経営計画書とは
経営計画書とは、「将来的に会社がどうあるべきか」を、経営戦略や行動方針、具体的な数値目標などとともに明文化した文書です。会社全体の長期的な方向性を示す羅針盤のような役割を持ちます。
会社の規模や業種等によって異なるところもあるので、ここでは、仮に、300人規模の工作機械専門商社という設定で解説します。
経営計画書の主な目的とメリット
- 方向性の共有: 経営理念やビジョン、目標を社内外の関係者(社員、取引先、金融機関など)と共有し、組織全体の一体感と目標達成に向けた行動を促進します。
- 経営の指針: 長期的な視点に立って、経営方針や戦略、計画を明確にし、日々の意思決定の基準となります。
- 資金調達・信用力向上: 金融機関や投資家に対して、会社の将来性や実現可能性のある計画を示すことで、資金調達や対外的な信用力の向上につながります。
- 現状分析と課題明確化: 計画を作成する過程で、自社の現状や市場、競合を分析し、乗り越えるべき課題や重点的に取り組むべき事項が明確になります。
経営計画書に記載される主な項目
経営計画書には決まった形式はありませんが、一般的に以下の要素が含まれます。
会社概要
会社の基本情報、事業内容、沿革など。
経営理念・ビジョン
会社が存在する目的、目指す姿、価値観など、最も根幹となる部分。
現状分析(環境分析)
自社の強み・弱み、機会・脅威(SWOT分析など)。
工作機械市場の動向、顧客(製造業)のニーズ、競合他社の状況など、専門商社としての視点を含めることが重要です。
経営基本方針・経営戦略
ビジョンを実現するための基本的な考え方、全社的な戦略(例:新規顧客開拓、既存顧客との関係強化、高付加価値製品の販売強化、DX推進、人材育成など)。
数値目標・計画
中長期計画(3~5年程度が多い):
売上高、利益率、設備投資計画など、具体的な数値目標。
単年度計画:
中期計画に基づいたより詳細な売上・経費計画、人員計画、投資計画など。
行動計画:
数値目標を達成するために「誰が、いつ、何を、どのように行うか」といった具体的なアクションプラン。
部門別や営業担当者別などに落とし込むと、より実効性が高まります。
例:特定メーカーの最新機種の提案強化、技術サポート体制の強化、海外展開の準備、若手社員のOJT計画など。
自社の特性を踏まえたポイント
- 人材戦略: 300人規模であれば、優秀な人材の確保・育成・定着は極めて重要です。特に専門商社として「技術力のある営業」や「アフターサービスの強化」といった点を含めた具体的な人員計画や教育計画が求められます。
- 市場の変化への対応: 工作機械業界は技術革新(IoT、AI、自動化など)やサプライチェーンの変化が激しいため、それに対応するための具体的な戦略(例:ソリューション提供へのシフト、特定分野の深耕など)を盛り込むと良いでしょう。
経営計画で重要なのは、社長の想いやビジョンを基軸に、社員が納得感を持って行動できるように、計画を具体的に落とし込むことです。まずは経営陣でじっくりとビジョンや戦略について話し合うことから始められることをお勧めします。
会社の成長に役立つ計画書を作る
せっかく作成するのですから、単なる提出書類ではなく、社内の羅針盤として機能させるべきです。
銀行に提出する経営計画書
銀行は主に「返済能力」と「事業の将来性・実現性」を評価します。経営計画書を銀行に提出する際、金融機関が特に重視する視点を盛り込むことが効果的です。
規程
経営計画書は毎年作り変えると徐々に精度が上がってきます。規程を作って経営計画書の作成を会社の必須業務に組み込みましょう。
経営方針発表会
経営計画を従業員や取引先と共有するために、経営方針発表会を開催しましょう。
創業計画書
創業時に融資を受けるための経営計画とは別です。