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労働保険

労災保険と雇用保険の暫定任意適用事業

Last Updated on 2021年3月18日 by

例外的に労働保険加入が免除される事業

雇用保険と労災保険の二つの労働保険といいます。原則として労働者を1人でも(アルバイト1人でも)、使用していれば、法人・個人事業を問わず労働保険に加入しなければなりませんが、例外もあります。

労働保険への加入について例外が認められている事業を暫定任意適用事業といいます。

労災保険と雇用保険では、暫定任意適用事業の範囲が若干異なります。

労災保険の暫定任意適用事業

労働者を使用する事業は、原則として労災保険に加入しなければなりません。ただし、以下に該当する場合は、労災保険への加入は任意となっています。

□ 労働者数5人未満の個人経営の農業であって、特定の危険又は有害な作業を主として行う事業以外のもの
□ 労働者を常時は使用することなく、かつ、年間使用延労働者数が300人未満の個人経営の林業
□ 労働者数5人未満の個人経営の畜産、養蚕又は水産(総トン数5トン未満の漁船による事業等)の事業

小規模な農業系の事業が対象です。

これに該当する事業は労災保険に加入せず、労災保険料の支払いを免れますが、もし労働災害が発生した時は、労災保険からの給付が無いため、治療代等の災害補償について、すべて事業主が責任を負わなければなりません。

関連記事:使用者には労働者に対して災害補償の責任があります

労働者の過半数が希望するとき

労災保険の暫定任意適用事業であっても、対象となる労働者の過半数の希望がある場合は、加入の手続きをとる必要があります。

特別加入しているときは注意が必要です

農業で事業主が労災保険の特別加入している場合は、暫定任意適用事業所ではなく、当然適用事業として扱われるので、常時使用する労働者数が5人未満でも労災保険に加入しなければなりません。

個人経営の農家が労災保険の特別加入をしているときは、アルバイトを1人でも雇えば労災保険の適用事業になります。繁忙期だけ知り合いや親せきにパートをお願いした場合でも同じです。

雇用保険の暫定任意適用事業

労働者を使用する事業は、原則として雇用保険に加入しなければなりません。ただし、以下に該当する場合は、雇用保険への加入は任意となっています。

下記に掲げる農林水産の事業であって、常時5人未満の労働者を雇用する個人経営の事業。

□ 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業
□ 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産、養蚕又は水産の事業

上記のように、加入が任意とされている事業は、小規模な農林水産関係の事業に限られます。

小売や飲食店などの一般の商売では、一人でも雇用したら労働保険の手続きをしなければなりません。

なお、農業用水供給事業、もやし製造業は暫定任意適用から除外されているので、雇用する人数にかかわらず加入しなければなりません。

労働者の2分の1以上の希望するとき

上記のような雇用保険の暫定任意適用事業であっても、対象となる労働者の2分の1以上の希望がある場合は、加入の手続きをとる必要があります。

社会保険の任意適用制度

社会保険(健康保険と厚生年金保険)にも加入を免除される事業があります。

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