カテゴリー
労働災害

化学物質管理者の選任義務と役割

Last Updated on 2023年12月7日 by

化学物質管理者とは

化学物質管理者は、企業や施設内で化学物質に関する安全管理を担当する役職です。

令和6年4月1日施行の改正労働安全衛生規則では、リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う事業場ごとに、化学物質管理者を選任し、その者に化学物質に係るリスクアセスメントの実施に関すること等の当該事業場における化学物質の管理に係る技術的事項を管理させなければならないこと、等が定められています。

関連通達は、令和4年5月31日付け基発0531第9号「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令等の施行について」です。

選任義務

化学物質管理者を選任しなければならないのは、リスクアセスメント対象物を製造、取扱い、または譲渡提供をする事業場です。業種・規模要件はありません。

化学物質管理者の選任が含まれる労働安全衛生規則の改正施行日は2024年4月1日です。

化学物質管理者の選任要件

リスクアセスメント対象物を製造している事業場

リスクアセスメント対象物を製造している事業場については、化学物質管理者は、厚生労働大臣が定める化学物質の管理に関する講習を修了した者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者とされています。

講習は、合計12時間、2日間の講義です。実習3時間が含まれています。テキストは、「厚生労働省」「化学物質管理者講習テキスト」で検索すれば出てきます。PDFファイルでダウンロードできます。

リスクアセスメント対象物を製造していない事業場

リスクアセスメント対象物を製造していない事業場については、化学物質管理者講習に準ずる講習を受講している者から選任することが望ましいとされています。

準ずる講習は、合計6時間、1日間の講義です。

講習機関

法定講習は、中央労働災害防止協会ほか、各研修機関が実施しています。

製造していない事業場向けの講習はWEB講習も実施されています。

第一種衛生管理者、衛生工学衛生管理者、特定化学物質四アルキル鉛作業主任者・鉛作業主任者。有機溶剤作業主任者の3作業主任者資格、を保有していれば一部の科目が免除されます。

その他の注意点

化学物質管理者の職務の遂行に影響のない範囲で、衛生管理者や作業主任者等と兼務することは差し支えない

化学物質管理者は、工場、店社等の事業場単位で選任することを義務付けられている。

化学物質管理者については、その職務を適切に遂行するために必要な権限が付与される必要があるため、事業場内の労働者から選任されるべきである。

同じ事業場で化学物質管理者を複数人選任し、業務を分担することも差し支えないが、その場合、業務に抜け落ちが発生しないよう、業務を分担する化学物質管理者や実務を担う者との間で十分な連携を図る必要がある。

作業主任者と違い、個々の現場毎に選任する必要はない。

事業場の状況に応じ、複数名の選任も可能。

化学物質管理者を選任した事業者は、保護具を使用させる場合には、保護具着用責任者を選任しなければならないことになっています。多くの事業場では、化学物質管理者と保護具着用責任者はセットで選任しなければならないことになります。

関連記事:保護具着用管理責任者の選任義務と役割

化学物質管理者と保護具着用責任者の兼任は禁じられていません。

選任手続き

選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任しなければなりません。

化学物質管理者を選任したときは、当該化学物質管理者の氏名を事業場の見やすい箇所に掲示すること等により関係労働者に周知させなければなりません。

上記の「等」については、化学物質管理者に腕章を付けさせる、特別の帽子を着用させる、事業場内部のイントラネットワーク環境を通じて関係労働者に周知する方法等が含まれる、と通達にあります。


会社事務入門安全衛生管理体制>このページ