労働者死傷病報告とは?わかりやすく解説

労働災害

労働者死傷病報告は、労働災害就業中の事故によって労働者が死亡したり、一定期間休業したりした場合に、事業主労働基準監督署に提出することが義務付けられている報告書です。

この報告の主な目的は、労働災害の発生状況や原因を把握し、同様の事故の再発を防止するための対策を講じることにあります。

報告の対象となるケース

提出義務があるのは、原則として以下のいずれかに該当し、その結果として労働者が死亡または休業した場合です。

  1. 労働災害による負傷、疾病、中毒
  2. 就業中の負傷、疾病、中毒
  3. 事業場内またはその付属建物内における負傷、疾病、中毒
  • 注意点:
    • 通勤災害による休業や死亡は、原則としてこの報告の対象外です。
    • 労災保険の請求手続きとは全く別の義務であり、労災保険を使う・使わないにかかわらず、上記の要件を満たせば提出が必要です。
    • 派遣労働者が被災した場合、派遣元派遣先両方の事業主に提出義務があります。

報告書の様式と提出期限

労働者が休業した日数によって、使用する様式と提出期限が異なります。

被災の程度使用する様式提出期限
死亡または休業4日以上様式第23号遅滞なく(概ね1~2週間以内が目安)
休業3日以内(1日~3日)様式第24号四半期ごとの翌月末日までにまとめて提出
災害発生期間提出期限
1月~3月分4月末日まで
4月~6月分7月末日まで
7月~9月分10月末日まで
10月~12月分翌年1月末日まで
  • 休業日数の数え方には、災害発生日、会社の所定休日、年次有給休暇取得日などは含めません。労働者が実際に労務に服せなかった日数(暦日ではなく労働日の日数)で判断します。
  • 「遅滞なく」とは、正当な理由なく遅れてはならないという意味で、速やかな提出が求められます。

提出方法と注意点

1. 提出先

被災労働者が勤務(所属)している事業場を管轄する労働基準監督署の安全衛生課(または担当部署)に提出します。

2. 電子申請の義務化

多くの労働基準監督署への届出と同様に、労働者死傷病報告についても、2025年1月1日以降、原則として電子申請(e-Govの利用)が義務化されています。

3. 労災かくしは違法行為

故意に労働者死傷病報告を提出しなかったり、虚偽の内容を記載したりすることは「労災かくし」という犯罪行為にあたり、罰則の対象となります。労働災害が発生した際は、正直かつ正確に報告することが義務です。

4. 略図の添付

電子申請の場合、災害発生状況を説明する略図の画像データ(JPEG、PNGなど)の添付が必須となるため、事前に準備が必要です。