カテゴリー
労働時間

代休について

Last Updated on 2023年11月26日 by

振替休日との違い

休日に労働させる必要が生じたときに、あらかじめ、代わりに休ませる日を指定して休日を変更することを「休日の振替」といいます。

関連記事:振替休日について

この場合、「あらかじめ」というのが大事です。出勤させる休日が到来する前に、代わりに休ませる日を指定しなければなりません。それをしなければ、「代休」になります。

休日に出勤させてから、その代償として別の日に休暇を与えても振替休日とはいいません。代休になります。

振替休日であれば、その出勤した休日は労働日になり、代わりに与えられた振替休日が休日になります。単に休日の日が変更になっただけです。休日出勤手当の問題は生じません。

代休であれば、その出勤した休日は「休日労働」になります。つまり、代りの休日を与えても、本来の休日分について割増した賃金を払わなければなりません。

昭和23.4.19基収1397号、昭和63.3.14基発150号

就業規則によって休日を特定したとしても、別に休日の振替を必要とする場合休日を振り替えることができる旨の規定を設け、これによって休日を振り替える前にあらかじめ振り替えるべき日を特定して振り替えた場合は、当該休日は労働日となり、休日に労働させることにはならない。

休日に労働を行った後にその代償としてその後の特定の労働日の労働義務を免除するいわゆる代休の場合はこれにあたらない。

賃金の扱い

出勤した日については、当然、賃金を払う必要があります。

たとえば、1日8時間労働の従業員が、月曜日から金曜日まで勤務して、所定休日の土曜日にも出勤した場合は、土曜日の労働時間は週40時間を超えるので、土曜日の労働時間については25以上の割増賃金の対象となります。

法定休日の日曜日に出勤した場合には休日労働なので35%以上の割増賃金の対象となります。つまり、各々125%以上、135%以上の賃金支払を支払う必要があります。

前述したように、「代休を与えるから支払わなくてもよい」という措置はできません。

次に、代休を与えた日、代休取得日の賃金について検討します。

代休を与えた場合、代休取得日には就労してはいませんが、使用者による就労免除であるため、通常の賃金を支払う必要があります。

出勤日に賃金を支払い、代休日に賃金を支払えば実質的に二倍払いになります。

労働協約、就業規則に定めがあれば、代休日について賃金控除することが可能です。

この場合、休日労働の割増賃金を支払って、別途、代休の日の賃金1日分を差し引くことができます。結果的に、通常賃金部分が相殺の形になって、割増分のみを支払えばよいことになります。

代休付与の義務はない

法律上は代休を与える義務はありません。労働基準法等に書かれていないからです。つまり、休日に出勤した人に、その休日出勤に休日勤務の割増を含む賃金を払っていれば、代休がなくてもかまいせん。

代休を与えないことになっていれば代休取得日の賃金問題も生じません。

就業規則に代休を与えると書いてあれば与えなければなりません。代休を与えない場合は、法律にないから与えないということでなく、就業規則に明記したほうがよいでしょう。

代休を与えないことによって、法定休日(1週間に少なくとも1回、4週間に4回以上の休日)を満たさないと法違反になるので、結果的に代休を与えなければならない場合もあります。


会社事務入門休日について>このページ