Last Updated on 2023年10月11日 by 勝
かかった費用を求められる
労災保険は強制保険なので、労働者を1人でも雇っている事業主は、労災保険の加入手続を行って労働保険料を納付しなければなりません。
もし、労災保険に加入していない、あるいは労働保険料を払っていない期間に労災事故が発生したときは、被災労働者や遺族に対しては事業主が納付していなくても労災保険からの給付が支給されます。
ただし、事業主はそのまま負担がないとはならず、後日、保険給付に要した費用の全部または一部を徴収されることになります。これを労災保険の「費用徴収制度」といいます。
費用徴収される額は
徴収される金額は、故意もしくは重大な過失のどちらに該当するかで変わります。
故意に加入手続きが行なわれなかったと認定された場合、当該災害で療養開始後3年間に支給された保険給付額の100%が徴収されます。重大な過失と認定された場合の徴収額は、故意と同条件に該当する保険給付額の40%です。
なお、療養(補償)給付と介護(補償)給付に関しては、費用徴収制度の対象から除かれています。
保険料も追加徴収される
保険料の追加徴収もあります。最大2年間さかのぼった保険料に10%の追徴金を上乗せした金額の支払いが求められます。保険料の追加徴収は、労働災害がないとしても調査で未加入が発覚すれば対象になるようです。
罰則も適用されることがある
労災保険に加入していなかった場合、上記の費用徴収等のほかに、労働基準法や労働者災害補償保険法の違反について罰則が適用されることもあります。
例えば、労働者災害補償保険法には法に基づく命令に違反して文書の未提出や虚偽申告、未報告などを行なった事業主に対し、懲役または罰金を科す定めがあります。