法定休日は労働基準法に定められた「絶対休ませる日」

Last Updated on 2025年7月21日 by

法定休日って何?

会社で働く皆さんにとって、「休日」は心身をリフレッシュし、プライベートな時間を過ごすために不可欠なものです。この休日について、労働基準法という法律が、会社に「これだけは必ず休ませなさい」と義務付けている最低限の休日があります。それが「法定休日(ほうていきゅうじつ)」です。

法定休日の具体的なルール

労働基準法第35条で、以下のように定められています。

原則:1週間に1日以上

つまり、会社は、原則として1週間に少なくとも1日は労働者に休日を与えなければなりません。

例外(変形休日制):4週間に4日以上

特別な場合として、「4週間を通じて4日以上」の休日を与えることで、週に1日の休日を与えられない週があっても良い、という例外も認められています。

この場合でも、連続して25日以上働かせることはできません。

ただし、これは特定の運用の場合に限られるため、原則は「週に1日」と覚えておくと良いでしょう。

なぜ法定休日があるの?

法定休日は、労働者の健康と生活、そして労働生産性を守るために極めて重要な役割を果たしています。

心身のリフレッシュ:連続して働き続けると、疲労が蓄積し、生産性の低下や健康問題につながります。定期的な休日によって、心身を回復させることが必要です。

労働災害の防止:疲労は注意力の低下を招き、労働災害のリスクを高めます。休日を確保することで、事故のリスクを低減します。

生活の保障:労働者が仕事以外の時間も確保し、家族との交流や地域活動、自己啓発などに充てられるようにすることで、人間らしい生活を送れるようにします。

なお、法定休日は暦日でとらせなければなりません。暦日というのは午前0時から午後12時までの24時間です。1日のうちの一部だけを休日にすることはできません。

法定休日は特定されているの?

ここが少しポイントです。 労働基準法は、「週に1日以上」の休日を義務付けていますが、その「週1日」が具体的に「何曜日」でなければならない、とは定めていません。

例えば、多くの会社で「日曜日」が法定休日とされていることが多いですが、これは法律で決まっているわけではなく、その会社の就業規則などで「日曜日を法定休日とする」と定めているからです。

もし、就業規則などで特に法定休日が定められていない場合は、原則としてその週の最後にとった休日が法定休日と解釈されることが多いです。

法定休日に労働させたらどうなる?

会社が、労働基準法で定められた「法定休日」に労働者と働かせた場合、それは「休日労働」となります。

そして、この「休日労働」をさせるには、以下の2つの条件をクリアしなければなりません。

36協定(サブロク協定)の締結と届け出

時間外労働と同様に、労働者と使用者(会社)の間で、「休日労働をさせることがありますよ」という内容の協定を結び、これを労働基準監督署に届け出る必要があります。

36協定がなければ、原則として法定休日に働かせることはできません。

割増賃金の支払い

法定休日に労働させた時間については、通常の賃金に35%以上の割増し(1.35倍以上)をして支払う義務があります。これは、時間外労働の割増率(25%以上)よりも高く設定されています。

法定休日と所定休日の違い

「所定休日」と混同しやすいので整理しておきましょう。

法定休日は、法律で決められた「最低限必ず与えなければならない休日」(原則1週間に1日以上)です。

所定休日は、会社が就業規則などで独自に定めた「この日もお休みにしますよ」という休日(土日祝日、年末年始など、法定休日を超える部分)です。

会社が定める「所定休日」の中には、必ず「法定休日」が含まれている必要があります。 (例:週休2日制の場合、どちらか1日が法定休日であり、もう1日は所定休日(法定外休日)となります。)

まとめ

「法定休日」は、労働者の健康と生活を守るための、法律で定められた最も基本的な休日のルールです。原則として1週間に1日以上与える必要があり、これに労働させた場合は36協定の締結と、通常の賃金の1.35倍以上の割増賃金の支払いが必要となります。

この法定休日を正しく理解し、会社がこれを遵守することは、健全な労使関係を築き、労働災害を防止する上で極めて重要です。


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