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労働紛争対応

労働委員会による個別労働紛争あっせん制度

Last Updated on 2023年10月19日 by

あっせんとは

個別労働紛争における「あっせん」とは、個別の労働者と事業主との間で、解雇や賃下げ、配置転換などの労働トラブルが発生したときに、「あっせん員」が双方の間に入って、話し合いによる解決をサポートすることです。

労働委員会とは

労働委員会は、労働者(労働組合または個人)と使用者との間の争いを解決するための専門的な行政機関で、労働組合法により国(中央労働委員会)と都道府県(都道府県労働委員会)に設けられています。

労働委員会は、公益委員(弁護士など)、労働者委員(労働組合役員など)、使用者委員(会社役員など)の三者各同数で組織されています。

労働委員会によるあっせん

あっせんは、公益委員、労働者委員、使用者委員それぞれから1名ずつ計3名のあっせん員が担当します。

当事者双方から話を聴き、問題点を整理して、双方の意向を確認しながら話し合いを進め、双方が納得できる合意点を探します。

あっせん対象

あっせん対象となる労働トラブルには、労働条件に関する次のような事項があります。

・ 配置転換、解雇、人員整理、休職などに関すること
・ 賃金、一時金、各種手当、退職金などに関すること
・ 労働時間、休日・休暇、安全衛生、職場環境など
・ その他労働条件等に関すること
・ 職場の人間関係に関すること
・ パワハラなどのハラスメントに関すること

労働者間の私的トラブルや、他の個別労働紛争解決手続きなどが進行中の紛争などは、あっせんの対象から除かれます。

あっせんの流れ

あっせんの申請

働いている事業所が属する都道府県の労働委員会に申請します。窓口は各都道府県の労働委員会事務局です。労働者からだけでなく事業主からも申請できます。

事務局に申請書用紙が用意されています。ホームページからダウンロードできるところが多いようです。

トラブルの内容を充分に説明できるように準備しておきましょう。また、主張の裏付けになる書類(労働契約書等)があればコピーを用意しておきましょう。

初めての場合は分からないことが多いと思うので、申請書を提出する前に事務局に相談した方がよいでしょう。

あっせん員の決定

申請が受け付けられると、担当する3名のあっせん員が決まります。

事前調査

申請書に基づいて、事務局職員があっせん事項等の内容について、当事者双方から紛争の経過と主張の要点を聴取します。

あっせん開始

あっせんは、相手方の参加承諾のもとに、日時を定めて当事者双方が出席して行われます。当事者双方が対面しないように配慮されます。

あっせん員が当事者双方から個別に事情を聴いて、双方に解決への歩み寄りを促し、紛争解決に向けた方針の提示、意向の打診や説得、解決案(あっせん案)の提示などを行います。

あっせん終結

あっせんは以下の場合に終結します。

解決
あっせん員の調整により、当事者双方があっせん案を受諾した場合又は双方が自主的に話し合うことを了解した場合等には、解決したとしてあっせんは終結します。

打切り
申請の相手方があっせん参加を辞退したとき、当事者双方に解決に向けた歩み寄りがみられない場合等、あっせん員が紛争解決の見込みがないと判断したときは打切りによりあっせんは終結します。

取下げ
当事者双方があっせんを行う前に紛争を自主的に解決した場合、申請者があっせん申請を取下げた場合は、取下げによりあっせんは終結します。


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