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労働災害

従業員による自主的なクラブ活動に労災保険が適用されるか?

Last Updated on 2025年8月14日 by

従業員による自主的なクラブ活動であっても会社としてのリスクはゼロではありません。「会社の業務の一環とみなされるか」という観点から、ご説明します。

会社としてのリスクについて

会社が資金援助していれば、会社の活動の一環とみなされる可能性がたかまります。会社が直接的に資金援助をしていなくても、以下の要素にあてはまれば、会社の業務に関連する活動と見なされる可能性があります。

安全配慮義務との関係:原則として業務外活動は会社の責任範囲外ですが、会社が活動を実質的に主催・指揮していると見なされる場合は、安全配慮義務や使用者責任が問われる可能性があります。

対外的な信用・イメージ:怪我やトラブルが発生すると、労災か否かにかかわらず、会社名と結びついて報道・噂になることがあります。

施設利用リスク:社屋や工場内の施設を練習で使用して、第三者が巻き込まれた事故では、会社に損害賠償請求が及ぶ場合があります。

労災保険の適用について

労災保険の給付対象になるかどうかは、最終的に労働基準監督署が判断します。判断基準としては、以下の点が考慮されます。

参加の強制性: 会社からの参加の強制や推奨があったか、不参加者への不利益な扱いがあったか。

会社からの指示: 会社が活動内容について指示することがあったか。

会社の費用負担等:費用の一部または全部を会社が負担していたか、業務時間内の活動を会社が認めることがあったか、会社の施設を練習場所等として提供していたか。

活動の目的: 会社がその活動を通じて、具体的な利益(広告効果など)を得たか、得ようとしていたか。

こうしたことがあれば、業務とみなされる可能性が否定できません。

対策

以下の対策を講じることをお勧めします。会社所属、あるいは会社関係のチームとして公認する気があれば別ですが、責任を回避したい場合は、会社とは無関係な活動であることを明確にするべきでしょう。

クラブの規約に関係を明記させる:会社との関係を誤解されないよう、任意参加・自己責任で、会社とは無関係であることを明文化する。活動案内や申込書にも同様の内容を記載する。

社内施設の利用をルール化する:練習場所等に社内施設を貸す場合は利用ルールと安全責任の所在を明確して、使用願と許可の手続きを厳正に行う。

会社名の使用を禁止する: 会社として関与していないことを明確にするために、チーム名に会社名や会社を類推できる名称を使用することを禁止する。

ボランティア保険への加入: 自主的な活動であっても、怪我や事故のリスクがある以上、チームとして、充分な保障が受けられるスポーツ保険やボランティア保険に加入すること奨励する。

これらの対策を講じることで、万が一の事態に備え、会社としてのリスクを軽減することができます。専門的な助言が必要な場合は、社会保険労務士や弁護士にご相談ください。


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