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労働災害

労災保険の特別加入

Last Updated on 2022年11月10日 by

労災保険の特別加入とは

労災保険が適用される条件を満たさない人のうち、適用されるのが妥当と考えられる一定範囲の人に、特別に労災保険への加入を認める制度です。

特別加入することができる者の範囲により、次の4種があります。​

□ 中小事業主等の特別加入
□ 一人親方等の特別加入
□ 特定作業従事者の特別加入
□ 海外派遣者の特別加入

特別加入のメリット

個人事業主等が労災保険に特別加入するメリットは、労働災害にあったときに、労働者並みの保護を受けられるという点です。

治療が自己負担なしで受けられ、労働ができない場合の休業補償給付や、障害が残った場合の障害補償給付があり、万が一死亡した場合は、遺族に対して遺族補償給付を受けることができます。

労災保険の給付

中小事業主等の特別加入

他の従業員と同様の業務に従事している中小事業主が対象です。労働保険事務組合への加入などが要件になります。中小企業とは、常時使用する労働者が、小売等で50人以下、卸サービスで100人以下、その他の事業で300人以下です。

労働者を1人以上雇用している必要がありますが、その雇用が通年雇用でなくても、1年間に100日以上使用している場合には、常時雇用しているものとして取り扱われます。

事業主の家族従事者や、代表者以外の役員なども加入できます。

特別加入の要件

□ 雇用する労働者について、労災保険が適用されていること
□ 労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること

特別加入の手続き

労働保険事務組合を通じて、特別加入申請書(中小事業主等)を所轄の労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に提出します。労働局長の承認があれば加入することができます。

一人親方等の特別加入

一人親方等とは

特別加入することができる一人親方等とは、次の1~7の事業を、常態として労働者を使用しないで行う者です。

1.自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業(個人タクシー業者や個人貨物運送業者など)
2.建設の事業(土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、原状回復、修理、変更、破壊もしくは解体又はその準備の事業)(大工、左官、とび職人など)
3.漁船による水産動植物の採捕の事業(7に該当する事業を除きます。)
4.林業の事業
5.医薬品の配置販売(医薬品医療機器等法第30条の許可を受けて行う医薬品の配置販売業)の事業
6.再生利用の目的となる廃棄物などの収集、運搬、選別、解体などの事業
7.船員法第1条に規定する船員が行う事業

柔道整復師

令和3年4月1日から柔道整復師が行う事業が1人親方等に追加されます。

創業支援等措置に基づき事業を行う者

高年齢者雇用安定法改正により2021年4月から努力義務となる創業支援等措置により就業する者の中で、常態として労働者を使用しないで作業を行う者が、1人親方等の特別加入の対象になります。

労働者以外の者で、その事業に従事している家族従事者も特別加入できます。

また、労働者を使用する場合であっても、労働者を使用する日の合計が1年間に100日に満たないときには、一人親方等として特別加入することができます。

特別加入の要件

一人親方等の団体(特別加入団体)​の構成員であることが必要です。一人親方等の団体を事業主、一人親方等を労働者とみなして労災保険の適用を行います。

特別加入の手続

特別加入団体を通じて、特別加入申請書(一人親方等)を、所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出します。

特定作業従事者の特別加入

特定作業従事者とは

特定作業従事者とは、次のいずれかに該当する方です。

□ 特定農作業従事者
□ 指定農業機械作業従事者
□ 国又は地方公共団体が実施する訓練従事者(職場適応訓練従事者、事業主団体等委託訓練従事者)
□ 家内労働者及びその補助者
□ 労働組合等の常勤役員
□ 介護作業従事者及び家事支援従事者

令和3年4月1日から、芸能関係作業従事者・アニメーション制作作業従事者が特定作業従事者に追加されます。

特別加入の要件

特定作業従事者の団体(特別加入団体)の構成員であることが必要です。

特別加入団体を事業主、特定作業従事者を労働者とみなして労災保険の適用を行います。)

特別加入の手続

特別加入団体を通じて、特別加入申請書(一人親方等)を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出します。

海外派遣者の特別加入

海外に派遣者されて業務に従事する人が対象です。海外派遣者の手続きは派遣元の団体または事業主が行います。

海外勤務者の労災保険

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