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労働保険

事業を始めたときの労働保険手続き

Last Updated on 2024年11月8日 by

労働保険とは

労働保険とは「労災保険」と「雇用保険」のことです。労災保険と雇用保険は別々の保険制度ですが、保険料は同じ手続きで一緒に納付します。労働保険という用語は手続きや納付のときに使われます。

労災保険は、従業員が仕事中や通勤中にケガをしたり、仕事が原因で病気になったときに、治療費や休業補償を受けられる制度です。正社員だけでなく、パート・アルバイトも含めて1名でも雇用したら労働保険料を申告納付して従業員が労災保険からの給付をスムーズに受けられる状態にしなければなりません。

雇用保険は、従業員が失業したときに給付金等を受給できる制度です。労災保険と違って一部の従業員は加入できません。加入できるのは、週20時間以上働き、原則31日以上の雇用見込みがある従業員です。

労働保険保険関係成立届

事業を始めても一人も雇用していないのであれば労働基準監督署への手続きは不要です。もし、一人でも雇用したときは、労働基準監督署に「労働保険保険関係成立届」を提出しなければなりません。この手続きは一人でも雇用した日の翌日から起算して10日以内に行わなければなりません。

労働保険料は前払いです。初年度は、従業員を雇用した日から最初に到来する3月31日までの保険料を計算して申告・納付しなければなりません。納期は事業を開始した日から50日以内です。

労働保険料の申告と納付

雇用保険の手続

労働基準監督署での労働保険の保険関係成立届が終わったら公共職業安定所に行って雇用保険の手続をします。

雇用保険適用事業所設置届

1人でも雇用する場合は、事業を開始した日から10日以内に職業安定所に提出します。雇用保険適用事業所設置届を提出するには、労働保険保険関係成立届が提出済みとなっている必要があります。ですから、監督署→職安の順です。

雇用保険被保険者資格取得届

従業員を被保険者にする手続きです。

採用時の雇用保険手続き

事業開始後に変更があったときは

事業主の氏名若しくは住所、事業所の名称若しくは所在地に変更があった場合は、変更があった日の翌日から起算して10日以内に労働基準監督署及び公共職業安定所に届出が必要です。

書類名は、労働保険名称・所在地等変更届、雇用保険事業主事業所各種変更届です。

労働保険の用語

暫定任意適用事業

暫定任意適用事業に属する事業は、上記手続きを必要としません。

暫定任意適用事業

単独有期事業

一括有期事業に該当しないものは、単独有期事業といい、工事ごとに工事現場の所在地を管轄する労働基準監督署で保険関係を成立させます。そして、工事終了の都度、保険料の清算を行います。

一括有期事業

いくつかの有期事業を一つの事業とみなして、継続事業と同様に取り扱うことがあります。これを、有期事業の一括といいます。

有期事業の一括

一元適用事業

労働保険には、労災保険と雇用保険があります。この両方について保険関係を成立させるものを一元適用事業といい、一般的な企業はこの形になります。

二元適用事業

労災保険と雇用保険の適用や徴収事務を別々に行う事業があります。これを、二元適用事業といいます。

建設の事業は、元請けが下請を使う形で工事を行います。この場合、労災保険については元請が現場全体を一括して掛けるので、下請は原則として労災保険を掛けません。ただし、雇用保険は元請と各下請それぞれが個別にかけるので、労災保険と雇用保険の扱いが違うのです。

なお、建設業の下請であっても、事務員や営業員は、現場の労災保険の適用を受けないので、別に労災保険を掛けなければなりません。これを事務所労災といいます。同じ会社であっても、その人たちについては一元適用事業となります。

二元適用事業

追徴金

手続きを怠って、行政による認定決定の処分を受けたときは追徴金を徴収されます。

労働保険料の追徴金

その他の手続き

厚生年金と健康保険の手続きも忘れてはいけません。

事業を始めた時の社会保険手続き

労働基準法や労働安全衛生法に定められた手続きもあります。

事業を始めたときの労働基準法等の手続


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