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労働紛争対応

労働施策総合推進法に基づく調停等の制度

Last Updated on 2024年8月11日 by

企業内での紛争解決

労働施策総合推進法はパワハラの防止について定めています。パワハラの定義は第32条の2に示されています

第三十条の二 事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

太字の部分がいわゆるパワハラです。この規定では、パワハラを定義して、事業主が「相談に応じ」、「必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置をとることを求めています。

パワハラについては次の記事でもう少し詳しく解説しています。

パワハラに対する会社の対応

相談窓口を設置して労働者が相談しやすい環境をつくる必要があります。

相談窓口の設置と運営

会社内で解決できればよいのですが、お互いが感情的になったり、主張が平行線をたどるなどして、話合いによる解決が困難になることがあります。そのような場合、都道府県労働局に援助を求めることができます。

労働局長の援助を求める

都道府県労働局長に援助を申し出ることができます。

第三十条の五 都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。

次の記事は個別労働紛争解決促進法に基づく労働局長の助言・指導についての解説記事ですが、労働施策総合推進法によるパワハラ被害への援助についても同様の対応をしてくれます。

個別労働紛争の当事者に対する労働局長の助言・指導

紛争調整委員会の調停

都道府県労働局長は、紛争調整委員会に調停を行わせることができます。

第三十条の六 都道府県労働局長は、第三十条の四に規定する紛争について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があつた場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項の紛争調整委員会に調停を行わせるものとする。

調停とは

労働施策総合推進法に基づく調停は、男女雇用機会均等法(19条から26条までの調停についての定め)を準用して行われます。

調停とは、調停委員が当事者である労働者と事業主双方から事情を聞き、紛争解決の方法として調停案を作成し、当事者双方に調停案の受諾を勧告することにより紛争の解決を図る制度です。

調停を利用する方法

紛争調整委員会の調停を受けたいときは、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)又は最寄りの総合労働相談コーナー(労働基準監督署内に設置されています)に、調停申請書を提出します。用紙は窓口にあります。また厚生労働省ホームページからダウンロードすることもできます。

労働者が申請するのが一般的ですが、事業主の側から申請することもできます。

調停は非公開で行われるので当事者のプライバシーは保護されます。

調停の進み方

労働局は申請を受け付けると若干の調査をして、調停の必要を認めれば、紛争調整委員会に調停を委任する書類を回します。

紛争調整委員会の委員は、弁護士、大学教授、社会保険労務士などの労働問題の専門家がつとめています。

指定の日時に紛争当事者双方が出頭します。この場合、直接顔を合わせて言い合うのではありません。調停委員が個別に話を聞いて解決案を提示します。

その解決案に対してどちらかが不満であれば、強制することはできないので解決できないまま調停は終了します。

双方が合意すれば合意書を作成します。合意書には法的な拘束力があります。

紛争調整委員会の調停は、参加したくない相手方を強制的に出席させることはできません。その場合は調停を行うことができないので、申請した当事者は調停以外の方法である、裁判等を検討することになります。

制度の対象となる紛争

労働施策総合推進法による調停の対象となるのは「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害される」事案です。

解雇、雇止め、労働条件の不利益変更などの労働条件に関する紛争については、個別労働紛争解決促進法に基づくあっせんの対象になります。


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