機密の事務を取り扱う者とは

Last Updated on 2022年9月18日 by

労働時間・休憩・休日の規定が適用されない

労働基準法第41条は労働時間に関する規定が適用されない労働者について定めています。ここでは、同条の二の「又は」以下に定めがある「機密事務取扱者」について解説します。

(労働時間等に関する規定の適用除外)
第四十一条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者
二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

これに関する通達では、該当するのは「秘書その他職務が経営者又は監督若しくは管理の地位に在る者の活動と一体不可分であつて、出社退社等についての厳格な制限を受けない者」として、代表例として、「秘書」を挙げています。(昭和22.9.13発基17号)

経営者と一体不可分か

裁判例の一つでは、「監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者とは、その名称にとらわれず、勤務の具体的態様に照らして、経営者と一体的な立場にある者であるか否か、労務管理上監督的地位にあるか否か、出社退社等について厳格な制限を受けていたか否か等を実質的に判断して決定されるべきものである」(抜粋)というものがあります。(大阪高等裁判所平成1.2.21判決)

この裁判例では、「監督若しくは管理の地位にある者」と「機密の事務を取り扱う者」を一体的に扱っています。つまり、機密の事務を取り扱うもの」は「監督若しくは管理の地位にある者」と同等の扱いが求められるものと解釈できます。つまり「監督若しくは管理の地位にある者」の認定に用いられる基準、①職務内容や勤務実態に照らして、経営者又は管理監督者と一体不可分といえる関係にあるかどうか、②待遇が職務内容や勤務実態に見合っているか、などを考慮しなければなりません。

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職務の実態による

通達には「秘書その他」とありますが、もちろん、「秘書」と呼称していれば該当するというものではなく、勤務の実態により判断しなければなりません。

裁判例でも、単に秘書としての業務を行っているだけでは「機密の事務を取り扱う者」とは言えないと判示しています。(東京地方裁判所平成16.3.29判決)

秘書と呼称されていても書類の整理やスケジュール調整などの業務範囲であれば「機密の事務を取り扱う者」とはいえず、通常の労働時間管理をしなければならないと考えられます。

特に、その秘書の職務内容が経営レベルの機密に関与し、経営上の重要な役割を担っているかという点がポイントになると思われます。

労働時間管理自体は必要

なお、労働時間に関するすべての取扱いが適用されないのではなく、深夜労働(労基法37条4項)や有給休暇(同法39条)の規定は適用され、また、当然に安全配慮義務(労働契約法第5条)が適用され過重労働等を避ける配慮義務があるので、労働時間管理は必要です。

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