Last Updated on 2023年10月11日 by 勝
買い取りは原則としてできない
有給休暇は、通常の休日とは別に従業員に休暇を有給で与えて、心身の疲労を回復してもらおうという制度です。
したがって、金銭を支払ってこれを与えないことは法律の目的に沿わないので原則として禁止されています。
昭和30年11月30日基収4718号
年次有給休暇の買上げの予約をし、これに基づいて法第39条の規定により請求し得る年次有給休暇の日数を減じないし請求された日数を与えないことは、法第39条の違反である。
買い取りできる場合がある
例外として次の3つの場合に買取りが認められています。
法定の日数を上回る有給休暇
最低限与えなければならない有給休暇の日数は労働基準法で定められています。
会社によっては、法定以上の有給休暇を与えている場合もあります。
つまり、労働基準法によれば、勤続6年半以上の従業員に与えるべき有給休暇は年間20日ですが、例えば25日付与していれば、法定を超過した5日分については、双方の合意があればいつでも買取りの対象にすることができます。
時効により消滅した有給休暇
有給休暇の請求権は2年で時効になります。
時効になればその分の有給休暇を取得する権利はなくなるのですが、会社は有給休暇に時効を適用しないで引き続き取得の権利を認めることもできます。
この場合、単に有給休暇を積算させるだけでなく、時効にかかった部分の有給休暇を金銭で買い取ることができます。
退職時に残っている有給休暇
退職予定者が残った有給休暇をまとめて請求した場合、会社はこれを認めなければなりません。
しかし、引継ぎ等のため労働者の同意があったとき、または、退職日までに消化できない有給休暇を買い取ることに会社が同意したときは買取ることができます。
就業規則等に定める
買取りは法律上定められたものではありません。法律の趣旨を超える運用になるが、労働者に有利だということで違法ではないということです。
したがって、買取りする場合には、どんな場合に有給休暇の買取りが可能なのかを、就業規則等に定める必要があります。
また、買取り価格についても、基本的には有給休暇の賃金と同じ基準にすると考えられますが、法律上の規定がないので、就業規則等に定めておく必要があります。
買い取り額の支払については、給与に上乗せして支給する場合と、退職金に上乗せして支給します。現金での渡し切りは所得税法上の問題があります。
この辺りをきちんと決めておけば退職者が出るたびに有給休暇の問題で悩まなくなります。
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