示することが重要です。

    • 規定例については、厚生労働省のパンフレットをご覧ください。働き方改革推進支援センターで相談が可能です。

    2.労働者との合意形成

    • 従業員から教育訓練休暇の取得について申し出があった場合、期間や内容を調整し、合意形成を行う必要があります。

    • 合意後、従業員から提出される「教育訓練休暇取得確認票」に必要事項を記載します。この確認票には、休暇期間、教育訓練の目標、内容、実施方法などが含まれます。

    3.ハローワークへの必要書類の提出

    事業主の皆様がハローワークへ提出する必要がある主な書類は以下の通りです。

    教育訓練休暇開始時賃金月額証明書

    休暇制度が規定されている就業規則等(写し)

    対象労働者に係る賃金台帳、出勤簿等の賃金・就労実態が確認できる書類(写し)

    これらの書類は、対象労働者の休暇開始日の翌日から起算して10日を経過するまでの間に、事業所の所在地を管轄するハローワークに提出する必要があります

    4.ハローワークからの書類交付と労働者への速やかな交付

    • 事業主が提出した書類に基づき、ハローワークから「賃金月額証明票(本人手続用)」と「教育訓練休暇給付金支給申請書」が交付されます。

    • 事業主は、これらの書類を速やかに教育訓練休暇を取得している被保険者(労働者)に交付しなければなりません

    事業主の皆様への注意事項

    解雇等を予定している労働者への虚偽の届出は厳禁です。虚偽の届出を行った場合、罰則の対象となる可能性があり、また、教育訓練休暇を取得した労働者を解雇等すると、一定期間、雇用関係助成金の支給を受けられなくなる場合があります。

    休暇期間中の就労は認められません。教育訓練に専念していただく必要があるため、教育訓練休暇中に出勤を求めることは認められず、30日以上連続して無給の休暇を取得する必要があります。

    被保険者期間のリセット:教育訓練休暇給付金の支給を受けた場合、休暇開始日より前の被保険者期間はリセットされ、通算できなくなるため、原則として、一定期間は失業給付などの被保険者期間を要件とする給付金を受給できなくなる点も把握しておく必要があります。

    関連する助成金・相談窓口

    人材開発支援助成金(人への投資促進コース):長期教育訓練休暇制度(30日以上取得可能な休暇)を導入し、実際に労働者に適用した事業主は、この助成金の対象となる場合があります。

    働き方改革推進支援センター:就業規則への休暇制度導入に関する個別相談を受け付けています。

    ハローワーク:教育訓練休暇給付金の手続き全般について、事業主は事業所を管轄するハローワークへ、労働者は住居所を管轄するハローワークへお問い合わせください。

    教育訓練給付金:教育訓練休暇給付金と併せて、教育訓練の受講費用の一部を給付する教育訓練給付金も利用できる場合があります。

    キャリア形成・リスキリング推進事業:キャリアコンサルティングを無料で受けられます(ただし、給付金の手続きや対象講座の案内とは異なります)。

    まとめ

    「教育訓練休暇給付金」は、従業員がキャリアアップのために長期の学び直しに挑戦する際に、その生活を保障する画期的な制度です。事業主の皆様にとっては、従業員の自律的な成長を促し、結果として企業の競争力強化にも繋がる重要なツールとなり得ます。


    会社事務入門>このページ

  • 雇用保険に関するよくある質問(FAQ)サンプル

    雇用保険に関するよくある質問

    退職者の皆様へ

    このFAQは、ご退職される皆様が、雇用保険の基本や失業給付(基本手当)の受給についてご理解を深めていただくためのものです。ご不明な点がございましたら、ハローワーク、または会社の人事担当者までお気軽にお問い合わせください。

    Q1. 雇用保険とは何ですか?

    A1. 雇用保険は、働く皆さんが失業した場合や育児・介護などで休業した場合に、生活の安定と就職促進のために必要な給付を行う国の社会保険制度です。会社に勤めている間は、原則として給与から雇用保険料が天引きされています。

    Q2. 雇用保険に加入していたか、どうすれば確認できますか?

    A2. 給与明細をご確認ください。「雇用保険料」の項目で保険料が天引きされていれば加入しています。また、会社から交付される「雇用保険被保険者証」でも確認できます。もしご不明な場合は、人事担当者にお問い合わせください。

    Q3. 失業給付(基本手当)とは何ですか?

    A3. 失業給付(基本手当)は、雇用保険の被保険者であった方が、離職後に働く意思と能力があるにもかかわらず、仕事が見つからない場合に、生活の安定を図りながら再就職活動ができるよう支給される手当です。

    【基本手当の計算方法(概算)】

    基本手当の1日あたりの金額(基本手当日額)は、原則として離職前の賃金に基づいて計算されます。

    賃金日額の算出: 原則として、離職前6ヶ月間の賃金(賞与等を除く)の合計額を180で割った金額が「賃金日額」となります。

    賃金に含まれるもの: 基本給、各種手当(通勤手当、残業手当、扶養手当など、毎月支払われるもの)

    賃金に含まれないもの: 賞与(ボーナス)、退職金、結婚祝い金などの臨時に支払われるもの

    基本手当日額の算出: 賃金日額に一定の給付率をかけたものが基本手当日額となります。給付率は離職時の年齢や賃金日額によって異なり、約50%~80%です。賃金が低い方ほど給付率は高く、賃金が高い方ほど給付率は低くなります。 また、基本手当日額には上限額と下限額が定められています。

    計算式(概算):
    基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(約50%~80%)

    具体的な金額は、ハローワークで受給資格の決定を受ける際に示されます。

    Q4. 失業給付(基本手当)を受給するための条件は何ですか?

    A4. 主な条件は以下の通りです。

    雇用保険の加入期間(被保険者期間):

    自己都合退職など(一般受給資格者)の場合: 離職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること。

    会社都合退職など(特定受給資格者・特定理由離職者)の場合: 離職日以前1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して6ヶ月以上あること。 ※「被保険者期間」とは、雇用保険の加入期間のうち、賃金の支払いがあった日数が11日以上または労働時間が80時間以上の月を1ヶ月とカウントします。

    働く意思と能力があること: 病気や怪我で働けない状態ではないこと。

    積極的に求職活動を行っていること: ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、再就職のための活動をしていること。

    離職していること: 現在、仕事をしていないこと。

    Q5. 自己都合退職と会社都合退職で、失業給付の条件や受給期間は変わりますか?

    A5. はい、大きく変わります。

    自己都合退職の場合:

    受給要件が厳しくなることがあります(Q4参照)。

    2025年4月1日以降の離職の場合、原則として給付制限期間は1ヶ月となります。 ただし、過去5年間に正当な理由なく自己都合退職により失業給付の受給資格決定を2回以上受けている場合は、給付制限期間が3ヶ月となる場合があります。

    また、離職期間中や離職日以前1年以内に、ご自身で雇用保険の教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講した場合は、給付制限が解除されます(2025年4月1日施行)。

    会社都合退職(特定受給資格者)の場合:

    受給要件が緩和されることがあります(Q4参照)。

    給付制限期間がありません。

    所定給付日数(失業給付がもらえる日数)が、自己都合退職の場合よりも長くなる傾向があります。

    「会社都合」とされるのは、倒産、解雇、事業所の移転による通勤困難など、ご自身の意思に反して離職せざるを得なかった場合が該当します。具体的な判断はハローワークが行います。

    Q6. 会社からどんな書類をもらえますか?

    A6. 雇用保険の手続きに必要な書類として、主に以下のものが交付されます。

    雇用保険離職票-1: 雇用保険の資格喪失を証明する書類です。

    雇用保険離職票-2: 離職理由や賃金などが記載された書類です。

    雇用保険被保険者証: 雇用保険に加入していたことを証明するものです。

    源泉徴収票: 退職後の確定申告や年末調整で必要になります。 これらの書類は、退職後10日~2週間程度で郵送されます。ハローワークでの手続きに必要ですので、大切に保管してください。

    Q7. 失業給付の申請はどこで、いつまでにすればいいですか?

    A7.

    申請場所: ご自身の住所地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)です。

    申請期限: 離職日の翌日から1年以内です。この期間を過ぎると、原則として失業給付は受けられなくなります。

    病気や怪我、妊娠・出産、育児など、やむを得ない理由で30日以上引き続き求職活動ができない場合は、受給期間の延長が認められる場合があります。この場合は、離職日の翌日から1ヶ月以内に延長手続きが必要です。

    Q8. 失業給付の受給までの流れを教えてください。

    A8. 主な流れは以下の通りです。

    会社からの書類受け取り: 雇用保険離職票などを受け取ります。

    ハローワークでの求職申込み・受給資格の決定: 離職票などを持参し、ハローワークで求職の申込みと失業給付の申請を行います。

    待期期間: 求職の申込みをした日(または受給資格決定日)から7日間は、失業給付が支給されない「待期期間」となります。

    給付制限期間(自己都合の場合のみ): 待期期間満了後、自己都合退職の場合は給付制限期間があります。(2025年4月1日以降の離職者は原則1ヶ月。教育訓練受講による解除あり。 詳細はQ5を参照ください。)

    雇用保険説明会への参加: ハローワークが指定する説明会に参加します。

    失業の認定: 4週間に一度、ハローワークに行き、求職活動の実績を報告し、「失業の認定」を受けます。

    失業給付の支給: 失業認定後、指定口座に失業給付が振り込まれます。

    Q9. 失業給付を受けている間にアルバイトはできますか?

    A9. はい、可能です。ただし、アルバイトの内容や収入によっては、失業給付が減額されたり、支給されなくなったりする場合があります。

    週の労働時間が20時間未満であること

    1日の労働時間が4時間未満であること

    一定以上の収入がある場合は、失業給付額から収入が控除されます。 アルバイトを行う場合は、必ずハローワークに申し出て、指示に従ってください。申告を怠ると不正受給となり、厳しい罰則が科せられます。

    Q10. 雇用保険に関する問い合わせ先は?

    A10. 雇用保険の具体的な手続きや受給資格に関するご質問は、ご自身の住所地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)が窓口となります。 ハローワークの連絡先は、厚生労働省のウェブサイトなどでご確認いただけます。

    【補足】

    このFAQは一般的な情報提供を目的としています。個別の状況によって、手続きや条件が異なる場合がありますので、必ずハローワークにご確認ください。

    本FAQの内容は、2025年4月1日施行の雇用保険法改正内容(給付制限期間に関する事項)を反映しています。 今後の法改正等により内容が変更される可能性もあります。


    会社事務入門従業員が退職するときの手続き>このページ

  • 雇用保険の加入条件になっている1週間の所定労働時間についての補足

    社長:先生、ちょっと教えてほしいんですが、パートさんを雇用保険に入れるときは所定労働時間が基準になりますね。その所定労働時間をもう少し説明してくれませんか?

    先生:はい、ご存知のように、原則として1週間の所定労働時間が20時間未満の方は、雇用保険に加入させる必要がありません。ご質問の「所定労働時間」というのは就業規則や雇用契約書などで、その方が「通常の週に勤務することとされている時間」のことを指しています。

    社長:「通常の週」といいますが、祝日とか年末年始の休みが入っている週もありますが、それらの休みが入った週の平均をとるんですか?

    先生:そこがポイントです。この場合の「通常の週」というのは、祝祭日やその振替休日、年末年始、夏季休暇などの会社の特別休日を含まない週のことを指します。平均ではありません。

    社長:わかりました。もう一つ質問がありますが、うちの会社だと、繁忙期と閑散期で労働時間が変わるパートさんもいますが、そういう場合はどうすればいいですか?

    先生:1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動する場合は、その1周期における所定労働時間の平均を1週間の所定労働時間として判断することになっています。例えば、2週間で1サイクルなら、その2週間の合計時間を2で割って、1週間あたりの時間を算出するイメージです。

    社長:う〜ん、そうですか。あと、少数ですが労働時間が1か月単位とか1年単位で決まってる人がいますが、その場合はどうなりますか?

    先生:その場合は、それぞれ以下のように計算します。

    複数週で所定労働時間が定められている場合は各週の平均労働時間を1週間の所定労働時間とします。

    例えば、1か月単位で定められている場合は1か月の所定労働時間を「12分の52(約4.33)」で割って、1週間あたりの時間を算出します。

    1年単位で定めている場合は、1年の所定労働時間を「52」で割って、1週間あたりの時間を算出します。

    社長:なるほど、平均を出さなければならない場合があるということですね。よくわかりました。


    会社事務入門労働保険の手続き雇用保険の加入条件>このページ

  • 社会保険や労働保険での待期期間とは

    待期期間とは

    傷病手当金、休業補償給付、基本手当は、休業の初日、失業の初日からは支給されません。それぞれに給付が受けられない期間が定められていて、その給付を受けられない期間のことを待期期間といいます。

    傷病手当金の待期

    健康保険から支給される傷病手当金には3日間の待期期間があります。

    健康保険の傷病手当金は病気やケガを理由に3日間の休業があり、4日目も引き続き仕事に就けないことを支給要件としています。その3日間の休業を「待期期間」と呼びます。

    傷病手当金の場合には、この待期期間の3日間が連続していなければなりません。

    例えば、待期期間3日目に出勤すれば待期期間がクリアされて、改めて3日連続の待期期間を経過しなければなりません。

    待期期間の起算日にも注意が必要です。出勤して、所定労働時間内に早退して、病院に行った場合は、その日から待期期間になります。具合が悪いのを我慢して所定労働時間まで勤務して、終業後に病院に行った場合は、その翌日が待期の起算日です。

    なお、待期期間は有給休暇や休日、祝日に該当する日であっても対象としてカウントされます。

    休業補償給付の待期

    労災保険から支給される休業補償給付には3日間の待期期間があります。

    労災保険の休業補償給付にも3日間の待期期間があります。休業補償給付の待期期間は連続している必要がありません。通算して3日間休業していれば待期期間を満たします。

    起算日は傷病手当金の場合と同じです。

    休暇等の扱いも傷病手当金と同じです。

    基本手当の待期

    雇用保険から支給される基本手当には7日間の待期期間があります。

    具体的には、ハローワークで離職票の提出と求職の申込みを行った日(受給資格決定日)から通算して7日間が待期期間です。

    その期間が満了するまでは雇用保険の基本手当は支給されません。 これは、離職の理由等にかかわらず誰でも一律に適用されます。


    会社事務入門傷病手当金の手続き労災保険の給付雇用保険の給付>このページ