起訴休職制度の意味とその必要性

Last Updated on 2021年3月10日 by

起訴休職とは

起訴休職とは、休職制度における休職事由の一つで、従業員が犯罪の嫌疑を受けて起訴されたときに、従業員を休職させる制度です。

起訴休職の目的は、その事件を起こした従業員を引き続いて就労させた場合に、職場秩序が乱れるなど円滑な会社活動に支障が生じる可能性があることから、しばらくの間会社との距離を置かせようというものです。

起訴休職を就業規則に規定しなければ、起訴を理由とする休職を命じることができません。

また、就業規則に起訴休職について定めている場合でも、定めているから自動的に起訴休職を適用できるとは考えない方が無難です。

刑事裁判上は、有罪確定までは、無罪と推定されます。したがって、起訴されたという事実だけでなく、会社の社会的信用の失墜や、職場秩序の支障の程度、本人の労務提供がどの程度できるか、などを加味して判断しなければなりません。

事件の内容や程度にもよりますが、本人が無罪を主張し、また、保釈されていて会社への出勤が可能であるときは、より慎重に検討する必要があります。

起訴休職の有効性をめぐる裁判もいくつかありますが、いろいろな要素を総合的に判断しているので、こうであれば有効性が認められるという決め手はありません。

起訴休職の期間

休職期間は、一般的には起訴から確定判決があるまでと規定することが多いようです。

一般的に、休職期間中の賃金は無給と就業規則に定めます。無給の扱いが問題になることはないと考えられます。

無罪判決が出た場合は、検察が控訴したとしても休職要件が消滅したとして、復職させなければならないと考えられています。

有罪判決が出て当人が控訴した場合は、いまだ確定判決にならずということで休職を継続させることになります。

有罪が確定した場合には、起訴休職を解き、相応の懲戒処分を検討することになります。

懲戒処分について

裁判で有罪が確定すれば即懲戒処分ができるというわけではありません。懲戒処分の一つの根拠にはなりますが、就業規則に定めた懲戒の手順をふみ、会社の社会的信用の失墜や、職場秩序の支障の程度などを慎重に審議したうえで決定しなければなりません。

懲戒解雇することになれば解雇手続きをとり、解雇以外の懲戒であれば、その処分の後に復帰ということになります。

就業規則の定め

就業規則の規定例は次のようになります。

例1
従業員が刑事事件に関して起訴されたときは、原則として判決確定までの期間は休職を命じる。

例2
従業員が刑事事件に関して起訴され、勾留されるなどして勤務することができないと認められるとき、または、起訴により会社の正常な業務運営に支障をきたすおそれがあるときは休職を命じる。

なお、就業規則には要点を定め、詳細は休職規程に定めるとよいでしょう。

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起訴休職を規定しない場合

就業規則に起訴休職の規定がなければ起訴休職を命じることはできませんが、あえて休職を命じなくても勾留されている期間は出勤できません。有給休暇を使わせる場合もありますが、一般的には欠勤ということになります。

未決のまま釈放されたときに、会社としての対応について結論がでていなければ、対応を決めるまでのあいだ短期間であれば自宅待機を命じることもできます。

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起訴休職規定の有無にかかわらず、会社は、懲戒処分の要件を満たせば、懲戒解雇などの懲戒処分を科すことができます。

以上のような事情から、あえて、起訴休職を設けなくても対応できるとして、起訴休職を定めない就業規則も多くみられます。

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