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労働災害

労働者死傷病報告の解説

Last Updated on 2024年9月10日 by

労働者の死傷病を労働基準監督署に届出

労働安全衛生規則は労働安全衛生法に基づいて労働者の負傷や死亡について遅滞なく労働基準監督署長に報告することを義務付けています。届け出先は、所轄労働基準監督署です。

労働安全衛生規則第97条 事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、様式第二十三号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

遅滞なくというのは、「遅れることについて正当な理由がある場合を除き、直ちに」という意味だとされています。遅滞なく報告しない、あるいは虚偽の報告をすることが、いわゆる「労災隠し」であり、罰則の対象になります。

遅滞なくの対象になるのは、労働者が「死亡し、又は休業したとき」となっていますが、休業については4日以上の場合に遅滞なくの対象になります。

様式第23号の報告書は、厚生労働省のウェブサイト「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」で作成することができます。

休業4日未満の場合

労働安全衛生規則第97条
2 前項の場合において、休業の日数が四日に満たないときは、事業者は、同項の規定にかかわらず、一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間における当該事実について、様式第二十四号による報告書をそれぞれの期間における最後の月の翌月末日までに、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

軽い負傷等については、まとめて提出すればよいことになっています。4日未満の休業で済んだ場合です。様式第24号です。

提出時期は1月から3月まで、4月から6月まで、7月から9月まで及び10月から12月までの期間に発生した休業について、それぞれの期間における最後の月の翌月末日までとなっています。

したがって、1月、4月、7月、10月が提出月です。これらの月には前月までの3ヶ月間に会社で事故が無かったか点検することをスケジュール化しましょう。

労働者死傷病報告は、令和7年1月1日より電子申請による提出が義務づけられる報告書に含まれています。
関連記事:労働者死傷病報告の電子申請について

その他の注意事項

労働者死傷病報告は労災に限定されません

労働安全衛生法による死傷病届は、労災認定と直接関係しません。

労働安全衛生規則97条に「労働者が労働災害その他就業中・・・・」とあります。

「その他・・・・」ですから、労働災害に限定されません。つまり、労災認定されるかどうか不明な場合でも届出が必要です。

したがって、例えば、

□ 勤務終了後に職場内で死亡しているのが発見された
□ 出張中に倒れて入院した
□ 仕事中に具合が悪くなって帰宅後入院した
□ 勤務時間中に外出し自殺した

などのように、発生時点では労災かどうかはっきりしないものも本届出の対象になります。

これは、脳・心臓疾患や精神障害のように業務上災害であるかどうかの結論が出るまでに一定の期間を要するものがある、などの理由によります。

また、労災保険を使わなかったとしても提出が必要です。例えば治療費等が全て自動車保険でまかなわれた場合であっても、労働者死傷病報告書を出さなければなりません。

通勤中の災害は対象になりません

通勤中の災害については、原則として死傷病届の対象になりませんが、

□ 会社の車両を使って通勤していた
□ 自分の車両であるが他の従業員を相乗りさせていた
□ 業務に使う資材を積載していた
□ 運転している車両が敷地内に入ってから事故を起こした

などについては、業務関連性によって業務上災害とされる場合があり、その場合には死傷病届の対象になります。

新型コロナウイルス感染症の扱い

労働者が就業中に新型コロナウイルス感染症に感染・発症し、休業した場合には、労働者死傷病報告の提出が必要です。

就業との関係が不明な場合は、労働基準監督署に相談する必要があるでしょう。

なお、労働者が新型コロナウイルス感染症にかかったことについて業務との関連が認められる場合には、労災保険給付の対象になります。


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