福利厚生とは?

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福利厚生とは

「福利厚生(ふくりこうせい)」とは、企業が従業員やその家族の生活の安定、健康の維持・向上、そして仕事へのモチベーションアップなどを目的として、給与や賞与とは別に提供するサービスや制度の総称です。

これは、企業が従業員に対して提供する一種の「従業員向けサービス」や「追加の報酬」と考えると分かりやすいでしょう。

福利厚生の種類

福利厚生は、法律で定められているかどうかによって大きく2種類に分けられます。

法定福利厚生(ほうていふくりこうせい)

法律で企業に導入・実施が義務づけられている福利厚生です。

従業員を雇用している企業は、必ずこれらを負担・提供しなければなりません。その費用は「法定福利費」と呼ばれ、多くは企業と従業員とで保険料などを分担します。

種類概要主な企業負担割合
健康保険病気やケガ、出産、死亡した際などに給付を行う公的な医療保険制度。労使折半(会社と従業員が半額ずつ)
厚生年金保険老後の生活を保障する公的年金制度。労使折半
介護保険40歳以上の従業員が加入し、介護サービスにかかる費用を給付する制度。労使折半
雇用保険失業したときや育児・介護休業時に給付を行う制度。企業が原則2/3程度を負担
労災保険業務中や通勤中の事故・災害によるケガや病気を補償する制度。企業が全額負担
子ども・子育て拠出金児童手当などの費用に充てるためのもの。企業が全額負担

法定外福利厚生(ほうていがいふくりこうせい)

法律の定めがなく、企業が独自に任意で設ける福利厚生です。

企業ごとに内容や制度の充実度が異なり、その費用は「福利厚生費」あるいは「法定外福利費」と呼ばれます。企業の経営方針や財政状況によって多岐にわたる種類があります。

【法定外福利厚生の代表的な例】

区分具体的な例
住宅関連住宅手当(家賃補助)、社宅独身寮の提供
通勤関連通勤手当(交通費の支給)
健康・医療人間ドック健康診断の費用補助、スポーツジムの利用補助
慶弔・災害結婚祝い金出産祝い金、弔慰金、災害見舞金
文化・レクリエーション社員食堂やカフェの提供、社員旅行、部活動・サークル活動費の補助、保養施設の利用割引
自己啓発・能力開発資格取得支援金、通信教育やセミナー受講費の補助
特別休暇リフレッシュ休暇、アニバーサリー休暇など法定の年次有給休暇以外の休暇

福利厚生の目的と企業側のメリット

企業が福利厚生を充実させる主な目的は、従業員満足度(ES)の向上と、それを通じた企業競争力の強化です。

  1. 人材の定着・離職率の低下給与以外の生活支援や健康支援があることで、従業員は安心して働き続けやすくなります。
  2. 優秀な人材の確保福利厚生が充実していることは、求職者にとって大きな魅力となり、採用活動において他社との差別化につながります。
  3. モチベーション・生産性の向上心身の健康やワークライフバランスをサポートすることで、従業員の意欲や業務効率の向上に寄与します。
  4. 企業イメージの向上従業員を大切にする企業姿勢は、社会的な評価を高めます。

福利厚生は、単なる「経費」ではなく、「人材への投資」として非常に重要な役割を担っています。


福利厚生の具体例

会社負担の扱い