カテゴリー: 就業規則

  • セクシュアルハラスメントの禁止|就業規則

    セクハラの禁止について定める

    規定例

    セクハラとされる行為を具体的に提示します。

    (セクシュアルハラスメントの禁止)
    第13条 たとえば次に掲げる性的言動等により、他の労働者に不利益や不快感を与えたり、就業環境を害するようなことをしてはならない。
    ① 不必要な身体への接触
    ② 容姿を含む身体上の特徴に関する不必要な発言
    ③ 性的な事柄に関する不必要な発言
    ④ プライバシーに関する不必要な発言
    ⑤ うわさ話を広めること
    ⑥ 交際の強要、性的関係の強要
    ⑦ 性的な絵、写真、画像等の配布、掲示等
    ⑧ セクシュアルハラスメントに抗議や拒否をした者に対して報復的に不利益を与えること
    ⑨ その他、他の人を不快にさせる性的な言動

    ポイント

    セクハラの防止については男女雇用機会均等法に定めがあります。

    相談体制の整備については別の条で定めます。また、別規程で詳細に定めることもあります。

    関連規定:相談窓口|就業規則

    関連規程:ハラスメント防止規程

    モデル就業規則

    厚生労働省モデル就業規則はセクハラの部分を次のように示しています。

    (セクシュアルハラスメントの禁止)
    第13条  性的言動により、他の労働者に不利益や不快感を与えたり、就業環境を害するようなことをしてはならない。


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  • パワーハラスメントの禁止|就業規則

    パワハラの禁止について定める

    規定例

    パワハラについて基本的なことを規定します。パワハラは法律で対策が求められているので、就業規則も労働施策総合推進法等の内容に沿って記述する必要があります。

    (パワーハラスメントの禁止)
    第12条 職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景にした、業務の適正な範囲を超える言動により、他の労働者に精神的・身体的な苦痛を与えたり、就業環境を害するようなことをしてはならない。

    パワハラは丁寧に解説しないと分かりにくいところがあるので、具体的な事例等をマニュアル等で示す必要があります。

    2 前項についての具体的な取り扱いは別に定める。

    ポイント

    パワハラは仕事上の指導教育と境目が難しいとして戸惑う上司もいます。またパワハラは必ずしも上司から部下に向かうものではありません。就業規則では一般的な定めをして、どのような行為がパワハラに該当するか、実際にパワハラの訴えがあったときはどう対処するかについてマニュアルを作成して従業員に示す必要があります。

    関連記事:パワハラに対する会社の対応

    関連規程:ハラスメント防止規程

    モデル就業規則

    厚生労働省モデル就業規則はパワハラの部分を次のように示しています。

    (職場のパワーハラスメントの禁止)
    第12条  職務上の地位や人間関係などの職場内の優越的な関係を背景とした、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、他の労働者の就業環境を害するようなことをしてはならない。

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  • 遵守事項|就業規則

    遵守事項を列記する

    規定例

    従業員に守ってほしいことを具体的に列記します。同類のものをまとめて記述すると分かりやすくなります。

    (遵守事項)
    第11条 従業員は、以下の事項を守らなければならない。
    ① 許可なく会社の所有物を第三者に貸与したり持ち出さないこと。また、許可なく職務以外の目的で会社の所有物を使用しないこと。
    ② 職務に関連して自己または第三者の利益を図り、又は他より不当に金品を借用し、若しくは贈与を受ける等不正な行為を行わないこと。
    ③ 勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れ、または、他の従業員の職務を妨げるなどの行為をしないこと。
    ④ 会社の内外を問わず、会社の名誉や信用を傷つけ、または会社の利益を損なう行為をしないこと。
    ⑤ 許可なく会社の施設内で組合活動、政治活動、宗教活動などの職務に関係ない活動をしないこと。
    ⑥ 酒気を帯びるなど不正常な状態で就業しないこと。
    ⑦ その他従業員としてふさわしくない行為をしないこと。

    ポイント

    どういうことをしてほしくないか、どのように仕事をしてほしいかは、会社によって事情が異なる場合があると思います。必要な事項を追加して使ってください。

    遵守事項に加えたい事項を列記し、次の3つに分類して検討してみましょう。

    1.仕事をする上で守ってほしい事項(まじめに働くこと、同僚や取引先に迷惑をかけないこと、などについて列記します)

    2.会社の財産を大事にしてほしい事項(施設や備品を、安全に使うこと、大事に使うこと、目的外の使用をしないこと、などについて列記します)

    3.直接仕事に関係しないことであるが守ってほしい事項(兼業についての定め、職場内での政治活動宗教活動の禁止について列記します)

    ハラスメントや、個人情報保護、営業秘密保護、安全衛生などに関する遵守事項はそれぞれの項目で指定します。

    遵守事項は、これに違反した場合は懲戒対象なので、懲戒についての規定と整合性を持つ必要があります。

    懲戒|就業規則

    モデル就業規則

    厚生労働省モデル就業規則は遵守事項の部分を次のように示しています。

    (遵守事項)
    第11条  労働者は、以下の事項を守らなければならない。
    ① 許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用しないこと。
    ② 職務に関連して自己の利益を図り、又は他より不当に金品を借用し、若しくは贈与を受ける等不正な行為を行わないこと。
    ③ 勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れないこと。
    ④ 会社の名誉や信用を損なう行為をしないこと。
    ⑤ 在職中及び退職後においても、業務上知り得た会社、取引先等の機密を漏洩しないこと。
    ⑥ 酒気を帯びて就業しないこと。
    ⑦ その他労働者としてふさわしくない行為をしないこと。


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  • 労働条件の明示|就業規則

    労働条件の明示について定める

    規定例

    (労働条件の明示)
    第7条 会社は、従業員を採用するとき、労働条件通知書及びこの規則を交付して次に掲げる労働条件を明示する。
    ①労働契約の期間(期間の定めがある場合は労働契約を更新する場合の基準に関する事項を含む)
    ②採用時の賃金、賃金の決定、計算および支払方法ならびに締め切りおよび支払時期並びに昇給に関する事項
    ③就業場所
    ④従事する業務
    ⑤始業および終業の時刻、休憩時間、休日および休暇、所定労働時間を超える労働の有無、交代制の場合の就業時転換に関すること
    ⑥退職となる事由、退職の手続き、解雇となる事由、解雇の手続き、
    ⑦退職金制度

    2 労働条件通知書と就業規則の交付を受けた従業員は所定の受領書を提出しなければならない。

    3 短時間・有期雇用の従業員に対しては、昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無、相談窓口を労働条件通知書に記載して明示する。

    ポイント

    第1項は労働基準法第15条の規定によるものです。第3項は、短時間・有期雇用労働者法第6条による規定です。

    採用時には、使用者が労働者に対して、一定の労働条件を明示しなければなりません。ここでは労働条件通知書と就業規則の交付によって明示する規定にしました。

    就業規則を交付することに抵抗感を覚える経営者もいますが、労働条件を明確にすることで経営者としての責任を示し、同時に服務規律等の内容について、聞いていない、知らなかったという言い訳を防止することができます。

    第2項は受領書の規定です。労働条件通知書、就業規則ともに、同じものを2通用意して、1通を交付し、1通に受領年月日と受領の署名を得て保管しておきましょう。

    文書の交付に代えて、従業員が希望する場合は電子メール等により労働条件の明示を行うことができます。

    関連記事:従業員を採用するときに労働条件を明示しなければなりません

    モデル就業規則

    厚生労働省モデル就業規則は労働条件の明示の部分を次のように示しています。

    (労働条件の明示)
    第7条  会社は、労働者を採用するとき、採用時の賃金、就業場所、従事する業務、労働時間、休日、その他の労働条件を記した労働条件通知書及びこの規則を交付して労働条件を明示するものとする。


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  • 試用期間|就業規則

    試用期間について定める

    規定例

    (試用期間)
    第6条 従業員として新たに採用した者については、採用した日から3か月間を試用期間とする。

    2 試用期間については、会社が特に認めたときは、この期間を短縮し、又は設けないことがある。

    3 試用期間については入社の日から6か月を超えない範囲で1回に限り延長することがある。

    4 試用期間中または試用期間満了時に次の各号のいずれか一つ以上に該当し、当社の従業員として不適格と認めたときは、本採用を行わずに解雇することがある。この手続きは本規則の解雇に関する規定に基づいて行う。
    ①提出を求められた書類を提出しないとき
    ②提出した書類に虚偽の記載があったとき
    ③正当な理由なく上司の指示に従わず、または、著しく協調性を欠くなど、勤務態度に問題があると認められるとき
    ④正当な理由なく欠勤、遅刻、早退、職場離脱を繰り返すとき
    ⑤指導教育を行っても職務を遂行する能力が著しく不足し、改善の見込みがないと認められるとき
    ⑥本規則の懲戒事由のうち減給処分以上の処分に該当する行為があったとき
    ⑦前各号に準じる事由があるにもかかわらず改善の意欲を示さないとき

    5 試用期間が14日を経過していない者を解雇するときは、解雇予告することなく即日解雇する。

    6 試用期間は勤続年数に通算する。

    ポイント

    第1項は試用期間についての定めです。多くの会社では試用期間を設けています。試用期間の長さについて法律での定めはありませんが、常識的な期間を設定するようにしましょう。以前は6か月という会社が多かったようですが、近年短めになっているようです。通常は3か月くらいでしょう。

    第2項は例外規定です。試用期間が必要がない人を採用する場合に備えた規定です。

    第3項は試用期間延長の規定です。本来は設定した期間内で適格性を判断するべきですが、判断を保留する合理的な理由がある場合に備えて規定しておきます。

    第4項は、試用期間中に不適格と判断する場合の理由について列記しています。また、手続きについて定めます。

    第5項は、短期間で解雇する場合の規定です。試用開始から14日を経過していない者に対しては、解雇予告又は解雇手当を支払う必要がありません。

    試用期間中の解雇は、通常の解雇より広い範囲で認められるとされていますが安易に考えてはいけません。どのような場合に本採用にいたらないか、具体的に列挙して客観的な判断ができるようにしておきましょう。また、手続きは正社員の解雇手続き同様に取り扱いましょう。

    第6項は、試用期間と勤続年数通算について定めます。試用期間終了後は試用期間を勤続年数に含めなければなりません。また、試用期間中であっても、社会保険等の扱いは出社日から対象になります。

    関連記事:本採用前に試用期間を設けることができる

    モデル就業規則

    厚生労働省モデル就業規則は試用期間の部分を次のように示しています。

    (試用期間)
    第6条  労働者として新たに採用した者については、採用した日から  か月間を試用期間とする。
    2 前項について、会社が特に認めたときは、試用期間を短縮し、又は設けないことがある。
    3 試用期間中に労働者として不適格と認めた者は、解雇することがある。ただし、入社後14日を経過した者については、第53条第2項に定める手続によって行う。
    4 試用期間は、勤続年数に通算する。


    関連記事:試用期間を設けることができる

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  • 採用時の提出書類|就業規則

    提出書類について定める

    規定例

    (採用時の提出書類)
    第5条 従業員は当社が指定する下記の書類を、書類ごとに当社が示した期日までに提出しなければならない。提示を要する書類については当社が原本を確認しコピーをとるものとする。

    ① 履歴書(履歴書は応募書類として受領した履歴書を会社が保管する)
    ② 自動車運転免許証等の資格証明書類(提示)
    ③ 従業員本人及びその扶養家族のマイナンバー(提示)
    ④ 住民票記載事項証明書
    ⑤ 入社誓約書
    ⑥ 身元保証書
    ⑦ 年金手帳または基礎年金番号通知書(提示)
    ⑧ 前職がある場合は雇用保険被保険者証
    ⑨ 前職がある場合は源泉徴収票
    ⑩ 給与所得者の扶養控除等申告書
    ⑪ 通勤経路図
    ⑫ その他当社が指定した書類

    2 上記の書類は当社からその一部について提出又は提示を要しない旨の指示がないときは全部を提出しなければならない。

    3 正当な理由なく指定された日までに提出しない場合は採用を取り消すことがある。

    4 入社後に、提出した書類の記載事項に変更が生じたときは、遅くとも変更後5日以内に変更事項を書面で届け出なければならない。

    ポイント

    この条の内容は、実務的には、採用手続きの説明文書に記載して入社予定の従業員に説明します。説明文書に記載する提出書類名は、就業規則の記載と一致させる必要があります。

    採用時の提出書類は具体的に列記する必要があります。

    提出させる書類は会社によって異なる場合があります。必要な書類がもれなく網羅されているか、逆に、必要ないのに記載されている書類が入っていないか点検しましょう。

    提出書類はチェックリストに記載して、手続きにもれがないように一人ずつチェックしましょう。

    関連記事:採用手続きチェックリスト

    運転免許証や資格証明書等は、その免許・資格を業務上会社が必要とする場合に提出を求めるのが一般的です。運転免許証については、業務上の必要がなくても自動車通勤を認める場合には必要書類になります。

    履歴書は、採用書類の一つとして就業規則に掲げている会社がありますが、厳密には応募書類の一つなので、採用時前に提出を求める書類です。

    また、履歴書と並べて、成績証明書(新卒採用のみ)を記載している場合がありますが、これも応募書類なので求人票や募集要項などに記載すればよく、就業規則への記載は原則として不要です。

    「提示」というのは原本を提示してもらって担当者が確認する手続きです。なりすましや資格偽装を防ぐための手続きです。

    住民票記載事項証明書は、現住所と年齢を確認するための書類です。戸籍謄本(抄本)や住民票の写しだと余分な情報を提出させることになるので、必要な情報を指定して住民票記載事項証明書を提出させるのが一般的です。必要な事項は生年月日と現住所です。同書類をチェックして履歴書等の記載が適正であるか確認します。

    第4項は「変更届」の根拠となる規定です。

    モデル就業規則

    厚生労働省モデル就業規則は採用時の提出書類の部分を次のように示しています。

    (採用時の提出書類)
    第5条  労働者として採用された者は、採用された日から  週間以内に次の書類を提出しなければならない。
    ① 住民票記載事項証明書
    ② 自動車運転免許証の写し(ただし、自動車運転免許証を有する場合に限る。)
    ③ 資格証明書の写し(ただし、何らかの資格証明書を有する場合に限る。)
    ④ その他会社が指定するもの
    2 前項の定めにより提出した書類の記載事項に変更を生じたときは、速やかに書面で会社に変更事項を届け出なければならない。


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