退職時の雇用保険手続き

退職・解雇

10日以内に被保険者資格喪失届を提出

従業員が退職したときは10日以内にハローワークに届け出る必要があります。

従業員が離職票の交付を希望する場合は、退職日の翌日から10日以内に管轄のハローワークに


□ 雇用保険被保険者資格喪失届
□ 雇用保険被保険者離職証明書

を提出します。

次の就職先が決まっているなどで失業等給付の受給対象とならない場合などの理由で、従業員が離職票の交付を希望しない場合は、退職日の翌日から10日以内に管轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出します。

従業員が59歳以上の場合は、本人の希望にかかわらず離職票を交付しなければなりません。「雇用保険被保険者離職証明書」も同様です。

従業員は交付された離職票をハローワークに提出して基本手当の受給手続きをします。

持参する書類

雇用保険被保険者資格喪失届等を提出するときは

□ 労働者名簿
□ 出勤簿
□ 賃金台帳

を持参しなければなりません。

さらに、退職の状況によって次の書類が必要です。

労働契約期間満了による退職
労働契約書、雇入通知書、契約更新の通知書など

早期退職優遇制度による退職
制度の内容がわかる書類

移籍出向による退職
出向契約書など移籍出向の事実関係が確認できる書類

解雇による退職
解雇予告通知書、退職証明書、就業規則など

従業員の個人的な事情による退職
退職願など、その内容が確認できる書類

電子申請

会社が行う手続き

会社が離職者のためにハローワークへ行う電子申請(離職票交付あり)の手続きは、主に政府の総合窓口であるe-Gov(イーガブ)ポータルを通じて行います。

手続きの基本的な流れは以下の通りです。

事前準備

項目内容
電子申請環境の確認e-Govアカウント、および電子証明書またはGビズIDを準備します。これがないと電子署名ができず、申請ができません。
離職者情報の確認離職者のマイナンバーが雇用保険の情報と紐づいているか、また、マイナポータルでの離職票の受け取りを希望しているかを確認します。
添付書類の準備離職票の記載内容の根拠となる賃金台帳や出勤簿、退職届、離職理由を確認した書類などをPDF等の電子ファイルで準備します。また、離職者本人の署名がもらえない場合は、署名の代わりとなる確認書を準備します。

e-Govでの申請書類作成・入力

ステップ内容
① 手続きの検索・選択e-Govポータルにログインし、「雇用保険被保険者資格喪失届(離職票交付あり)」の手続きを検索して選択します。
② 基本情報の入力申請者(会社)の名称、所在地、連絡先など、基本的な情報を入力します。
③ 資格喪失届の作成離職者の被保険者番号、氏名、喪失年月日(離職日の翌日)、離職票交付希望の有無(「あり」を選択)など、必要事項を入力します。
④ 離職証明書の作成「雇用保険被保険者離職証明書」(離職票の元となる書類)の内容を入力します。特に、離職理由(被保険者の記名押印または署名欄)や賃金支払状況の項目を正確に記載します。
⑤ 添付書類の登録ステップ1で準備した賃金台帳や離職理由の確認書などの電子ファイルを添付します。

電子署名と提出

ステップ内容
⑥ 電子署名の付与入力内容を確認した後、会社の電子署名を付与します。この署名は紙の書類における代表者の押印に相当します。
⑦ ハローワークへの提出提出先となる管轄のハローワークを選択し、申請データを送信します。(離職日の翌日から10日以内が期限です)

審査完了後の対応

ステップ内容
⑧ 公文書の交付ハローワークによる審査が完了すると、e-Govのマイページに電子公文書として各種通知書や離職票が交付されます。
⑨ 離職票の確認と対応離職者がマイナポータルでの受取を希望している場合は、ハローワークから自動的にデータが送信されます。希望していない場合は、会社はe-Govから離職票(PDFファイル)をダウンロードし、印刷して離職者へ速やかに郵送などで交付します。

注意点:

  • 電子申請は、手続きの効率化を図るために、紙の書類の記載内容と添付書類の簡略化・照合省略が可能となる場合がありますが、ハローワークの指示があった際は追加で書類を提出する必要があります。
  • 特定の大企業など、一部の法人は電子申請が義務化されています。自社が対象となるかどうかは、事前に確認することをお勧めします。

離職票の電子化

2025年1月からは、一定の条件を満たした場合、退職者本人がマイナポータルを通じて離職票を直接受け取ることができる仕組みが始まっています。

会社と従業員のそれぞれが何をどうすべきか、ステップごとに説明します。

会社(事業主)がすべきこと

会社は、離職する従業員がマイナポータルで離職票を受け取れるように、電子申請でハローワークへの届出を行う必要があります。

ステップ内容必須/任意
1. 電子申請環境の整備e-Govアカウントおよび電子証明書(またはGビズID)を取得し、電子申請ができる環境を整えます。必須
2. 事前の確認・依頼離職者に対し、マイナンバーがハローワークに登録されているか、マイナポータルで離職票を受け取る意思があるかを確認します。必須
3. 離職手続きの申請離職日の翌々日から10日以内に、e-Govなどを利用して「雇用保険被保険者資格喪失届(離職票交付あり)」と「雇用保険被保険者離職証明書」を電子申請でハローワークに提出します。必須
4. 離職証明書の確認離職証明書(紙で提出する場合は離職者の署名が必要)の内容について、電子申請では離職者本人の署名の代わりとなる確認書を添付することで手続きを行います。必須

従業員(離職者)がすべきこと

従業員がマイナポータルで離職票を直接受け取るステップは次のようになります。

ステップ内容必須/任意
1. マイナンバーカードの取得マイナンバーカードを取得し、マイナポータルが利用できるようにしておく必要があります。必須
2. マイナンバーの登録確認過去に会社を通じて届け出たマイナンバーが、ハローワークの雇用保険情報(被保険者番号)と紐づいているか、マイナポータルで確認します。紐づいていない場合は、会社を通じて手続きが必要です。必須
3. 「雇用保険WEBサービス」連携設定スマートフォンなどでマイナポータルにログインし、メニューから「外部サイトとの連携」を選び、「雇用保険WEBサービス」との連携設定を完了させます。必須
4. 離職票のダウンロード会社が電子申請を行いハローワークの審査が完了すると、マイナポータルの「お知らせ」に通知が届き、離職票(PDFファイル)をダウンロードできるようになります。必須
5. ハローワークでの手続きダウンロードした離職票データを持って、お住まいの住所地を管轄するハローワークに行き、雇用保険の受給手続きを行います。必須

補足:電子交付ができない場合

会社が電子申請に対応していない、または従業員がマイナンバーカードを持っていないなど、上記の条件を満たさない場合は、従来通り会社から紙の離職票(郵送など)を受け取ることになります。

その他の手続き

従業員が退職したときは、社会保険と住民税に関する手続きも必要です。