Last Updated on 2023年10月11日 by 勝
徹夜した場合の原則的扱い
労働基準法の1日とは午前0時から午後12時までの1暦日のことです。
しかし、前日からの時間外労働が深夜0時を超えて翌日に及んだ場合は、翌日の始業時間までは1勤務として取り扱います。
翌日の始業時間から次の日になります。
したがって、深夜0時から始業時刻までの労働時間については、前日から引き続く時間外労働として取り扱います。通常の時間外労働に対する割増賃金を支払って、その時間帯のうち午後10時から午前5時までの時間はさらに深夜割増を追加します。
翌日の始業時間以降にも仕事を続けたとすれば、通常の勤務時間帯に入るので、労働基準法上は割増賃金の対象にならないという解釈が主流です。もちろん、この場合は実質的には勤務の継続なので、労働基準法を上回る措置として時間外割増の対象として扱ってもかまいません。むしろ、大変な長時間労働になるので、それを慰労するためにも割増賃金を支払う措置が妥当だと思われます。
翌日が休日の場合
労働基準法における休日は、原則として暦日すなわち午前0時から午後12時までの暦日です。
平日の時間外労働が翌日の法定休日に及んだ場合には日数としては1勤務として取り扱うとしても、法定休日の割増賃金率はあくまで暦日単位で適用することになります。
つまり、その翌日が法定休日であれば、法定休日に入る午前0時以降は、休日勤務の割増率を適用しなければなりません。
始業時間が遅い場合
交替制勤務などで夜の時間帯から勤務が開始する場合は、勤務開始から所定労働時間を経過するまでは時間外割増賃金の対象になりません。ただし、始業時間にかかわらず、深夜時間帯は深夜割増の適用時間になり、深夜0時を過ぎて法定休日になった時間は休日割増の対象時間になります。
仮眠時間が入ればどうなるか
夜の勤務中に仮眠時間がある場合に、一時的に労働が中断しただけとするか、仮眠後に新たな勤務が始まったとするかは、仮眠時間の長さや仮眠の態様によって判断します。
新たな勤務が始まると認められる仮眠とは、時間の長さとしては7時間程度が確保されていること、態様としては布団等の寝具が提供されていること、更に作業場とは隔離された部屋が用意されている必要があると考えられています。
したがって、一般的に仮眠と言われる程度の睡眠であれば、勤務時間は継続しているとして扱います。その場合、完全に業務から解放されてる仮眠時間は休憩時間として扱い、完全に開放されているとは言えない(何かあれば起きなければならないなど)のであれば労働時間として扱う必要があります。
労働時間ということになれば、仮眠中であっても当然に賃金が発生し、対象になる時間帯であれば深夜割増賃金も休日割増賃金も加算しなければなりません。
36協定の問題
仮に、9時始業18時終業の会社が、三六協定で延長できる時間を、1日15時間、1週間15時間、1か月45時間、1年360時間としている場合で説明します。
9時に勤務を始めた従業員が、18時から残業に入り、作業が終わらず次の日の始業時間である9時を迎えたときに15時間の時間外労働となります。
この場合、始業時間を超えなければ三六協定に違反しないことになります。ただし、1週間の時間外も考慮しなければならないので、前後の状況によっては違反になります。
長時間労働の問題
いずれにしても、徹夜は心身に相当なダメージを与えます。単に割増賃金を適法に払ったからとか、三六協定に違反していないからそれで良いとは言えない問題です。
おそらく徹夜の残業は、大きなトラブルなどにより、やらざるを得ない状況で発生します。やむを得ず徹夜になったときは労働者の健康面に十分に配慮することが大切です。