Last Updated on 2022年2月27日 by 勝
賃金台帳とは
賃金台帳は、労働基準法により、事業場に備え付けることが義務づけられている書類です。
その記載事項については、労働基準法に具体的に規定されています。
労働基準法 第108条
使用者は、各事業場ごとに「賃金台帳」を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。
記入しなければならない事項
「その他厚生労働省令=労働基準法施行規則のことです=で定める事項」とは、次の事項です。
□ 氏名
□ 性別
□ 賃金計算期間
□ 労働日数
□ 労働時間数
□ 時間外勤務・休日勤務・深夜勤務の時間
□ 基本給・手当その他賃金の種類ごとにその金額
□ 賃金の一部を控除した場合にはその額
以上の内容が網羅されていればどのような書式でもかまいません。
一般的には給与計算ソフトから出力される賃金台帳を保管します。
ただし、1項目でも入力もれがあると適正な賃金台帳にならないので注意が必要です。
労働日数や労働時間数が漏れていることが多いのでチェックしましょう。
作成対象者
賃金台帳は、労働者ごとに作成することになっています。
賃金台帳は、正社員、契約社員、パート、アルバイト、などの雇用形態に関わらず、全従業員分を作成しなければなりません。
日雇労働者については、労働者名簿の作成は不要ですが、賃金台帳の作成は必要です。
管理監督者については、時間管理の対象外なのでで、時間外労働や休日労働の時間数は、深夜労働の時間数を除いて記載不要です。しかし、労働基準法に定めがある管理監督者と会社が任命する管理職は同じではありません。管理監督者の範囲について労働基準監督官から指摘されることが多いので注意が必要です。
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役員は労働者ではないので、賃金台帳の作成は不要です。ただし、取締役部長などの使用人兼務役員については、従業員部分の賃金について作成が必要です。
作成と保管
賃金台帳は、各事業場で作成することになっています。
賃金台帳は、各事業場で保管する必要があります。労働基準監督署の調査があったときに、本社に置いてあります、は通用しません。作成を本社でするのは構いませんが、各事業場に配布して保管させましょう。
なお、必ずしも紙で保管する必要はなく、データによる保管も認められていますが、求められたときには、すぐに表示、印刷できることが条件となっています。
賃金台帳には5年間(当分の間3年)の保存義務がありますが、その起算日は「最後の記入をした日」となっています。通常は最後の記入は退職のときですから、退職から起算します。